親の通帳を預かる前に、確認しておきたい3つのこと

「銀行へ行くのが大変になってきたから、通帳を預かっておいて」。親からそう頼まれたら、少しでも手伝いたいと思うのは自然なことです。

ただ、通帳を預かることと、親のお金をどこまで動かしてよいかは別の話です。後で家族が困らないように、親の意思、銀行の手続き、お金の記録の三つを、最初に確認しておきましょう。

1.親は、何を手伝ってほしいと思っている?

通帳を安全な場所で保管してほしいのか。病院代の支払いを手伝ってほしいのか。毎月のお金の管理まで任せたいのか。「預かっておいて」の一言だけでは、任される範囲がはっきりしません。

親が自分で決められるうちに、困っていることと、これからも自分で続けたいことを聞いてみてください。入出金の手伝いを頼まれたからといって、その預金を子どもがもらったことにはなりません。

「何に使ってよいか」「大きな支払いの前には誰に相談するか」を確かめておくと、手伝う側も迷いにくくなります。親のお金は、まず親自身の暮らしを支えるためのものです。

2.家族が手続きする方法を、銀行に確認する

家族だから、通帳やカードがあるから、という理由だけで、すべての手続きができるとは限りません。全国銀行協会は、本人以外が預金を引き出すときは、原則として預金者本人の意思確認が必要と案内しています。

取引銀行に、家族が手伝うための手続き、利用できる代理人の仕組み、必要な書類を確認しましょう。利用条件は銀行や手続きによって異なります。通帳や暗証番号を渡すだけで準備が済むとは考えないことが大切です。

すでに本人の意思確認が難しく、入院費や介護施設の費用の支払いで困っている場合も、まず取引銀行に事情を相談してください。支払いの必要性が分かる請求書などを用意し、どのような対応が可能か確認します。相談すれば必ず引き出せる、という意味ではありません。

参考:全国銀行協会「預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引出しに関するご案内資料」

3.使ったお金を、後からたどれるようにする

通帳には「いくら引き出したか」が残っても、「何に使ったか」までは残らないことがあります。現金で支払うことが多い家庭ほど、領収書や簡単なメモが助けになります。

まずは、日付・金額・使い道・支払先が分かるようにしておきましょう。自分のお金で立て替えた費用は、親の口座から直接支払った費用と分けて記録します。大がかりな帳簿を作るより、無理なく続けられる形を決めることが先です。

きょうだいなどと情報を共有する場合は、親の意向やプライバシーも大切にします。誰に、どの範囲を、どのタイミングで伝えるかを親と相談しておくと、一人で抱え込まずに済みます。

将来、同じ方法で手伝い続けられるとは限らない

今は親が支払いの内容を理解し、自分で決められていても、将来の状況は変わるかもしれません。意思確認が難しくなったときに、家族の判断だけで管理の範囲を広げることは避けましょう。

本人の判断能力や必要な支援に応じて、成年後見制度などを検討することもあります。制度は、親の権利と生活を守るためのものです。「どれを使うか」から決めず、今どこで困っているのかを銀行や専門家に伝えるところから始めてください。

参考:裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」第12・成年後見制度

最初の一言は「何を手伝えば楽になる?」

相続のために財産を全部教えてほしい、と切り出す必要はありません。「支払いで大変なことはある?」「何を手伝えば楽になる?」。親が今、困っていることを聞くところからで十分です。

通帳を預かる前に、任される範囲を確かめる。銀行に手続きを聞く。支払いの記録を残す。その準備が、親の暮らしと、手伝う家族の安心につながります。

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情報確認日:2026年10月4日

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