相続手続き100チェックリスト No.61。死亡後の銀行口座は、まず金融機関と残高を調査し、遺言・遺産分割等に応じた書類をそろえて払戻し・解約します。金融機関が死亡を把握すると入出金等は原則制限されるため、暗証番号で出金せず、正式な相続手続きまたは遺産分割前の払戻し制度を使います。
No.61 預貯金相続で確認する6項目
- 確認項目
- 確認する内容
- 口座調査
- 銀行・信金・信組・JA・ゆうちょ・ネット銀行を洗い出す
- 口座制限
- 死亡連絡後の入出金、振込、引落し、ローンを確認
- 残高・履歴
- 死亡日残高、定期・外貨等、必要期間の取引履歴
- 相続の根拠
- 遺言、遺産分割協議、調停・審判、相続人関係
- 払戻方法
- 通常の相続払戻し、窓口仮払い、裁判所の保全処分
- 付随取引
- 投資商品、貸金庫、口座振替、借入、担保、保証
口座調査・残高確定・払戻しを別工程で進める
通帳が見つかったら、すぐ解約するのではなく死亡日時点の残高と取引内容を先に確認します。相続人・取得者・必要書類が確定してから正式な払戻しを申し込みます。
全国銀行協会は、金融機関への申出、必要書類の準備・提出、払戻し等の順で案内しています。金融機関が死亡を知ると入出金等は原則制限されるため、継続する公共料金等の支払口座も変更します。
死亡後の銀行口座を整理する10STEP
- 1
通帳、カード、郵便、メール、税資料から金融機関を洗い出す
- 2
相続放棄を検討するか確認し、むやみに出金・解約しない
- 3
各金融機関へ死亡を連絡し、相続窓口と取扱いを確認する
- 4
口座の名寄せ、死亡日残高証明、必要な取引履歴を請求する
- 5
口座振替、投資商品、貸金庫、借入・担保等を別に確認する
- 6
遺言の有無を確認し、戸籍等で相続人を確定する
- 7
遺産分割協議等で預貯金の取得者・払戻先を決める
- 8
金融機関所定書類、戸籍、印鑑証明書等をそろえる
- 9
相続払戻し・口座解約を申し込み、入金を確認する
- 10
残高証明、取引履歴、払戻計算、振込記録を保存する
誰が必要か
亡くなった方に銀行、信用金庫、信用組合、JA、ゆうちょ銀行等の預貯金がある場合に、預金を取得する相続人、受遺者、遺言執行者、または相続人の代表者が手続きをします。手続きできる人と必要な署名・押印は、遺言、遺産分割協議、調停・審判の有無と金融機関の取扱いで変わります。
期限
預貯金の相続払戻し・口座解約だけに全国共通の申請期限は確認できません。ただし、口座調査は相続放棄や相続税申告の判断に必要です。裁判所は相続放棄を原則として自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内、国税庁は相続税申告が必要な場合の期限を通常は死亡を知った日の翌日から10か月以内と案内しています。口座解約の期限がないことを理由に調査を後回しにしないでください。
まず「口座調査」と「解約・払戻し」を分ける
最初から解約を急ぐのではなく、①取引金融機関と口座を特定する、②死亡日時点の残高や必要な取引履歴を確認する、③遺産分割の根拠を整える、④払戻し・解約を申し込む、という順序で進めます。残高証明書は相続財産の把握に、取引履歴は生前の出金・入金や継続契約の確認に使います。
口座を探す方法
- 通帳、キャッシュカード、定期預金証書、貸金庫の鍵
- 金融機関からの郵便、メール、アプリ通知
- 給与・年金・配当・家賃の入金記録
- 公共料金、税金、保険料、クレジットカード等の引落記録
- 他行口座からの振込履歴、確定申告書、財産目録
ネット銀行は紙の通帳がないため、メールや郵便を手掛かりにします。故人のID・パスワードで本人としてログインせず、相続人として金融機関へ照会してください。
ゆうちょ銀行では、現存調査により名義人の口座の有無を調べることができ、相続人は死亡と相続関係を確認できる戸籍、本人確認書類、印章等を用意します。現存調査は無料ですが、判明した口座の残高証明書には所定料金が必要です。
死亡連絡後の口座制限
全国銀行協会の手続案内では、金融機関への相続の連絡と同時に、被相続人名義口座の入出金等は原則として制限されるとしています。死亡届を市役所へ出しただけで、すべての金融機関が自動的に口座を止めるわけではありません。金融機関が死亡を把握した時点と個別の取扱いで変わります。
口座が制限されると、公共料金・家賃・カード等の引落しも止まることがあります。ゆうちょ銀行は、死亡の申出後に速やかに入出金を停止するため、公共料金や家賃の引落しには継続利用できないと案内しています。必要な契約は支払口座を別途変更します。
残高証明書と取引履歴
金融機関へ、死亡日を基準日とする残高証明書を発行できるか、普通・定期・外貨・出資・投資商品・借入等のどこまで含むかを確認します。口座の存在や番号が不明な場合は、名寄せ調査の可否も確認します。
ゆうちょ銀行の取引履歴照会では、相続人が死亡と相続関係を示す戸籍、本人確認書類等を提出して通常貯金の入出金状況を請求でき、原則として申込日から過去10年以内が調査対象です。調査期間・料金・必要書類は金融機関ごとに異なります。
明細で保険料や電子マネーへのチャージが見つかったら、生命保険の契約確認と死亡後の手続き、電子マネーの残高とチャージ元の整理も確認すると、口座以外の手続きを整理しやすくなります。
必要書類は相続方法で変わる
全国銀行協会の必要書類案内は、次のように整理しています。これは一般的な例であり、金融機関所定の相続届、通帳・証書、本人確認書類、振込先口座等を追加で求められることがあります。
必要な戸籍の範囲を整理したい場合は、相続人調査と法定相続情報一覧図の使い方を確認し、金融機関が求める書類と照合してください。
遺言書がある場合
- 遺言書
- 公正証書遺言以外では、必要に応じ検認調書または検認済証明書
- 被相続人の死亡が確認できる戸籍
- 預金を取得する人または遺言執行者の印鑑証明書
- 裁判所選任の遺言執行者は選任審判書謄本
遺産分割協議書がある場合
- 法定相続人全員の署名・押印がある遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍等
- 相続人全員の戸籍等
- 相続人全員の印鑑証明書
遺言書・遺産分割協議書がない場合
被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍・印鑑証明書等が一般的な例です。誰の署名・押印が必要か、法定相続情報一覧図を戸籍の代わりに使えるか、原本を返却してもらえるかを金融機関へ確認します。
遺産分割前の預貯金の払戻し
葬儀費用や当面の生活費等が必要でも、暗証番号を使って故人口座から任意に出金するのではなく、遺産分割前の払戻し制度を検討します。法務省と全国銀行協会は、家庭裁判所の判断を経ない場合の上限を、口座ごとに次の式で算定すると説明しています。
相続開始時の預貯金額 × 1/3 × 払戻しを求める相続人の法定相続分
同一金融機関から受けられる払戻しの合計は150万円が上限です。複数支店に口座があっても金融機関単位で計算します。払戻しを受けた額は、その相続人が遺産の一部分割で取得したものと扱われるため、使途と受領記録を保存します。
これとは別に、遺産分割の調停・審判が係属している場合に、家庭裁判所の保全処分を利用する方法があります。必要性を疎明し、他の共同相続人の利益を害しないこと等を裁判所が判断します。金融機関窓口の制度と裁判所の制度を混同しないでください。
ゆうちょ銀行は独自の手順を確認
ゆうちょ銀行の相続手続では、相続確認表を準備・提出し、案内された必要書類の原本を窓口へ提出した後、払戻金を受け取る流れです。Web案内サービスや手続きアプリも用意されています。銀行・信金等と同じ書式ではないため、取扱機関ごとの案内を使います。
費用
相続払戻し・口座解約に伴う費用は金融機関ごとに異なります。戸籍、印鑑証明書、残高証明書、取引履歴、振込、郵送等に費用がかかることがあります。払戻方法によって振込手数料が異なる場合もあるため、申込前に確認してください。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
銀行口座の解約・払戻しは市役所ではできません。住所地による一律の管轄もなく、口座のある銀行・信用金庫・信用組合・JA・ゆうちょ銀行等が主な窓口です。遺産分割調停や家庭裁判所による預貯金の仮払いを検討する場合、被相続人の最後の住所が次の4市なら千葉家庭裁判所松戸支部が管轄です。
管轄・電話番号の確認日:2026-09-03。047-313-9737は、これから家事手続きを行う方の受付係です。裁判所は法律相談や銀行手続きの代行をする窓口ではありません。まず金融機関へ確認し、裁判所手続きが必要な場合だけ利用してください。
相続放棄を検討している場合
残高・負債を調べることと、預金を私的に使うことは分けて考えます。相続放棄を検討中に払戻し、債務支払い、口座解約等を行うときは、相続承認との関係を事前に専門家へ確認してください。判断資料が3か月以内にそろわない場合、裁判所の案内には相続の承認・放棄の期間伸長手続も掲載されています。
自分でできるか
相続人が確定し、遺言や遺産分割の内容に争いがなく、口座数が少なければ、相続人自身で進められます。金融機関ごとに必要書類が違うため、先に相続窓口へ連絡してチェックリストを取り寄せてください。
専門家に相談した方がよいケース
- 相続人に未成年者、海外在住者、行方不明者がいる
- 遺言の有効性、預金の取得者、使途不明金に争いがある
- 借入、保証、担保、貸金庫、事業口座がある
- 相続放棄を検討中で、払戻しや支払いの可否に迷う
- 遺産分割前の仮払いについて家庭裁判所手続が必要
- 多数の金融機関・支店・ネット銀行があり調査が複雑
注意点
- 暗証番号で出金しない:相続財産の無断処分や相続人間の紛争を避け、正式な払戻し手続きを使います。
- 口座制限と契約変更を分ける:公共料金、カード、保険、家賃等は個別に支払方法を変更します。
- 預金以外も確認:投資信託、国債、外貨、貸金庫、ローンは別手続になる場合があります。
- 借入・保証を同時確認:預金だけでなく同じ金融機関の債務・担保も確認します。
- 原本返却を確認:戸籍、遺言書、協議書を他行でも使う場合は提出方法と返却可否を確認します。
- 完了記録を保存:残高証明、取引履歴、相続届、払戻計算、振込記録を相続資料として残します。
よくある質問
死亡届を出すと銀行口座はすぐ凍結されますか
市役所への死亡届だけで、すべての金融機関へ自動通知されるわけではありません。金融機関が死亡を把握した後は、入出金等が原則として制限されます。
相続人1人で全額を解約できますか
遺言・遺産分割協議等で取得者が確認できる場合などを除き、相続人全員の関与を求められることがあります。遺産分割前に単独で受けられる払戻しには、法定の計算式と金融機関ごとの150万円上限があります。
通帳やキャッシュカードが見つからなくても手続きできますか
可能な場合があります。口座番号が不明なときの名寄せ調査、紛失届、追加資料を金融機関へ確認します。
死亡日残高と今の残高のどちらを確認しますか
遺産額の把握には通常、死亡日時点の残高が重要です。一方、解約時の払戻額や死亡後の入出金は現在残高・取引履歴で確認します。必要な基準日を指定して証明書を請求します。
葬儀費用なら自由に引き出せますか
自由に全額を引き出せるわけではありません。遺産分割前の払戻し制度、家庭裁判所の保全処分、または相続人間の合意を検討し、金融機関へ必要書類を確認します。
野田・柏・流山・松戸の市役所で銀行口座を解約できますか
できません。通常の手続き先は口座のある金融機関です。被相続人の最後の住所が4市にあり、遺産分割・裁判所の仮払い等を申し立てる場合は、千葉家庭裁判所松戸支部が管轄です。
関連する相続手続き
参考にした公式情報
- 全国銀行協会「預金相続の手続の流れ」
- 全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」
- 全国銀行協会「亡くなった親の預貯金、すぐに引き出すことは可能ですか」
- 法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」
- ゆうちょ銀行「相続手続き」
- ゆうちょ銀行「現存調査(貯金の有無の調査)」
- ゆうちょ銀行「通常貯金の入出金状況(取引履歴)の照会」
- ゆうちょ銀行「被相続人の口座を継続して公共料金や家賃の引き落としに利用できますか」
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 裁判所「千葉県内の管轄区域表」
- 千葉地方・家庭裁判所「窓口案内」
- 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
情報確認日:2026年9月3日
必要書類、口座制限、照会可能期間、払戻方法、手数料は金融機関と相続方法で異なります。提出前に必ず取引金融機関の最新案内を確認してください。