相続手続き100チェックリスト No.62。信用金庫・JA・生協等の出資金は預貯金とは別の会員・組合員の持分です。多くの根拠法に脱退時から2年の時効規定があるため、実際の出資先へ早めに死亡を連絡し、承継・死亡脱退・払戻しと関連取引を確認します。
No.62 出資金相続で確認する6項目
- 確認項目
- 確認する内容
- 出資先
- 法人名、団体種別、所属店舗、会員・組合員番号
- 手続区分
- 死亡脱退、持分払戻し、資格承継・新規加入の可否
- 期限
- 脱退から2年の時効、定款上の承継申出期限
- 払戻額
- 払込額、年度末財産による持分、配当、控除額
- 債務
- 借入、未払代金、賦課金による払戻停止の有無
- 関連取引
- 預貯金、共済・保険、購買・販売、宅配等の別手続き
預貯金とは別に、出資金の死亡手続きを申し出る
信用金庫・JA等の口座を解約しても、会員・組合員出資まで自動的に払い戻されるとは限りません。出資証券、組合員証、配当通知等から実際の出資先を特定し、死亡脱退・承継・持分払戻しの専用手続きを確認します。
信用金庫法など複数の根拠法には、脱退時から2年の時効規定があります。信用金庫の持分承継には定款所定期間内の申出が必要なので、2年を待たず直ちに連絡してください。
死亡後の出資金を整理する9STEP
- 1
出資証券、組合員証、配当通知、通帳から出資先を探す
- 2
法人名、団体種別、所属店舗、会員・組合員番号を特定する
- 3
相続放棄を検討するか確認し、先に払戻金を使わない
- 4
実際の出資先へ死亡を連絡し、出資口数・残高を照会する
- 5
持分承継、死亡脱退、払戻し、新規加入の選択肢を確認する
- 6
2年の時効と定款上の申出期限・払戻時期を確認する
- 7
戸籍、遺言・協議書、本人確認書類、所定書式をそろえる
- 8
預貯金、借入、共済、購買・販売等の別手続きも確認する
- 9
持分計算書、控除額、入金日を確認して記録を保存する
誰が必要か
亡くなった方が信用金庫、信用組合、JA、生協、森林組合等の会員・組合員で、出資金を持っていた場合に、相続人、受遺者、遺言執行者等が出資先へ連絡します。出資金は預貯金と別の権利なので、口座の相続手続きだけでは終わらないことがあります。
期限
後回しにせず、死亡が分かった時点で出資先へ連絡してください。信用金庫法、農業協同組合法、消費生活協同組合法、中小企業等協同組合法、森林組合法には、脱退に伴う持分払戻請求権を脱退時から2年間行使しないと時効で消滅する規定があります。
信用金庫で相続人が会員資格を引き継ぐ場合は、別に「定款で定める期間内」の加入申出が必要です。2年だけを目安にせず、定款・規約と出資先の案内を直ちに確認します。
最初に確認する書類
- 出資証券、会員証、組合員証、出資金残高通知
- 出資配当金の通知、総会・総代会の案内
- 信用金庫・信用組合・JAの通帳や取引明細
- 生協の注文書、宅配明細、組合員コード
- 森林組合の組合員名簿・賦課金等の通知
証券が見つからなくても、氏名、住所、生年月日、会員番号等で照会できることがあります。紛失届や追加資料が必要か、実際の出資先へ確認してください。
信用金庫の出資金
信用金庫法14条では、死亡した会員の相続人が会員資格を備え、定款所定期間内に加入を申し出たとき、相続開始時に会員となり持分の権利義務を承継すると定めています。相続人が複数いる場合、この扱いを受けられるのは相続人の同意で選ばれた1人です。
承継しない場合などは死亡による法定脱退となり、定款に従って持分の全部または一部の払戻しを請求します。払戻額は脱退した事業年度末の金庫財産によって定まり、請求権は脱退時から2年で時効消滅します。故人が金庫へ債務を負うときは、完済まで払戻しを停止できる規定があります。
信用組合の出資金
信用協同組合には中小企業等協同組合法の組合員・持分に関する規定が適用されます。死亡は法定脱退事由で、定款に従う持分払戻し、事業年度末の組合財産による計算、脱退時から2年の時効、債務完済までの払戻停止が定められています。預金の相続とは別に、会員出資の届出を確認します。
JAの出資金
農業協同組合法21条~25条では、組合員の死亡を脱退事由とし、定款に従う持分払戻し、脱退した事業年度末の組合財産による計算、脱退時から2年の時効、組合への債務を完済するまでの払戻停止を定めています。
正組合員・准組合員の別、農地や事業の承継後に相続人が新たに加入できるか、出資配当の扱いはJAごとに確認します。貯金、JA共済、購買代金、販売代金、融資は出資金とは別の手続きです。
生協の出資金
消費生活協同組合法20条~24条では、組合員の死亡は法定脱退事由です。脱退した組合員は定款の定めにより払込済出資額の全部または一部の払戻しを請求でき、請求権は脱退時から2年で時効消滅します。組合への債務が完済されるまで払戻しを停止できる規定もあります。
コープみらいは出資金を会費ではなく組合運営の資金と説明し、脱退時に返すと案内しています。死亡した組合員の手続きは通常の本人脱退と必要書類が異なり得るため、組合員情報センターへ死亡の事実、組合員コード、宅配・店舗利用、未払代金、共済・保険の有無を伝えてください。
森林組合の出資金
森林組合法37条~40条も、死亡による法定脱退、定款に従う持分払戻し、脱退した事業年度末の組合財産による計算、2年の時効、債務完済までの払戻停止を定めています。森林の所有権移転、施業委託、賦課金等は別に確認し、森林を取得する相続人が加入資格を持つかも組合へ相談します。
払戻額と支払時期
出資証券に記載された払込額が、そのまま直ちに返金されるとは限りません。信用金庫、JA、信用組合、森林組合では、法律上、脱退した事業年度末の団体財産を基準に持分を定める規定があります。定款、決算、未払債務によって金額や支払時期が変わり得ます。
生協も根拠法と定款に従います。払込済出資額、増資分、未払配当、利用代金、共済・保険等を分けた計算書を受け取り、振込日と控除の理由を確認してください。
必要書類
- 団体所定の死亡届、脱退届、持分払戻請求書または承継申出書
- 出資証券、会員証、組合員証、組合員コードが分かる資料
- 死亡が確認できる戸籍・除籍
- 被相続人と相続人の関係が分かる戸籍一式または法定相続情報一覧図
- 遺言書、遺産分割協議書、調停調書・審判書等
- 請求者の本人確認書類、印鑑証明書
- 払戻先口座が分かる資料
誰の署名・実印が必要か、原本を返却してもらえるか、証券紛失時に何を追加するかは出資先ごとに異なります。提出前に専用の必要書類一覧を取り寄せてください。
出資先に借入・未払金がある場合
故人が同じ団体へ借入金、購買代金、利用代金、賦課金等を負っていると、法令・定款により払戻しが停止される場合があります。出資金だけを受け取れると決めつけず、預貯金、融資、共済、購買・販売、宅配等を含む取引全体を照会します。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
出資金は市役所が払い戻すものではなく、故人が実際に加入していた信用金庫・信用組合・JA・生協・森林組合等が手続き先です。住所だけで出資先は決まりません。出資証券、組合員証、配当通知、通帳の記載から法人名と所属店舗を特定し、その窓口を最優先してください。下記のJAは地域内にある窓口の例で、故人の出資先とは限りません。
4市はいずれもコープみらいの千葉エリアです。生協の出資先がコープみらいなら、組合員情報センター(0120-677-300、9時~18時・日曜休み)へ死亡した組合員の手続きであることを伝え、必要書類を確認してください。
管轄・電話番号の確認日:2026-09-03。JAは所属支店、信用金庫・信用組合は会員店舗、生協は組合員窓口など、実際の出資先が指定する最新窓口を優先してください。
相続放棄を検討している場合
裁判所は、相続放棄の申述を原則として自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内と案内しています。出資金の存在・金額を照会することと、払戻金を受け取って使うことは分けて考え、相続放棄を検討中は承継申出・払戻請求・債務精算を行う前に専門家へ確認してください。
費用
団体への手数料、振込料、郵送料の有無は個別確認です。戸籍、印鑑証明書、法定相続情報一覧図の準備等に実費がかかる場合があります。承継・新規加入では追加出資等が必要になることもあるため、申込前に確認します。
自分でできるか
出資先が判明し、相続人と取得者に争いがなく、借入・事業・農地・森林等の承継が絡まなければ、相続人自身で窓口へ連絡して進められます。団体ごとに書式が違うため、戸籍を集める前に必要書類を確認すると無駄を減らせます。
専門家に相談した方がよいケース
- 2年が迫っている、または既に経過している
- 信用金庫の会員資格・持分承継を希望する相続人が複数いる
- 農地、森林、個人事業と一体で組合員資格を検討する
- 借入、保証、担保、未払代金があり払戻しが止まっている
- 払戻額、持分評価、控除額に争いがある
- 相続放棄を検討中で、請求・受領してよいか判断できない
注意点
- 預貯金と分ける:口座解約だけで出資金まで処理済みとは限りません。
- 2年を待たない:多くの根拠法に2年時効があり、承継申出には定款上の別期限もあり得ます。
- 出資先を特定する:住所地の市役所や地域JAではなく、故人が実際に加入した法人・店舗を確認します。
- 関連取引を分ける:預貯金、共済、保険、借入、購買、販売、宅配等は別手続きになることがあります。
- 金額を決めつけない:払込額、持分計算、債務控除、配当、支払時期を計算書で確認します。
- 記録を保存する:請求書控え、持分計算書、配当明細、振込記録を相続資料として残します。
よくある質問
出資証券を紛失しても手続きできますか
紛失届や本人・相続関係を示す追加資料で進められる場合があります。再発行の要否を実際の出資先へ確認してください。
相続人がそのまま信用金庫の会員になれますか
会員資格を備える相続人が定款所定期間内に加入を申し出る制度があります。相続人が複数の場合は同意で選ばれた1人に限られるため、早めに金庫へ相談してください。
JAや生協も2年以内ですか
農業協同組合法と消費生活協同組合法には、脱退に伴う払戻請求権を脱退時から2年間行使しないと時効で消滅する規定があります。定款上の手続期限・支払時期もあるため、2年直前まで待たないでください。
市役所で出資先や金額を調べられますか
通常はできません。出資証券、組合員証、配当通知、通帳、郵便物等から実際の法人と店舗を特定し、その出資先へ照会します。
口座を解約すれば信用金庫・JAの出資金も返りますか
預貯金と会員・組合員出資は別の権利です。相続預金の払戻しと、死亡脱退・持分承継・出資金払戻しの双方が完了したか確認してください。
関連する相続手続き
- No.1 遺言書の有無を確認する
- No.2 相続人を確定する
- No.4 遺産分割協議書を作成する
- No.61 預貯金口座を解約する
- No.64 銀行等からの借入金を確認する
- No.99 相続放棄を申し立てる
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「信用金庫法」
- e-Gov法令検索「農業協同組合法」
- e-Gov法令検索「消費生活協同組合法」
- e-Gov法令検索「中小企業等協同組合法」
- e-Gov法令検索「森林組合法」
- コープみらい「コープの出資金」
- コープみらい「お問い合わせ」
- JAちば東葛「店舗案内」
- JAとうかつ中央「当JAについて」
- JAとうかつ中央「各店舗案内」
- 裁判所「相続の放棄の申述」
情報確認日:2026年9月12日
各団体の定款、個別の会員資格、必要書類、払戻額、締切日、支払日は公式サイトだけで一律に確定できません。必ず故人が実際に加入していた団体・所属店舗の最新案内を確認してください。