相続手続き100チェックリスト No.58。墓地の使用者が亡くなっても、通常の遺産分割だけで使用許可名義は変わりません。祭祀を主宰する承継者を確認し、墓地管理者へ承継・名義変更を届け出ます。遺骨を移す場合は、別に現在のお墓の所在地の市区町村で改葬許可が必要です。
No.58 墓地の名義変更で確認する6項目
- 確認項目
- 確認する内容
- 管理者・契約
- 霊園・寺院・納骨堂、区画番号、使用許可証
- 承継者
- 故人の指定、慣習、祭祀の実態、親族の協議
- 必要書類
- 承継届、許可証、戸籍、住民票、同意書等
- 管理料
- 未納額、今後の請求先、口座振替、住所変更
- 納骨・工事
- 納骨届、埋火葬許可証、墓石工事の条件
- 改葬・返還
- 遺骨移動の許可、墓じまい、区画返還の有無
名義変更は墓地管理者へ。改葬は現在のお墓の所在地へ
同じお墓を使い続ける承継・名義変更と、遺骨を別の場所へ移す改葬は別手続きです。名義変更は墓地・霊園・寺院・納骨堂の管理者へ申請します。
改葬する場合は、墓地、埋葬等に関する法律に基づき、相続人の住所地ではなく現在遺骨が納められている墓地の所在地の市区町村で許可を受けます。
墓地使用権を承継する9STEP
- 1
使用許可証、契約書、管理料通知から墓地管理者を特定する
- 2
区画番号、現在の使用名義、納骨者、管理料の状況を確認する
- 3
故人の遺言・指定、慣習、祭祀を主宰してきた人を確認する
- 4
承継者について親族で協議し、必要なら書面化する
- 5
管理者へ死亡と承継希望を伝え、規則と期限を確認する
- 6
承継届、使用許可証、戸籍、住民票、同意書等を準備する
- 7
管理者へ承継・名義変更を申請し、手数料等を支払う
- 8
新しい使用許可証、名義、連絡先、管理料請求先を確認する
- 9
改葬・墓じまいを行う場合は別手続きとして許可・返還を進める
誰が必要か
墓地、霊園、寺院墓地、納骨堂等の使用者が亡くなり、今後もお墓を維持・管理・納骨する場合に、祭祀を主宰する人が管理者へ承継手続きを行います。単に相続人であるだけで自動的に使用許可名義が変わるわけではありません。
期限
全国一律の名義変更期限は確認できません。期限、承継可能な人、使用権が消滅する条件は、自治体の条例、墓地使用規則、寺院規則、契約等で異なります。死亡後は管理者へ速やかに連絡してください。松戸市営白井聖地公園も、使用者等に変更が生じた場合は速やかに手続きするよう案内しています。
墓地使用権と土地所有権は別
一般に「お墓の名義」と呼ばれるものは、墓地の区画を使用する地位や使用許可です。墓地区画の土地そのものを所有しているとは限りません。譲渡、転貸、承継、返還、管理料、墓石工事などは管理者の規則・契約に従います。まず使用許可証・永代使用承認証・契約書で、管理者と権利内容を確認します。
祭祀承継者は誰か
民法897条は、系譜、祭具、墳墓の所有権を、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると定めています。慣習に従いますが、被相続人が祭祀を主宰すべき者を指定したときはその指定に従い、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めます。
そのため、長男や法定相続分が多い人へ当然に決まるものではありません。また、墓地使用権は管理規則・契約に基づく地位でもあるため、民法上の祭祀承継者が決まっただけで管理台帳の名義まで自動変更されるとは限りません。
裁判所の公式資料では、祭祀承継を家庭裁判所で話し合う場合、遺産分割とは別に祭祀承継者指定の申立てが必要と案内されています。
最初に墓地管理者と現在の名義を特定する
墓地使用許可証、永代使用承認証、契約書、管理料の納付書・口座振替、寺院からの郵便、墓石工事の書類を確認します。書類が見つからない場合は、墓地名、区画番号、故人の氏名・住所、納骨されている人の氏名を整理して管理者へ照会します。
必要書類
必要書類は施設と承継者の続柄で異なるため、取得前に管理者へ確認します。一般的な確認対象は次のとおりです。
- 管理者所定の承継・名義変更申請書、届出書、誓約書
- 現在の墓地使用許可証・永代使用承認証
- 従前の使用者の死亡を確認できる戸籍・除籍・除住民票等
- 従前の使用者と承継者の関係を確認できる戸籍等
- 承継者の戸籍、住民票、本人確認書類
- 遺言書、祭祀承継者指定書、親族間の協議・同意を示す書面
- 印鑑登録証明書、実印(施設が求める場合)
- 管理料の領収書、区画番号が分かる資料
松戸市営白井聖地公園の例では、承継届出書・誓約書、従前の使用許可証、承継者の戸籍と住民票、従前使用者の死亡資料、両者の関係・続柄を確認する戸籍等を案内しています。
使用許可証を紛失した場合
紛失したまま自己判断で申請書類を省略せず、再交付または代替確認の方法を管理者へ尋ねます。白井聖地公園では、再交付申請書・誓約書、使用者の住民票、管理料の領収書等を案内しています。承継と再交付を同時に扱えるかは事前に確認します。
費用
全国共通の承継手数料はありません。施設所定の承継・許可証書換え・再交付手数料、戸籍等の取得費、郵送料、未納管理料などを確認します。参考として、船橋市営霊園は名義変更手数料300円、使用許可証を紛失した場合は別途再交付手数料300円と案内しています。これは他の霊園にも共通する金額ではありません。
管理料・納骨・墓石工事も同時に確認
名義変更時に、管理料の未納、今後の請求先、口座振替、承継者の住所・電話番号を更新します。納骨や墓石工事には使用許可証、埋火葬許可証、工事届等が必要となることがあるため、日程を決める前に管理者と石材店の双方へ確認します。
名義変更・改葬・返還の違い
- 名義変更・承継:同じ墓地を使い続け、使用者を祭祀承継者へ変更する手続き
- 改葬:納められている遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す手続き
- 返還・墓じまい:墓石を撤去し、使用区画を管理者へ返す手続き
墓地、埋葬等に関する法律5条により、改葬には市町村長の許可が必要です。申請先は相続人の住所地ではなく、現在遺骨が納められている墓地の所在地の市区町村です。単純な名義変更だけなら、通常はこの改葬許可申請は行いません。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
墓地使用権の名義変更は、相続人の住所地の市役所ではなく、墓地・霊園・寺院・納骨堂の管理者が主な窓口です。遺骨を別の墓地等へ移す「改葬」は、現在遺骨が納められている墓地の所在地の市区町村へ申請します。松戸市営白井聖地公園は松戸市の専用窓口があります。
電話番号・取扱いの確認日:2026-09-02。松戸市で改葬許可を確認する場合は市民課(047-366-7340)、白井聖地公園管理事務所は047-497-0881です。民営霊園・寺院墓地等の承継条件は各管理規則を確認してください。
自分でできるか
承継者が明確で関係者に争いがなく、管理者の必要書類がそろう場合は、承継者本人が手続きできます。最初に電話で「死亡による使用権承継」「現在の続柄」「許可証の有無」「郵送可否」を伝え、必要書類の最新版を取り寄せると重複取得を減らせます。
専門家に相談した方がよいケース
- 誰が祭祀を主宰するか親族間で合意できない
- 故人の指定・遺言と実際に祭祀を行う人が異なる
- 墓地管理者が承継申請を認めず、契約解釈に争いがある
- 相続放棄を検討中で、管理料や墓じまい費用の扱いが分からない
- 寺院との離檀、改葬、墓じまいを同時に進める
- 墓地の土地所有権や共有持分が別に登記されている
注意点
- 長男と決めつけない:故人の指定、慣習、祭祀の実態、親族の協議を確認します。
- 遺産分割だけで終えない:管理者所定の承継届・名義変更が別に必要です。
- 改葬と混同しない:同じお墓を使い続ける承継と、遺骨を移す許可は別です。
- 規則を先に確認:承継者の範囲、期限、必要書類、費用は施設ごとに異なります。
- 管理料を放置しない:未納額、今後の請求先、連絡先を更新します。
- 相続放棄は個別確認:祭祀財産の承継と墓地の契約上の義務を分け、処分・支払いの前に専門家へ相談します。
よくある質問
長男が必ず墓地を承継しますか
必ずではありません。民法897条の故人の指定・慣習・家庭裁判所による指定と、墓地管理者の規則を確認します。親族の合意書を求める施設もあります。
遺産分割協議書に書けば名義変更は完了しますか
完了しません。遺産分割協議書等が承継者を確認する資料になることはありますが、管理者所定の承継申請と承認・届出が必要です。
相続放棄をした人は墓地を承継できませんか
祭祀財産には通常の相続財産と異なる民法上の承継ルールがあります。ただし、墓地使用権は管理規則・契約にも基づくため、相続放棄だけから一律に結論を出せません。管理者と専門家へ確認してください。
使用許可証がなくても手続きできますか
再交付や代替資料で確認できる場合があります。必要書類と、承継前・承継後のどちらの名義で再交付するかを管理者へ確認します。
野田・柏・流山・松戸の市役所で名義変更できますか
民営霊園や寺院墓地等の単純な名義変更は、各墓地管理者が窓口です。市役所は、現在その市内にあるお墓から遺骨を移す改葬許可を扱います。松戸市営白井聖地公園の承継は松戸市予防衛生課または同公園管理事務所へ届け出ます。
関連する相続手続き
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」
- 裁判所「祭祀承継に関する公式資料」
- 松戸市「白井聖地公園使用に関する手続き」
- 船橋市「市営霊園に関する各種手続き」
- 野田市「改葬許可証」
- 柏市「改葬許可申請:お墓を移したいとき」
- 流山市「墓地改葬」
- 松戸市「市民課」
情報確認日:2026年9月2日
承継者の条件、期限、書類、手数料、未納管理料、郵送可否は管理者ごとに異なります。申請前に墓地・霊園・寺院・納骨堂の最新規則と個別案内を確認してください。