相続手続き100チェックリスト No.59。ゴルフ・リゾート会員権は、株式、預託金、施設利用権、不動産持分など権利の構成で、承継方法と相続税評価が変わります。運営会社へ会則・未納額・返還額を確認し、利用、売却、退会の手取りと税務を比較します。
ゴルフ・リゾート会員権の相続|名義変更・売却・税務と4市の相談先
- 期限
- 共通期限なし/相続税申告は必要な場合原則10か月
- 手続き先
- 運営会社・クラブ/相続税は被相続人住所地の税務署
No.59 会員権で確認する6項目
- 確認項目
- 確認する内容
- 権利の種類
- 株式、預託金、施設利用権、不動産持分
- 運営規則
- 相続資格、譲渡制限、審査、必要書類
- 相続手続き
- 承継者、遺言・遺産分割、名義変更
- 費用・債務
- 未納年会費、名義書換料、仲介・登記費用
- 売却・返還
- 死亡日相場、直接売却、退会、預託金返還額
- 税務
- 相続税評価、売却益、取得費、返還の扱い
売却価格・相続税評価・預託金返還額は同じではない
会員権を一律に「市場価格の70%」と評価しないことが重要です。取引相場の有無、株式、預託金、譲渡制限、不動産持分を分け、死亡日現在の相場と返還条件を確認します。
国税庁は、取引相場のあるゴルフ会員権を原則として死亡日の通常の取引価格の70%相当額で評価し、価格に含まれない預託金等があれば一定額を加算するとしています。
会員権の相続を整理する9STEP
- 1
会員証券、カード、年会費通知、通帳から運営会社を特定する
- 2
株式・預託金・施設利用権・不動産持分の構成を確認する
- 3
会則で相続資格、譲渡、退会、必要書類と期限を確認する
- 4
未納年会費、名義書換料、仲介料、登記費用を確認する
- 5
死亡日相場、譲渡可否、預託金返還額と時期を調べる
- 6
利用・売却・退会の手取りと税務を比較する
- 7
遺言または遺産分割で会員権を取得する人を確定する
- 8
名義変更、直接売却、退会・返還、必要な相続登記を行う
- 9
相場資料、購入契約、領収書、売却・返還明細を保存する
誰が必要か
亡くなった方がゴルフクラブ、カントリークラブ、リゾートホテル、タイムシェア等の会員権を持っていた場合に、相続人、遺言執行者、相続財産清算人などが確認します。会員証が見つからなくても、年会費の引落し、郵便、メール、確定申告資料、証券名義から保有が分かることがあります。
期限
名義変更・退会について全国共通の法定期限は確認できません。運営会社の会則・契約に期限や届出時期が定められている場合があるため、死亡後は早めに連絡します。相続税の申告が必要な場合は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内で、提出先は被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。
最初に「何の権利か」を確認する
会員権という名称だけでは評価・承継方法は決まりません。証券、入会契約、会則、預託金証書、年会費通知をそろえ、次の要素を分けて確認します。
- 株主であることを会員資格とする株主会員権
- 入会時に預託金を預ける預託金制会員権
- 株式と預託金を組み合わせた会員権
- 譲渡できず、返還預託金もない施設利用権
- 土地・建物の共有持分と施設利用契約が一体になったリゾート会員権
リゾート会員権に不動産持分が含まれる場合は、登記事項証明書も取得し、会員契約と不動産の相続登記を分けて確認します。
承継・売却・退会を比較する
相続人が利用する
親族承継でも、資格要件、審査、必要書類、名義書換料、未納年会費の清算などは運営会社ごとに異なります。承認前に故人の会員証を使わず、所定の名義変更を行います。
第三者へ売却する
故人名義のまま第三者へ直接譲渡できるか、いったん相続人名義に変更する必要があるかを運営会社へ確認します。アコーディア・ゴルフの相続時売却FAQは同社の取扱例として、故人名義のままでも、死亡の分かる除籍、法定相続人全員の分かる戸籍、遺産分割協議書、全員の印鑑証明書、名義書換申請書、会員権証券などを用意すれば第三者へ譲渡できると案内しています。これはすべてのクラブに共通する制度ではありません。
退会して預託金の返還を受ける
据置期間、返還条件、返還時期、未納金控除、運営会社の経営状況を確認します。売却と退会・預託金返還は、税務上も同じ処理ではありません。
必要書類
次は一般的な確認候補です。発行から3か月以内の原本など、運営会社独自の条件があるため、戸籍等を取得する前に最新の指定書式を確認します。
- 会員権証券、預託金証書、会員カード
- 被相続人の死亡が分かる戸籍・除籍
- 被相続人の出生から死亡までと相続人全員が分かる戸籍
- 遺言書、遺産分割協議書、遺言執行者を確認する資料
- 相続人全員または取得者の印鑑登録証明書
- 名義変更・相続・譲渡・退会の所定申請書
- 不動産持分がある場合の登記事項証明書・相続登記書類
年会費・名義書換料・未納金
死亡後の年会費、未納額、休会、退会日までの負担、名義書換料、仲介手数料を運営会社へ照会します。市場価格が低くても費用が高額な場合があります。承継・売却・退会の手取り額を同じ時点で比較してください。
相続税評価
国税庁「ゴルフ会員権の評価」は、会員権の種類と取引相場の有無で評価方法を分けています。
- 取引相場がある:死亡日の通常の取引価格の70%相当額。取引価格に含まれない預託金等があれば、直ちに返還可能な額または返還時期までの複利現価を加算
- 取引相場がない株主会員権:会員権に係る株式の相続税評価額
- 株式と預託金の組合せ:株式の評価額と預託金等の評価額の合計
- 取引相場がない預託金制:返還可能額または将来返還額の複利現価
- 譲渡不可・返還預託金なし・単なる施設利用権:株式保有も不要なら評価しない
すべての会員権を一律に「相場の70%」と評価するわけではありません。死亡日の相場資料、預託金残高、返還条件を保存し、種類が不明な場合は税務署または税理士へ確認します。
リゾート会員権の評価
国税庁の質疑事例は、不動産所有権と施設利用契約が一体で分離譲渡できず、取引相場がある特定のリゾート会員権について、ゴルフ会員権に準じ死亡日の通常の取引価格の70%相当額で評価するとしています。これは示された事実関係を前提にした回答です。すべてのリゾート会員権へ一律に適用せず、不動産持分、預託金、譲渡制限、解約清算金を契約ごとに確認します。
売却した場合の所得税
国税庁によると、個人がゴルフ会員権を売却した所得は原則として総合課税の譲渡所得です。所有期間5年以内は短期、5年超は長期に分かれ、総合課税の譲渡益全体に年50万円の特別控除があります。長期譲渡所得は控除後の金額の2分の1が課税対象です。売却損は原則として給与所得等と損益通算できません。
国税庁の取得費・譲渡費用の案内は、取得時の購入価額、名義書換料、仲介手数料等を取得費の例、売却時の仲介手数料等を譲渡費用の例とし、年会費はどちらにも含まれないとしています。故人の購入契約、領収書、名義書換料、売却明細を捨てずに保管してください。
預託金返還と売却は税務上別
国税庁の質疑事例では、退会して預託金の返還を受ける行為は、施設利用権を放棄して貸付金債権を回収するもので、会員権の譲渡ではないとしています。返還不足額は他の譲渡所得と通算できず、第三者から安く取得した会員権の預託金返還額が取得価額を上回ると雑所得になる場合があります。売却か退会返還かを区別して税理士へ資料を渡します。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
会員権の相続・名義変更に、住所地の市役所という行政上の管轄はありません。主な窓口は会員権を発行・管理するゴルフ場、クラブ、リゾート運営会社です。相続人間の争い、相続税評価、登記は消費生活センターの対象ではありません。一方、個人の契約者と運営会社・仲介業者との料金・勧誘・説明などの消費者契約トラブルは、居住市の消費生活センターへ相談できます。
電話番号・相談対象の確認日:2026-09-02。受付日時と対象者は各市の公式案内で確認してください。相続人間の争いは弁護士、税務は税務署・税理士、不動産持分の登記は法務局・司法書士が相談先です。
相続放棄を検討している場合
名義変更、売却、退会、預託金請求を先に行うと、相続財産を処分したかが問題になる可能性があります。裁判所の相続放棄案内を確認し、原則3か月の熟慮期間内に、会員権へ手を付ける前に家庭裁判所または弁護士・司法書士へ相談してください。一つの行為だけで結論が決まるとは限らないため、個別判断が必要です。
自分でできるか
権利内容が単純で、相続人全員の合意があり、運営会社の案内が明確なら、所定書類を集めて本人が進められます。最初の電話で「死亡による承継」「直接売却の可否」「退会返還額」「未納額」「必要書類の有効期限」をまとめて確認すると効率的です。
専門家に相談した方がよいケース
- 株式、預託金、不動産持分が組み合わされている
- 取引相場が不明、高額、国外リゾート・タイムシェアである
- 取得者、売却、評価額について相続人間で合意できない
- 相続税申告や売却後の所得税計算が必要である
- 預託金返還停止、運営会社の再生・倒産、契約トラブルがある
- 相続放棄を検討中である
注意点
- 会員証だけで利用しない:相続人でも、会則上の承継・審査・名義変更が必要な場合があります。
- 一律70%としない:相場、株式、預託金、譲渡制限で相続税評価が変わります。
- 売却と返還を区別する:第三者譲渡と退会による預託金回収は税務上の性質が異なります。
- 費用込みで比較する:名義書換料、未納年会費、仲介手数料、登記費用を含めて手取りを見ます。
- 原始資料を保存する:購入契約・領収書・相場回答・返還明細は相続税と所得税の双方で重要です。
- 市役所は名義変更窓口ではない:運営会社が主窓口で、市の消費生活センターは消費者契約トラブルに限られます。
よくある質問
相続人なら自動的に会員になれますか
自動的に会員になるとは限りません。会則により、承継資格、審査、必要書類、名義書換料などが定められています。
故人名義のまま売却できますか
運営会社によります。アコーディア・ゴルフには相続書類をそろえて直接譲渡できる取扱例がありますが、先に相続名義変更を求めるクラブもあります。
相続税評価は市場価格の70%ですか
取引相場のあるゴルフ会員権は原則70%相当額ですが、取引価格に含まれない預託金の加算があり、相場のない会員権は株式・預託金等の構成で評価します。
売却損を給与所得から差し引けますか
国税庁は、ゴルフ会員権の譲渡損は原則として給与所得など他の所得と損益通算できないと案内しています。
退会して預託金が全額戻らなかった場合は損失控除できますか
国税庁の質疑事例では、返還不足額は家事上の損失として所得税計算上考慮されないとしています。
野田・柏・流山・松戸の市役所で名義変更できますか
できません。住所地に基づく行政手続きではなく、会員権の運営会社・クラブへ連絡します。消費生活センターは個人の消費者契約トラブルの相談先で、相続人間の争いや税務は対象外です。
関連する相続手続き
参考にした公式情報
- 国税庁「ゴルフ会員権の評価」
- 国税庁「不動産所有権付リゾート会員権の評価」
- 国税庁「ゴルフ会員権の譲渡による所得」
- 国税庁「ゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費及び譲渡費用」
- 国税庁「預託金制ゴルフクラブを退会し預託金の償還を受けた場合」
- 国税庁「相続税の申告と納税」
- アコーディア・ゴルフ「亡父母の会員権を名義変更せず売却する場合」
- e-Gov法令検索「民法」
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 野田市「消費生活相談」
- 柏市「消費生活センター」
- 流山市「消費生活センター」
- 松戸市「消費生活相談」
情報確認日:2026年9月2日
会員権の承継可否、書類、費用、預託金、相続税評価は契約と事実関係で変わります。申請・売却・退会前に、運営会社と必要に応じて税務署、税理士、司法書士、弁護士へ確認してください。