生命保険は、死亡保険金の請求か、継続する契約の名義変更かを先に確認します。保険証券で契約者・被保険者・受取人を確認し、故人がどの立場だったかを保険会社へ伝えます。この記事では、必要書類、契約先が不明な場合の調べ方、受取人が先に亡くなった場合の確認事項を整理します。
No.73 生命保険の死亡後に確認すること
- 故人の立場
- 主な手続き
- 被保険者
- 契約上の死亡保険金受取人が保険会社へ請求
- 契約者のみ
- 継続契約の権利取得者を確定し、契約者変更
- 受取人のみ
- 被保険者の死亡前なら受取人変更を検討
- 請求時効
- 保険給付請求権は行使できる時から原則3年
- 契約先不明
- 書類・口座履歴を調べ、契約照会制度を検討
契約者・被保険者・受取人・保険料負担者を分ける
生命保険の死亡後手続き10STEP
- 1
保険証券、契約内容通知、控除証明書、通帳履歴を集める
- 2
契約ごとに契約者・被保険者・受取人・保険料負担者を確認する
- 3
被保険者死亡、契約者死亡、受取人死亡のどれかを分ける
- 4
証券番号、死亡日、死亡原因を保険会社の公式窓口へ伝える
- 5
死亡保険金請求か、継続契約の契約者・受取人変更かを確認する
- 6
契約先不明なら書類と口座履歴を調べ、照会制度を検討する
- 7
契約先指定の請求書、死亡証明、戸籍、本人確認資料をそろえる
- 8
3年の時効を待たず、請求・変更書類を提出する
- 9
保険料負担者と受取人から所得税・相続税・贈与税を確認する
- 10
支払明細、変更通知、解約返戻金証明、税務資料を保存する
誰が、どの立場で亡くなったかを確認する
生命保険の死亡後手続きは、故人が被保険者、契約者、死亡保険金受取人のどの立場だったかで変わります。同一人物が複数の立場を兼ねる契約もあります。保険証券、契約内容通知、保険料控除証明書、保険会社からの郵便物で、契約ごとに3者と証券番号を確認してください。
- 被保険者が死亡:契約上の死亡保険金受取人が保険会社へ請求します。
- 契約者だけが死亡:被保険者が生存している契約について、相続する契約上の権利と契約者変更を確認します。
- 受取人が先に死亡:被保険者の死亡前なら、契約者が受取人変更を検討します。
被保険者が死亡した場合
保険法50条は、契約者または保険金受取人が被保険者の死亡を知ったときは、遅滞なく保険会社へ通知するよう定めています。契約上の受取人が、証券番号、死亡日、死亡原因などを各社の公式窓口へ伝え、請求書類の案内を受けます。
第一生命の公式案内では、死亡保険金請求書、死亡診断書または死体検案書のコピー、受取人の本人確認書類などを例示しています。事故の場合は事故状況報告書や交通事故証明書が必要になることがあります。契約・金額・死亡原因により省略または追加があるため、先に契約先へ確認してください。
生前の入院や手術について未請求分がある場合は、死亡後の入院・手術給付金の請求も確認してください。死亡保険金と未請求給付金を分けて整理できます。
請求期限は原則3年
保険法95条は、保険給付を請求する権利を、行使できる時から3年間行使しないときは時効により消滅すると定めています。3年は保険会社への連絡日ではなく、権利の時効に関する期間です。支払事由や起算点に疑問がある場合も、死亡判明後すぐ保険会社へ請求意思を伝えてください。
3年経過後に個別確認を受け付ける会社があっても、支払いが保証されるわけではありません。診断書や戸籍の取得を待って連絡自体を遅らせないことが大切です。
契約者だけが死亡し、被保険者が生存している場合
死亡保険金の請求ではなく、継続中の保険契約に関する権利を誰が取得するかを確認します。国税庁は、相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利を、原則としてその時点の解約返戻金額で評価するとしています。前納保険料や配当等の加算、源泉税相当額の控除がある場合もあります。
遺言・遺産分割・相続関係を確認したうえで保険会社へ契約者変更を申し出ます。明治安田の公式案内では、契約者変更に被保険者の同意が必要で、現契約者・新契約者の本人確認書類などを案内しています。死亡した現契約者の手続きでは必要書類が異なるため、戸籍や遺産分割書類を取得する前に契約先へ確認します。
新契約者、受取人、保険料振替口座、住所・連絡先、契約者貸付、質権の有無も一緒に確認してください。契約者変更は将来の保険金課税関係にも影響し得ます。
相続関係の確認には相続人調査と必要な戸籍、権利を取得する人の合意を書面にする場合は遺産分割協議書の作成を参照してください。
受取人が被保険者より先に死亡していた場合
保険法46条は、保険金受取人が保険事故の前に死亡したとき、その相続人全員が保険金受取人になると定めています。被保険者の死亡前であれば、契約者は新しい受取人を指定する手続きを検討します。死亡保険金受取人の変更は、同法45条により被保険者の同意が必要です。
変更しないまま被保険者も死亡した場合、故人同士の死亡順序、元の受取人の相続人、約款、変更通知の有無を保険会社が確認します。家族だけで受取割合を決めて請求書へ書かず、戸籍を準備して契約先へ相談してください。
契約先が分からない場合
まず生命保険証券、契約内容通知、年末の控除証明書、郵便物、メール、通帳・カードの保険料支払履歴、勤務先の団体保険を確認します。それでも不明なら、生命保険協会の生命保険契約照会制度を検討します。
この制度は、死亡した親族等が契約者または被保険者となっている、協会会員会社の個人保険契約の有無を照会する制度です。利用料は調査対象者1名につきWEB申請6,000円、書面申請7,000円です。死亡日まで最低3年間さかのぼった有効契約が対象で、支払済み、解約済み、失効済み、支払開始済み年金、据置保険金などは対象外です。契約が見つかった後の内容照会・保険金請求は各保険会社へ行います。
WEB申請は2026年9月15日に再開され、書面申請も利用できます。生命保険協会の再開発表と制度案内を2026年10月12日に確認しました。書面申請は通常より時間がかかるとの案内があるため、申請時に最新の受付状況も確認してください。
必要書類
- 保険会社所定の死亡保険金請求書または名義変更請求書
- 保険証券、契約内容通知など証券番号が分かる資料
- 死亡診断書または死体検案書のコピー等
- 死亡の事実、故人と請求者の関係が分かる戸籍・除籍等
- 受取人・新契約者の本人確認書類
- 保険金の振込口座が分かる資料
- 契約者変更時の遺言・遺産分割関係書類
- 事故死亡の場合の事故状況報告書・交通事故証明書等
診断書の代替書類、戸籍の有効期限、原本・コピーの別、印鑑証明書、マイナンバーの提出要否は契約ごとに異なります。保険会社から案内を受けてから取得してください。
税金は「保険料を実際に負担した人」で分かれる
国税庁の公式案内では、被保険者Aの死亡保険金について、保険料負担者と受取人が同じBなら所得税、保険料負担者が被保険者Aで受取人がBなら相続税、保険料負担者B・受取人Cなら贈与税の対象と整理しています。契約者名だけで決めず、実際の保険料負担者とその履歴を確認します。
被相続人が保険料を負担し、相続人が死亡保険金を受け取る場合、相続税の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です。相続人以外が受け取った保険金にはこの非課税規定はありません。相続放棄をした人の受取分や、複数契約・複数受取人がある場合は税理士または税務署へ確認してください。
費用
保険会社への死亡保険金請求・名義変更の手数料は契約先へ確認します。戸籍・証明書の交付手数料、診断書料、郵送費が主な実費です。生命保険契約照会制度は、2026年10月12日の公式案内確認時点でWEB申請6,000円、書面申請7,000円です。相続・税務・紛争対応を専門家へ依頼する場合は別途報酬がかかります。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
生命保険の保険金請求や契約者・受取人変更に住所地別の市役所管轄はありません。手続き先は各契約の生命保険会社です。証券番号が分かる資料を用意して、各社の公式窓口へ連絡してください。市のおくやみ窓口は市役所内の手続きの案内先であり、保険金の支払査定や名義変更は行いません。
契約先が不明な場合は、まず証券・郵便物・通帳の保険料履歴を調べ、見つからなければ生命保険協会の契約照会制度を検討します。市窓口・電話番号の確認日:2026-09-05。
自分でできるか
契約先、被保険者、受取人が明確であれば、受取人が保険会社の案内に沿って請求できます。契約者だけが死亡したケースや受取人が先に死亡したケースは、相続人と取得者を確定してから進めます。
専門家に相談した方がよいケース
- 契約者・被保険者・保険料負担者・受取人がそれぞれ異なる
- 受取人が先に死亡し、その相続人が複数または不明
- 契約者死亡後の権利を誰が取得するか相続人間で決まらない
- 相続放棄、遺言、未成年者、成年被後見人が関係する
- 契約者貸付、質権、差押え、法人契約がある
- 3年の時効が迫る、または支払査定・受取人指定に争いがある
注意点
- 故人としてログインしない:故人名義のWebアカウントを操作せず、遺族として公式窓口へ連絡します。
- 「契約者」と「被保険者」を混同しない:死亡保険金請求と契約者変更は別手続きです。
- 3年を待たない:戸籍・診断書の準備前でも、まず保険会社へ連絡します。
- 照会制度だけで終わらない:契約が見つかったら各社へ別途請求します。
- 税金は実質負担者で確認:契約者欄だけで所得税・相続税・贈与税を判定しません。
- 市役所は保険の窓口ではない:4市のおくやみ窓口は市の手続き案内先です。
よくある質問
死亡保険金は相続人全員で請求しますか
契約上の死亡保険金受取人が請求するのが基本です。受取人が被保険者より先に死亡していた場合は、保険法46条、約款、死亡順序、戸籍を基に保険会社が請求権者を確認します。
保険証券がなくても請求できますか
証券がなくても契約を特定できれば手続きできる場合があります。契約者・被保険者の氏名、生年月日、旧住所、保険料履歴などを契約先へ伝えてください。
3年を過ぎたら絶対に請求できませんか
保険法上の請求権は原則3年で時効消滅します。経過後の扱いは個別確認となり、支払いは保証されません。直ちに契約先へ相談してください。
契約者が亡くなったら保険は必ず解約ですか
必ずしも解約ではありません。被保険者が生存している契約は、権利を取得する人を確定し、保険会社の承諾・必要書類に基づいて契約者変更を行える場合があります。
生命保険契約照会制度で保険金まで受け取れますか
受け取れません。制度は協会会員会社への契約有無の照会であり、契約内容の開示や保険金請求は、見つかった各保険会社へ別途行います。
関連する相続手続き
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「保険法」
- 生命保険協会「生命保険契約照会制度」
- 生命保険協会「会員会社一覧」
- 第一生命「死亡保険金請求の提出書類例」
- 日本生命「保険金・給付金を請求する」
- 日本生命「受取人が死亡したとき」
- 明治安田「契約者の変更」
- 国税庁「死亡保険金を受け取ったとき」
- 国税庁「相続税の課税対象になる死亡保険金」
- 国税庁「生命保険契約に関する権利の評価」
- 国税庁「生命保険契約に関する権利関係」
- 野田市「おくやみコーナー」
- 柏市「ご遺族支援コーナー」
- 流山市「おくやみ相談窓口」
- 松戸市「お悔やみ」
情報確認日:2026年9月5日
生命保険は契約内容、約款、関係者、保険料負担履歴、死亡原因によって必要書類・請求権者・税務が変わります。請求前に契約先の生命保険会社と、必要に応じて税務署・専門家へ最新案内を確認してください。