相続人の調査では、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を切れ目なく集め、配偶者・子・父母・兄弟姉妹など民法上の相続関係を確認します。一律の期限はありませんが、相続放棄等は原則3か月、相続税は原則10か月のため、死亡後できるだけ早く本籍地の市区町村等へ請求を始めます。
相続人調査で集める主な戸籍
- 書類
- 確認する内容
- 亡くなった方の戸籍
- 出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍を連続して集め、子や婚姻歴などを確認します
- 相続人の現在戸籍
- 相続開始後に取得し、相続人が生存していることと現在の身分関係を確認します
- 死亡した子の戸籍
- 子が先に死亡している場合は、その子の出生から死亡までを確認して代襲相続人を調べます
- 直系尊属・兄弟姉妹関係の戸籍
- 子がいない相続などでは、父母等の死亡や兄弟姉妹・おいめいまで確認する追加戸籍が必要です
- 法定相続情報一覧図
- 戸籍一式と一覧図を法務局へ提出すると、認証文付きの写しを無料で取得でき、複数の相続手続に利用できます
戸籍は一番新しいものから過去へたどる
死亡時の戸籍だけでは、相続人を確定できない場合があります。転籍、婚姻、戸籍の改製があると、その前の戸籍へ続く記載を読み、出生までさかのぼる必要があります。法務局も法定相続情報一覧図の申出に、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本を求めています。必要書類は法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続」で確認できます。
2024年3月1日からは、本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍証明書等を本籍地以外の市区町村窓口でも請求できる広域交付が始まりました。ただし、本人の窓口来庁が必要で、郵送や代理人請求はできません。兄弟姉妹の戸籍、個人事項証明書(戸籍抄本)・一部事項証明書、戸籍の附票、コンピュータ化されていない一部の戸籍などは対象外です。詳しくは法務省「戸籍証明書等の広域交付」を確認してください。

相続人を確定する6つのSTEP
- 1
亡くなった方の氏名、生年月日、死亡日、最後の住所、本籍、筆頭者など分かる情報を整理する
- 2
最後の本籍地または広域交付に対応する市区町村窓口で、死亡記載のある戸籍を取得する
- 3
戸籍に記載された従前本籍や改製前の情報を手がかりに、出生時まで戸籍・除籍・改製原戸籍をさかのぼる
- 4
配偶者、子、代襲相続人を確認し、子がいなければ直系尊属、さらに兄弟姉妹・おいめいの順に戸籍を補う
- 5
判明した相続人全員について、相続開始後に発行された現在戸籍を取得して生存と身分関係を確認する
- 6
相続関係図を作成し、必要に応じて法務局へ法定相続情報一覧図の保管・写しの交付を申し出る
相続人調査が必要な理由
遺産分割協議は、原則として相続人全員が参加して合意する必要があります。相続人を見落としたまま協議書を作ると、その後の預金払戻しや相続登記が進まないだけでなく、協議をやり直す原因になります。まず遺言書の有無を確認し、戸籍上の相続人と遺言による受遺者等を分けて整理します。
戸籍を集めた後の進め方は、遺産分割協議書の作成、銀行口座の相続・払戻しで確認できます。保険会社へ提出する書類を調べている方は、生命保険の死亡後手続きもあわせて確認してください。
誰が相続人になるか
配偶者は常に相続人となり、血族相続人は、第一順位が子、第二順位が直系尊属、第三順位が兄弟姉妹です。子や兄弟姉妹が相続開始前に死亡している場合は、その子が代襲相続人となることがあります。兄弟姉妹の代襲相続は、おい・めいまでで、その子には再代襲しません。法定相続人の順位はe-Gov法令検索「民法」第887条・第889条・第890条で確認できます。
調査の期限
戸籍による相続人調査そのものに一律の法定期限はありません。しかし、相続放棄や限定承認の熟慮期間は原則として自己のために相続開始があったことを知った時から3か月で、相続税の申告・納付は通常、死亡を知った日の翌日から10か月です。借金の可能性がある場合や相続税が見込まれる場合は、戸籍と財産の調査を同時に進めます。
手続き先と請求方法
- 本籍地の市区町村:窓口または郵送で戸籍証明書等を請求します。オンライン対応は自治体ごとに異なります。
- 近くの市区町村:広域交付の対象となる本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍は、請求できる本人が顔写真付き公的本人確認書類を持参して請求できます。委任状による代理請求、郵送請求、第三者請求、職務上請求は広域交付の対象外です。
- 法務局:戸籍一式をそろえた後、法定相続情報一覧図の保管と写しの交付を申し出られます。申出先は、亡くなった方の死亡時の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、亡くなった方名義の不動産所在地のいずれかを管轄する登記所から選べます。申出と一覧図の写しの受取りは郵送にも対応しています。
必要書類
戸籍を窓口請求する場合
- 戸籍証明書等の交付請求書
- 運転免許証、マイナンバーカードなどの本人確認書類
- 請求者と対象者の関係が請求先の戸籍で確認できない場合、その関係が分かる戸籍
- 代理人請求では委任状。ただし広域交付は代理人不可
戸籍を郵送請求する場合
- 交付請求書、本人確認書類の写し、手数料、返信用封筒など
- 請求対象と使用目的、必要な範囲が分かる記載
必要な定額小為替や支払い方法は自治体ごとに確認してください。広域交付は郵送請求の対象外です。
法定相続情報一覧図を申し出る場合
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸除籍謄本
- 亡くなった方の住民票の除票
- 相続人全員の現在戸籍(相続開始後に発行されたもの)
- 申出人の氏名・住所を確認できる公的書類
- 作成した法定相続情報一覧図と申出書
費用
戸籍証明書等には市区町村所定の交付手数料と、郵送なら送料等がかかります。相続関係が複雑なほど取得通数が増えます。法定相続情報一覧図の保管・認証文付き写しの交付手数料は無料です。最新の交付手数料と支払い方法は各市区町村へ確認してください。
自分でできるか
親子関係が単純で、本籍の移動が少ない場合は、自分で戸籍を読みながら請求できます。請求時には「相続手続に使うため、出生から死亡まで連続した戸籍が必要」と伝えると目的を共有しやすくなります。ただし、一つの市区町村だけで全期間がそろうとは限りません。
専門家に相談した方がよいケース
- 兄弟姉妹やおい・めいが相続人となり、複数世代の戸籍が必要
- 転籍が多い、古い手書き戸籍が読めない、外国籍・海外戸籍が関係する
- 認知、養子縁組、離婚再婚、代襲相続など身分関係が複雑
- 連絡先不明の相続人や行方不明者がいる
- 相続放棄の3か月が迫り、財産・債務調査も必要
- 不動産登記や遺産分割協議書まで一体で進めたい
戸籍収集や法定相続情報一覧図は司法書士等へ依頼できます。相続人間に争いがある場合は弁護士への相談も検討します。
注意点
- 兄弟姉妹の戸籍:兄弟姉妹は広域交付で直接請求できる範囲に含まれません。本籍地請求などを組み合わせます。
- 古い戸籍:改製前・除籍済みの情報が別の証明書に分かれる場合があります。
- 取得時点:相続人の現在戸籍は、原則として相続開始後に取得します。
- 一覧図の限界:法定相続情報一覧図は戸籍上の法定相続関係を証明するもので、遺産の内容、相続放棄、遺産分割協議の結果は反映しません。利用先によっては一覧図以外の書類も必要です。
- 利用できない場合:亡くなった方や相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄抄本を提出できない場合は法定相続情報証明制度を利用できません。
- 再交付:一覧図は申出日の翌年から5年間保存され、その期間中は当初の申出人に限り再交付を申し出られます。
- 個人情報:戸籍データをクラウドやメールで扱う場合は、閲覧権限と保存期間を限定します。
よくある質問
死亡時の戸籍謄本1通だけで足りますか
通常は足りません。死亡時の戸籍から出生時まで連続して確認し、前婚の子や認知した子などを含めて相続人を確定します。
近くの役所ですべての戸籍を取れますか
広域交付の対象範囲なら取得できますが、すべてではありません。兄弟姉妹の戸籍、個人事項証明書(戸籍抄本)・一部事項証明書、戸籍の附票、コンピュータ化されていない一部の戸籍などは対象外です。代理人・郵送・第三者・職務上請求も広域交付には使えません。
法定相続情報一覧図は必ず作る必要がありますか
義務ではありません。銀行、登記、税務など複数の手続先へ戸籍一式を繰り返し提出する負担を減らしたい場合に便利です。
相続人が一人でも遺産分割協議書は必要ですか
相続人が一人なら共同相続人間の協議はありません。ただし、各手続先が求める戸籍や書類は別途必要です。
関連する相続手続き
野田市・柏市・流山市・松戸市の戸籍窓口
本籍地以外の戸籍を広域交付で請求する場合は、請求できる本人が顔写真付きの公的本人確認書類を持参します。出生から死亡までの連続戸籍は当日交付されないことがあるため、時間に余裕を持って各市の戸籍窓口へ確認してください。
法定相続情報一覧図を申し出る法務局
申出先を亡くなった方の最後の住所地または不動産所在地で選ぶ場合、野田市・柏市は千葉地方法務局 柏支局(04-7167-3309)、流山市・松戸市は千葉地方法務局 松戸支局(047-363-6278)が該当します。ただし、死亡時の本籍地・申出人住所地を基準に別の登記所を選べる場合があります。
管轄・電話番号の確認日:2026-08-25。来庁前にリンク先の最新案内をご確認ください。
参考にした公式情報
- 法務省「戸籍証明書等の広域交付」
- 法務省「戸籍ABC」
- 法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続」
- 法務局「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」
- e-Gov法令検索「民法」
- 国税庁「相続税の申告のための準備」
- 野田市「戸籍の広域交付について」
- 柏市「戸籍証明書の広域交付」
- 流山市「戸籍証明書等の広域交付」
- 松戸市「戸籍証明書等の広域交付について」
- 千葉地方法務局「法定相続情報証明制度の管轄区域一覧」
情報確認日:2026年8月25日
この記事は一般的な制度の説明です。必要な戸籍は家族関係により異なります。請求前に市区町村、法務局または依頼する専門家へ最新の受付方法と必要書類を確認してください。