相続手続き100チェックリスト No.78。火災保険・地震保険は、契約者、建物・家財の被保険者、所有者を分けて相続後の実態へ変更します。空き家・賃貸化・共有・質権も契約先へ申告します。「3年」は名義変更期限ではなく、保険給付請求権等を行使できる時からの原則的な消滅時効です。
No.78 火災保険・地震保険の死亡後に確認すること
- 確認項目
- 主な対応
- 契約・所有者
- 契約者、建物・家財の被保険者、所有者を別々に確認
- 利用状況
- 居住、空き家、賃貸、店舗併用など相続後の実態を申告
- 地震保険
- 火災保険に付帯。変更・解約時は必ず一緒に確認
- ローン・質権
- 金融機関等の同意や質権整理が必要か確認
- 3年時効
- 名義変更期限ではなく、保険給付請求権等の原則
3年は名義変更期限ではない。死亡後すぐ契約先へ連絡する
相続登記の完了を待たず、契約者死亡・所有関係・居住状況を契約先へ伝えます。建物と家財、火災保険と地震保険を分けて確認してください。
保険法95条の3年は保険給付請求権等を行使できる時からの時効です。名義変更を3年間待てるという意味ではありません。
火災保険・地震保険の死亡後手続き10STEP
- 1
保険証券、継続証、満期案内、保険料履歴を集める
- 2
契約者、建物・家財の被保険者、所有者を分けて確認する
- 3
地震保険の付帯、住宅ローン、質権、特約火災保険を調べる
- 4
死亡前後の火災・漏水・風水害・地震等の損害を確認する
- 5
相続後の所有者、共有持分、居住者、用途、空き家期間を整理する
- 6
相続人から保険会社・共済・取扱代理店へ死亡を連絡する
- 7
継続なら契約者・被保険者・保険料口座・補償内容を変更する
- 8
売却・解体・切替えなら補償の空白を作らず解約日を決める
- 9
未請求損害は3年を待たず、写真・見積書等を添えて請求する
- 10
変更確認書、新証券、返戻金、保険金支払資料を保存する
誰が必要か
故人が住宅、貸家、マンション、家財の火災保険・地震保険の契約者、被保険者、または所有者だった場合です。建物を取得する相続人だけでなく、保険契約上の権利を承継して変更・解約する相続人も確認します。
死亡だけで放置せず、契約名義を相続人へ変更する
東京海上日動の公式FAQは、火災保険の契約者が死亡した場合、相続人への契約名義変更が必要であり、解約する場合も契約名義の変更が必要と案内しています。これは同社の手続例ですが、故人名義のままオンライン操作や署名をせず、相続人から契約先へ連絡してください。
死亡日だけで補償の継続・終了を一律判断できません。契約の承継者、現在の被保険者、保険料の支払状況、満期日、自動継続の有無を契約先へ確認します。
契約者・被保険者・建物所有者・家財所有者を分ける
- 契約者:保険会社と契約し、変更・解約を行う人
- 建物の被保険者:建物について保険の利益を受ける所有者等
- 家財の被保険者:対象家財の所有者。建物所有者と同じとは限らない
- 保険料負担者:口座・カードの停止後も支払方法を引き継げるか確認
損保ジャパンの公式案内も、譲渡・相続・贈与で保険対象の所有者が変わった場合は、代理店または営業店で変更手続きが必要としています。建物と家財を一括して同じ人へ変更できるとは限りません。
建物を単独相続・共有相続する場合
単独相続なら、相続後の所有者、居住者、用途、所在地、構造、床面積、保険金額、保険料口座を確認します。共有相続なら、共有者全員の持分と被保険者の記載方法、代表契約者、保険金の請求・受領方法を契約先へ確認してください。
遺産分割前は、誰を暫定的な連絡先・契約承継者にするか、補償を途切れさせずに維持できるかを先に相談します。相続登記が完了するまで何もしなくてよい、という意味ではありません。
空き家・賃貸・店舗併用へ変わる場合
死亡後に誰も住まなくなる、賃貸へ出す、店舗・事務所として使うなど、建物の用法や管理実態が変わる場合は正確に伝えます。日本損害保険協会は、建物の構造・用法の変更や家財の移転を通知事項の例とし、建物譲渡時には保険会社への通知と承認手続きが必要と説明しています。
「空き家でも元の住宅用契約で必ず補償される」「誰も住まなくなった瞬間に必ず失効する」のどちらとも一律にはいえません。無人期間、管理頻度、ライフライン、売却・解体予定、残す家財を契約先へ伝え、引受可否と補償範囲を書面で確認してください。
地震保険は火災保険と必ず一緒に確認する
財務省によると、地震保険は単独で契約できず、火災保険に付帯します。火災保険の名義変更・解約・切替えをするときは、地震保険も同時に確認してください。
財務省の地震保険制度概要では、地震保険は居住用建物・家財について、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失を補償します。通常の火災保険だけでは、地震を原因とする火災等が補償されないため、付帯の有無を証券で確認してください。
売却・解体・他社切替えで解約する場合
契約承継者を確定し、所有権移転日、買主への引渡日、解体日、新契約の始期日時を確認して補償の空白を作らないようにします。長期契約では解約返戻金が生じることがありますが、単純な日割りとは限りません。地震保険だけを残すことはできません。
買主が同じ保険をそのまま承継できるとは限らず、保険会社の事前承認や買主の新規契約が必要な場合があります。売買契約だけで火災保険も自動移転すると考えないでください。
住宅ローン・質権・特約火災保険を確認する
日本損害保険協会は、住宅ローンの債権保全のため、金融機関が火災保険金請求権に質権を設定する場合があると説明しています。質権や譲渡担保権がある契約の変更・解約には、金融機関等の同意が必要になる場合があります。団体信用生命保険でローンが完済されても、火災保険の質権が自動的に整理されるとは限らないため、取扱金融機関にも確認してください。
住宅金融支援機構によると、旧制度の特約火災保険は2025年9月30日で継続受付を終了しています。古い住宅ローン資料に特約火災保険・特約地震保険がある場合は、幹事保険会社の専用窓口へ確認します。
死亡前後の損害を確認する
火災、漏水、風災、水災、落雷、盗難、地震等の未報告損害がないか、居住者、管理会社、近隣、写真、修繕記録を確認します。事故日が保険期間中でも、事故原因・損害・対象物を確認できなければ支払判断が難しくなるため、解約前後を問わず直ちに事故受付へ連絡してください。
「3年」は名義変更期限ではなく保険金請求等の時効
保険法95条は、保険給付請求権、保険料返還請求権等を行使できる時から3年間行使しないと時効により消滅すると定めています。日本損害保険協会も、起算日は保険商品や保険金の種類により異なるため、事故後速やかに通知・請求するよう案内しています。
死亡から3年以内なら名義変更を待てるという意味ではありません。契約内容の変更は死亡・所有関係・用途変更が分かった時点で速やかに相談し、事故の請求も証拠が残っているうちに行ってください。
必要書類
- 保険証券、継続証、契約番号、満期案内
- 故人の死亡が分かる戸籍・除籍謄本等
- 申請者の相続関係が分かる戸籍等
- 遺言書、遺産分割協議書、相続人代表者届・同意書等
- 相続登記後の登記事項証明書、固定資産税資料等
- 新契約者・被保険者の本人確認資料
- 建物の所在地・構造・用途・床面積・居住状況が分かる資料
- 保険料支払口座・カード、解約返戻金口座
- 質権者・金融機関の同意書類(該当する場合)
- 事故写真、修理見積書、罹災証明書等(損害がある場合)
必要書類、原本・写し、有効期限は契約先と物件状況で異なります。登記や戸籍を取得する前に一覧を取り寄せてください。
費用
名義変更の事務手数料の有無は契約先へ確認します。所有者、用途、空き家状態、構造、補償額、免責金額、地震保険の付帯等により追加保険料または返金が発生する場合があります。戸籍・登記事項証明書・郵送等の実費も見込みます。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
4市とも、火災保険・地震保険の名義変更、補償内容、事故受付、解約は、保険証券・継続証・満期案内に記載された損害保険会社・共済・取扱代理店が窓口です。市役所は契約変更や保険金支払を判断しません。相続登記、固定資産税、防災など市役所内外の関連手続きは各市のおくやみ窓口で案内を受けられます。
野田市
火災・地震保険:契約している保険会社・共済・代理店
保険契約に市役所の住所地管轄はありません。市役所内の関連手続きは野田市おくやみコーナーで案内を受けられます。
柏市
火災・地震保険:契約している保険会社・共済・代理店
保険契約に市役所の住所地管轄はありません。市役所内の関連手続きは柏市ご遺族支援コーナーで案内を受けられます。
流山市
火災・地震保険:契約している保険会社・共済・代理店
保険契約に市役所の住所地管轄はありません。市役所内の関連手続きは流山市おくやみ相談窓口で案内を受けられます。
松戸市
火災・地震保険:契約している保険会社・共済・代理店
保険契約に市役所の住所地管轄はありません。市役所内の関連手続きは松戸市お悔やみ案内で案内を受けられます。
契約先が不明なときは、保険証券、更新案内、通帳・カードの保険料履歴、住宅ローン資料、管理会社の書類を確認してください。市窓口・電話番号の確認日:2026-09-08。
自分でできるか
物件取得者、利用方法、契約先が明確で、事故・質権・共有問題がなければ、相続人が保険会社の案内に沿って進められます。「建物」「家財」「地震保険」「質権」「未請求事故」を別々に確認してください。
専門家に相談した方がよいケース
- 遺産分割前、共有相続、所有権争いがある
- 空き家、賃貸物件、店舗併用、事業用建物へ変わる
- 住宅ローン、質権、譲渡担保権、特約火災保険がある
- 死亡前後の損害・保険金請求が残る
- 相続放棄を検討中で契約変更・解約をしてよいか迷う
- 保険金の支払可否・損害額・免責に争いがある
注意点
- 3年まで放置しない:3年は名義変更期限ではありません。
- 建物と家財を分ける:所有者・被保険者が異なる場合があります。
- 空き家・用途変更を伝える:元の住宅用契約をそのままにしません。
- 地震保険も同時確認:火災保険を解約すると単独では残せません。
- 質権を確認:金融機関等の同意が必要な場合があります。
- 損害を先に記録:写真・修繕記録を保存し、速やかに事故連絡します。
よくある質問
契約者が死亡すると火災保険は直ちに失効しますか
死亡だけで一律に判断できませんが、相続人への契約名義変更と補償継続の確認が必要です。相続人から契約先へ速やかに連絡してください。
相続登記が終わるまで何もしなくてもよいですか
いいえ。遺産分割・登記前の暫定対応と必要書類を契約先へ確認し、保険料不払いや補償の空白を防ぎます。
空き家でも今の火災保険を使えますか
契約・空き家の状態・管理状況により異なります。無人期間や用途を正確に伝え、継続可否と補償範囲を契約先へ確認してください。
地震保険だけ残せますか
残せません。地震保険は火災保険に付帯して契約する制度です。火災保険の変更・解約時に一緒に確認します。
死亡から3年以内なら名義変更を待てますか
3年は保険給付請求権等の消滅時効に関する期間で、名義変更期限ではありません。所有者・用途等が変わったら速やかに連絡します。
団信で住宅ローンが完済されれば質権も自動で消えますか
一律にはいえません。保険証券の質権表示、金融機関の手続き、質権消滅・承認書類を取扱金融機関と保険会社へ確認してください。
関連する相続手続き
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「保険法」
- 東京海上日動「火災保険の契約者が亡くなった場合」
- 東京海上日動「名義が変わった(権利譲渡・相続)」
- 損保ジャパン「火災・地震保険の所有者変更」
- 日本損害保険協会「火災保険の告知事項・通知事項」
- 日本損害保険協会「住宅ローンと火災保険」
- 日本損害保険協会「保険金請求の時効」
- 財務省「地震保険制度の概要」
- 財務省「地震保険だけ契約できるか」
- 住宅金融支援機構「特約火災保険・特約地震保険」
- 野田市「おくやみコーナー」
- 柏市「ご遺族支援コーナー」
- 流山市「おくやみ相談窓口」
- 松戸市「お悔やみ」
情報確認日:2026年9月8日
契約承継、被保険者、空き家の引受け、共有、質権、解約返戻金、必要書類は契約・物件状況・保険会社で異なります。変更・解約・事故請求前に契約先の最新案内を確認してください。