市役所・官公署の手続き

事業主が死亡したときの営業許可・免許|相続による承継手続き

期限
建設業は死亡後30日以内/食品・酒類は遅滞なく
確認先
許可行政庁・施設所在地の保健所・販売場所在地の税務署

個人事業主が死亡したとき、事業用財産を相続しても営業許可・免許がすべて同じ方法で引き継がれるわけではありません。食品営業は地位承継後の届出、建設業は死亡後30日以内の認可申請、酒類製造・販売は遅滞ない相続申告が基本です。許認可名、名義人、営業所・施設、許可行政庁を整理し、営業継続や廃業の前に制度別の窓口へ確認します。

食品・建設・酒類の相続承継を比較

許認可
死亡後の主な手続き
食品営業
相続人が許可・届出営業者の地位を承継し、施設所在地を管轄する保健所等へ遅滞なく地位承継届を提出
建設業
事業全部を続ける相続人が死亡後30日以内に許可行政庁へ認可申請。申請しない場合も30日以内の廃業届を確認
酒類製造・販売
引き続き営業する相続人が、製造場・販売場所在地の所轄税務署へ遅滞なく相続申告。複数人で承継する場合は連署
その他
旅館業、古物営業、宅建業、運送業などは各根拠法令を確認し、承継承認・届出・新規申請・返納を個別判断

許認可は遺産分割だけでは引き継げない

事業用財産や店舗を取得しただけで、すべての営業許可をそのまま使えるわけではありません。食品衛生法第56条は相続による地位承継と遅滞ない届出を、建設業法第17条の3は死亡後30日以内の認可申請を定めています。

酒類製造・販売は、一定の欠格要件に該当しない相続人が相続時に免許を受けたものとみなされますが、国税庁の案内に従い遅滞なく相続申告が必要です。同じ事業に複数の許認可がある場合は、一つずつ別に確認します。

営業許可・免許を引き継ぐ6STEP

1

店舗、事務所、車両、ウェブサイトから許可証・免許証・届出控え・更新通知をすべて集める

2

許認可名、番号、名義人、施設・営業所・販売場、許可行政庁、有効期限を一覧化する

3

許認可ごとの期限と、手続き中に営業できるかを各行政庁へ直ちに確認する

4

営業を継ぐ相続人を決め、制度上必要な他の相続人の同意・連署・相続関係書類をそろえる

5

地位承継届、相続認可申請、相続申告、変更届または廃業届を許認可ごとに提出する

6

受理・認可・適格通知等を確認し、責任者、掲示、更新台帳、税務・労務・契約の名義も変更する

個人事業主が死亡したときの営業許可・免許

飲食店、建設業、酒類販売、旅館業、古物営業、宅地建物取引業、運送業などには、営業主体・施設・営業所ごとの許可、免許、登録、届出があります。相続できる財産や契約と、行政法上の営業資格は同じではありません。

相続により当然に地位を承継した後で届出をする制度、期限内に認可を受ける制度、新規許可が必要な制度、営業しない場合に廃業・返納する制度があります。この記事は食品営業、建設業、酒類製造・販売の3例を扱います。ほかの許認可は許可証記載の行政庁へ個別に確認してください。

誰が手続きするか

手続きする人は制度ごとに異なります。食品営業は許可・届出営業者の地位を承継する相続人、建設業は被相続人が営んでいた建設業の全部を引き続き営む相続人、酒類製造・販売は営業を引き続き行う相続人です。

相続人が複数いる場合、食品営業や建設業では全員の同意により1人を承継者として選定する仕組みがあり、酒類製造・販売を複数人が承継する場合は相続申告書を連署します。遺産分割だけで決めず、許認可上の条件も確認します。

期限

  • 食品営業:地位を承継した相続人は、承継の事実を証する書面を添えて遅滞なく届け出ます。
  • 建設業:相続認可は被相続人の死亡後30日以内です。認可申請をしない場合の廃業届も死亡後30日以内です。
  • 酒類製造・販売:相続後遅滞なく申告します。国税庁は「事由が生じた後、できる限り早く」と案内しています。

全国共通の一つの期限はありません。ほかの許認可も短い期限があるため、遺産分割の完了を待たずに担当行政庁へ相談します。

手続き先

亡くなった方の住所だけでは決まりません。食品営業は営業施設所在地の保健所等、建設業は許可区分と主たる営業所等に応じた許可行政庁、酒類製造・販売は製造場・販売場所在地の所轄税務署です。販売場がない酒類販売業では相続人の住所地が基準になります。

千葉県知事の建設業許可について、野田市・柏市・流山市・松戸市の申請・届出相談は、千葉県の現行案内では東葛飾土木事務所です。国土交通大臣許可や、相続人が大臣許可・他県知事許可を持つ場合は申請先が異なるため、許可番号を伝えて確認します。

食品営業許可・営業届を承継する場合

食品衛生法第56条により、許可営業者に相続があったときは相続人がその地位を承継し、遅滞なく届け出ます。同法施行規則第68条は、届出者と被相続人、続柄、相続開始日、施設の許可番号等の記載事項と添付書類を定めています。

添付するのは戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写しです。相続人が2人以上おり、全員の同意で承継者を選定した場合は全員の同意書も添付します。千葉県では、登録済みの場合は食品衛生申請等システムによるオンライン手続きも案内しています。

食品営業責任者、施設名称、設備、営業内容等に変更がある場合は別の変更届や手続きが必要になることがあります。営業許可証への承継事項の裏書きを希望する場合、千葉県は許可証の持参を案内しています。

建設業許可を承継する場合

建設業法第17条の3により、被相続人の営んでいた建設業の全部を続ける相続人は、死亡後30日以内に認可を申請します。一部業種だけを選んで承継する制度ではありません。

期限内に認可申請をすると、死亡日から認可または不認可の通知まで、被相続人の許可は相続人に対してされたものとみなされます。ただし、相続人は経営業務の管理を適正に行う能力、営業所技術者等、財産的基礎、欠格要件などの許可基準を満たす必要があります。

千葉県の承継手引では、千葉県知事許可の相続認可申請手数料は不要です。申請しない場合は相続人が30日以内に廃業届を提出します。大臣許可と知事許可では相談・提出先が異なります。

酒類製造・販売業免許を承継する場合

国税庁Q&Aによると、引き続き営業する相続人は、製造場・販売場所在地の所轄税務署長へ遅滞なく申告します。相続人が酒税法所定の欠格要件に該当しないときは、相続時に被相続人の免許を受けたものとみなされます。

申告書はCC1-5131です。戸籍謄本・抄本または法定相続情報一覧図、免許要件誓約書、他の相続人が酒類販売業を承継しない場合の意思表示等を、国税庁のチェック表で確認します。複数人が同じ販売場の営業を承継する場合は連名で申告します。

e-Tax、書面の持参・送付に対応し、相続申告の手数料は不要です。個人事業を法人化して営業する場合は相続申告と同じではなく、法人側の新規免許申請と個人免許の取消申請を事前に検討します。

必要書類

次は共通する準備資料です。実際の提出書類は必ず許認可ごとの最新様式・チェック表で確認してください。

  • 許可証、免許証、登録証、届出控え、更新通知
  • 死亡日と相続関係が分かる戸籍・除籍、または法定相続情報一覧図
  • 承継者の選定同意書、連署書類、相続放棄・非承継の意思表示など制度所定の書類
  • 食品営業の地位承継届、建設業の相続認可申請書、酒類の相続申告書など専用様式
  • 施設、営業所、営業所技術者等、食品衛生責任者、酒類販売管理者等の要件資料
  • 誓約書、本人確認書類、欠格要件の確認書類、委任状等

費用

国税庁は酒類免許の相続申告を手数料不要とし、千葉県は建設業の相続認可申請を手数料不要と案内しています。食品営業の地位承継届についても、手数料の有無を管轄保健所へ確認します。

戸籍等の証明書、郵送、専門家報酬、設備変更、新規許可が必要になった場合の申請手数料などは別です。「承継」と「新規申請」で費用が異なるため、申請区分を確定してから準備します。

自分でできるか

許認可が少なく、営業主体・施設・営業所・相続人が明確であれば、公式の様式とチェック表に従って自分で手続きできます。ただし、最初に行政庁へ死亡日、許可番号、営業継続の希望を伝え、期限と営業継続の扱いを確認してください。

専門家に相談した方がよいケース

  • 建設業の30日期限が迫っている、または既に経過している
  • 事業を継ぐ相続人が決まらない、複数人が営業を希望している
  • 個人事業を法人化して営業したい
  • 複数店舗、複数都道府県、大臣許可など複数の行政庁が関係する
  • 営業所技術者等、食品衛生責任者、酒類販売管理者などの要件を満たせない
  • 許認可に加えて賃貸借、借入れ、従業員、取引契約、相続税が関係する

許認可は行政書士、会社・不動産登記は司法書士、税務は税理士、労務は社会保険労務士、契約・紛争は弁護士など、手続きごとに業務範囲が異なります。まず許可行政庁で必要手続きを確定します。

注意点

  • 許可ごとに判断:一つの承継届で全許認可を変更できるわけではありません。
  • 管轄基準:住所地ではなく、施設・主たる営業所・製造場・販売場や許可区分で決まります。
  • 営業継続:手続き中の営業可否は制度ごとに異なります。建設業のみなし規定を他業種へ当てはめません。
  • 法人成り:個人から法人への変更は、相続承継とは別の新規許可等が必要な場合があります。
  • 責任者・資格者:許可名義だけでなく、営業所技術者等や各責任者の変更も確認します。
  • 廃業:事業を続けない場合も廃業届、取消申請、許可証返納等を放置しません。

よくある質問

遺産分割協議書で店舗を取得すれば許可も使えますか

それだけでは判断できません。財産・契約の承継とは別に、許認可ごとの届出、認可、申告または新規申請が必要です。

食品営業は新規許可を取り直しますか

相続では許可・届出営業者の地位を承継でき、遅滞ない届出が基本です。ただし、施設移転や営業内容の変更等がある場合は別手続きを保健所へ確認します。

建設業は認可が出るまで営業できませんか

死亡後30日以内に相続認可を申請した場合、認可・不認可の通知まで許可が相続人に対してされたものとみなされます。期限後や要件欠如を含む個別事情は許可行政庁へ直ちに相談してください。

酒類販売免許は相続人1人だけが引き継ぎますか

複数人で承継する場合もあります。その場合は相続申告書を連署し、承継しない相続人がいる場合の意思表示等を国税庁のチェック表で確認します。

事業を法人にすれば個人の許可をそのまま使えますか

一律には使えません。特に酒類販売では法人側の新規免許申請と個人免許の取消申請を事前に検討します。他の許認可も行政庁へ確認してください。

関連する相続手続き

野田市・柏市・流山市・松戸市の許認可別窓口

市内在住かどうかではなく、食品営業は施設所在地、建設業は許可区分と主たる営業所、酒類は製造場・販売場所在地を基準にします。次は東葛4市に施設等がある代表例です。許可証の行政庁が異なる場合は、許可証記載の窓口を優先してください。

野田市

許認可ごとに窓口が異なります

  • 食品:野田保健所 04-7124-8155
  • 建設:東葛飾土木事務所 047-364-5136
  • 酒類:柏税務署 04-7146-2321

柏市

許認可ごとに窓口が異なります

  • 食品:柏市保健所生活衛生課 04-7167-1259
  • 建設:東葛飾土木事務所 047-364-5136
  • 酒類:柏税務署 04-7146-2321

流山市

許認可ごとに窓口が異なります

  • 食品:松戸保健所生活衛生課 047-361-2139
  • 建設:東葛飾土木事務所 047-364-5136
  • 酒類:松戸税務署 047-363-1171

松戸市

許認可ごとに窓口が異なります

  • 食品:松戸保健所生活衛生課 047-361-2139
  • 建設:東葛飾土木事務所 047-364-5136
  • 酒類:松戸税務署 047-363-1171

窓口・電話番号の確認日:2026-08-26。酒税・酒類免許の専門相談は、柏税務署管内を含め松戸税務署の酒類指導官部門が担当する案内があります。来署前に電話予約と提出先をご確認ください。

参考にした公式情報

情報確認日:2026年8月26日

この記事は代表的な3制度の一般的な説明です。同じ業種でも営業形態、許可区分、施設変更、相続人の既存許可等により手続きが変わります。営業の継続・停止を判断する前に、許可証記載の行政庁へ個別に確認してください。