亡くなった方が遺言書を残していた可能性があるときは、手元の書類だけで判断せず、公正証書遺言は公証役場、法務局保管の自筆証書遺言は遺言書保管所でも確認します。自宅などで自筆の遺言書を発見した場合は、封印のあるものを自分で開封せず、原則として遅滞なく家庭裁判所へ検認を申し立てます。
遺言書の確認先と費用
- 確認方法
- 内容
- 手元・保管場所の確認
- 遺品、重要書類、遺言書保管制度の通知、公証役場や専門家との連絡記録などを確認します
- 公正証書遺言の検索
- 相続人などの利害関係人が、近くの公証役場で検索を申し出ます。平成元年以降に作成された公正証書遺言が対象で、検索は無料です
- 法務局保管の有無を確認
- 遺言書保管事実証明書を請求します。全国の遺言書保管所で窓口または郵送により請求でき、手数料は1通800円です。請求者自身が相続人・受遺者・遺言執行者等に当たる遺言書の保管の有無を確認できます
- 法務局保管の内容を確認
- 保管が確認できた場合は遺言書情報証明書を請求できます。手数料は1通1,400円で、家庭裁判所の検認は不要です
- 自筆の遺言書を発見
- 公正証書遺言または法務局保管の自筆証書遺言でない場合は、原則として家庭裁判所の検認が必要です。封印があれば自分で開封しません
- 検認の申立費用
- 遺言書1通につき収入印紙800円分と連絡用の郵便料。検認済証明書は遺言書1通につき150円分です
最初に確認するポイント
公証役場と法務局の両方で「該当なし」でも、遺言書が存在しないと確定するわけではありません。公証役場の検索対象は平成元年以降に作成された公正証書遺言です。また、自宅などで保管され、法務局へ預けられていない自筆証書遺言は、法務局の証明書では確認できません。
封印のある遺言書を発見したときは、その場で開封しないでください。民法は家庭裁判所外での開封を制限しており、検認を怠った場合などには過料の定めがあります。根拠はe-Gov法令検索「民法」第1004条・第1005条、具体的な申立方法は裁判所「遺言書の検認」で確認できます。

遺言書の有無を確認する5つのSTEP
- 1
遺品や重要書類、法務局からの通知、公証役場・専門家との連絡記録など、手元の情報を整理する
- 2
相続人などの利害関係人が、必要書類をそろえて近くの公証役場へ公正証書遺言の検索を申し出る
- 3
法務局の遺言書保管所へ遺言書保管事実証明書を請求し、保管の有無を確認する
- 4
法務局で保管が確認できた場合は遺言書情報証明書を取得し、遺言書の内容と遺言執行者の記載を確認する
- 5
自宅などで遺言書を発見した場合は種類と保管状況を確認し、必要なら遺言者の最後の住所地の家庭裁判所へ検認を申し立てる
遺言書の有無はなぜ最初に確認するのか
遺言書には、財産の承継方法、受遺者、遺言執行者などが記載されていることがあります。相続人や財産の調査と並行して早めに有無を確認し、見つかった場合は内容と方式に応じた手続へ進みます。遺言書の外見だけで有効・無効を断定せず、検認が必要かどうかと、内容を実現するための次の手続を分けて考えることが大切です。
誰が確認できるか
公正証書遺言の検索を申し出られるのは、遺言者の死亡後の相続人など、法律上の利害関係を証明できる人です。遺言者の生前は、原則として遺言者本人だけが検索できます。法務局の遺言書保管事実証明書は、遺言者の死亡後に、相続人、受遺者、遺言執行者などの関係相続人等と、その法定代理人が請求できます。
確認する期限
遺言書の有無を検索すること自体について、死亡後何日以内という一律の法定期限は公式情報では確認できません。ただし、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所へ提出して検認を請求しなければなりません。公正証書遺言と、法務局で保管されている自筆証書遺言について交付される遺言書情報証明書は検認不要です。
手続き先
- 公正証書遺言:近くの公証役場。全国の公証役場で、公正証書遺言の有無と保管公証役場を検索できます。
- 法務局保管の自筆証書遺言:全国の遺言書保管所。遺言書保管事実証明書、遺言書情報証明書、モニター閲覧は全国の遺言書保管所で手続できます。
- 検認が必要な遺言書:遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
必要書類
公証役場で検索する場合
- 遺言者が死亡した事実を証明する除籍謄本など
- 申出人が遺言者の相続人であることを証明する戸籍謄本
- 申出人の本人確認書類。顔写真付き公的身分証明書、または実印と発行後3か月以内の印鑑登録証明書
相続人以外の利害関係人や代理人が申し出る場合は、関係や代理権を証明する書類が別途必要になる可能性があります。事前に申出先の公証役場へ確認してください。必要書類は日本公証人連合会「亡くなった方の公正証書遺言を調べる方法」で確認できます。
法務局で保管の有無を確認する場合
- 遺言書保管事実証明書の交付請求書
- 遺言者の死亡を証明する戸籍(除籍)謄本等
- 請求人の氏名・住所を確認できる書類(住民票の写し、住所の記載がある法定相続情報一覧図の写し等)
- 相続人として請求する場合は、請求人が相続人であることを証明する戸籍謄本等
- 該当する場合は、法人代表者または法定代理人の資格を証明する書類
2026年3月2日の省令改正により、関係遺言書保管通知を受けている場合などは、遺言者の最後の住所・本籍・死亡年月日の記載や、相続人に該当することを証明する書類の一部を省略できる場合があります。一方、請求人の氏名・住所を証明する書類は省略できません。窓口で証明書を受け取る場合は、マイナンバーカードや運転免許証などの顔写真付き本人確認書類を提示します。郵送請求では証明書が請求人の住所へ送付されます。請求資格、通知の有無、窓口受領・郵送の違いにより必要書類が変わるため、法務省「自筆証書遺言書保管制度・相続人等の手続」と法務省「記載事項・添付書類の省略についての一覧表」を確認してください。
家庭裁判所へ検認を申し立てる場合
共通の主な書類は、検認申立書、遺言者の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本等、相続人全員の戸籍謄本です。相続人の構成により、死亡した子、直系尊属、兄弟姉妹などの戸籍が追加で必要になる場合があります。裁判所から追加書類を求められることもあります。
費用
- 公証役場の遺言検索:無料
- 遺言書保管事実証明書:1通800円
- 遺言書情報証明書:1通1,400円
- 検認の申立て:遺言書1通につき収入印紙800円分と、裁判所ごとに定められた郵便料
- 検認済証明書:遺言書1通につき収入印紙150円分
法務局の手数料は収入印紙で納付します。最新額は法務省「自筆証書遺言書保管制度・手数料」、検認費用は裁判所「遺言書の検認」で確認してください。
自分で確認できるか
公証役場・法務局の検索や証明書請求、家庭裁判所への検認申立てには公式の案内と書式があるため、必要書類をそろえられる場合は本人が進めることもできます。まず、遺言書が公正証書なのか、法務局保管の自筆証書なのか、それ以外なのかを区別し、手続先へ事前確認すると進めやすくなります。
専門家への相談を検討したいケース
- 異なる日付や内容の遺言書が複数見つかった
- 書き換え、破棄、隠匿の疑いがある
- 遺言書の方式や有効性について争いがありそう
- 相続人・受遺者・遺言執行者が誰か判断できない
- 封印のある遺言書をすでに開封してしまった
- 遺言書の内容と遺留分、相続放棄、遺産分割との関係を整理する必要がある
- 海外にいる相続人や外国籍の関係者がいる
検認は遺言書の有効性を判断する手続ではありません。内容の解釈や有効性に疑問があるときは、家庭裁判所の手続案内に加え、弁護士・司法書士などへの相談を検討してください。
注意点
- 見つからない場合:公証役場と法務局の検索にはそれぞれ対象範囲があります。両方で該当がなくても、自宅などに保管された自筆証書遺言の不存在までは証明できません。
- 封印のある遺言書:家庭裁判所で相続人または代理人の立会いのもと開封する必要があります。
- 検認の意味:検認は遺言書の状態を明確にして偽造・変造を防ぐ手続であり、遺言書が有効か無効かを判断する手続ではありません。
- 法務局の通知:相続人等の一人が遺言書情報証明書の交付を受けたり閲覧したりすると、法務局から他の相続人等へ保管の通知が行われます。
- 原本の扱い:発見した遺言書には書き込みや修正をせず、発見時の状態で保管し、検認が必要か確認します。
よくある質問
封筒に入った遺言書は開けてもよいですか
封印がある場合は自分で開封しないでください。家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのもと開封する必要があります。封印があるか判断しにくい場合も、現状を変えず家庭裁判所へ確認してください。
公証役場と法務局のどちらか一方だけ調べれば十分ですか
一方だけでは確認できる遺言書の種類が限られます。公証役場は公正証書遺言、法務局は同局に保管された自筆証書遺言を確認する制度です。手元に情報がない場合は、両方の制度を確認することを検討します。
検認を受ければ遺言書が有効だと確定しますか
確定しません。裁判所は、検認を遺言書の有効・無効を判断する手続ではないと案内しています。内容や方式に争いがある場合は別途対応が必要です。
法務局に保管された自筆証書遺言にも検認が必要ですか
遺言書情報証明書には検認が不要です。公正証書遺言についても検認は不要です。自宅などで発見した自筆証書遺言とは扱いが異なります。
公正証書遺言の検索に費用はかかりますか
検索は無料です。ただし、遺言公正証書の謄本交付など、検索後の別手続には費用がかかる場合があるため、保管公証役場へ確認してください。
関連する相続手続き
野田市・柏市・流山市・松戸市での具体的な確認先
公正証書遺言の検索と法務局の証明書請求は、原則として全国の公証役場・遺言書保管所を利用できます。次の窓口は4市から利用しやすい確認先です。家庭裁判所の検認だけは、遺言者の最後の住所地を基準に管轄が決まります。
公正証書遺言を検索する公証役場
- 野田市・柏市:柏公証役場(04-7166-6262)
- 流山市・松戸市:松戸公証役場(047-363-2091)
上記は利用しやすさによる案内で、検索の地域管轄を意味しません。全国の公証役場で検索できます。所在地は日本公証人連合会「千葉県の公証役場一覧」で確認してください。
法務局保管を確認する遺言書保管所
- 野田市・柏市:千葉地方法務局 柏支局(04-7167-3309)
- 流山市・松戸市:千葉地方法務局 松戸支局(047-363-6278)
遺言書保管事実証明書・遺言書情報証明書・モニター閲覧は、全国の遺言書保管所で手続できます。上記は最寄りの窓口としての案内です。
検認を申し立てる家庭裁判所
遺言者の最後の住所地が野田市・柏市・流山市・松戸市の場合は、原則として千葉家庭裁判所 松戸支部です。新規申立て・手続案内は受付係(047-313-9737)へ確認してください。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
この手続きは、財産の所在地、書類の保管先、契約先、亡くなった方の最後の住所地などによって確認先が変わります。まず資料を特定し、市役所の総合案内と記事内に記載した専門機関の公式窓口を使い分けてください。
管轄・電話番号の確認日:2026-08-25。提出前にリンク先の最新案内をご確認ください。
参考にした公式情報
- 日本公証人連合会「亡くなった方について、公正証書遺言が作成されているかどうかを調べることができますか?」
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度・相続人等の手続」
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度・証明書について」
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度・管轄/遺言書保管所一覧」
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度・手数料」
- 裁判所「遺言書の検認」
- e-Gov法令検索「民法」第1004条・第1005条
- 法務省「遺言書保管制度の記載事項・添付書類の省略についての一覧表」
- 日本公証人連合会「千葉県の公証役場一覧」
- 千葉地方法務局「管内の遺言書保管所一覧」
- 千葉家庭裁判所「松戸支部の窓口案内」
情報確認日:2026年8月25日
この記事は一般的な制度の説明です。個別の遺言書の有効性や、どの遺言書が優先するかを判断するものではありません。必要書類、手数料、郵便料、受付方法は変更される場合があるため、手続前に公証役場、遺言書保管所または家庭裁判所へ確認してください。