相続手続き100チェックリスト No.67。株式・債券・投資信託は、証券会社・銀行へ死亡を連絡し、残高証明と必要書類を確認して相続人名義の口座へ移します。NISA口座・非課税枠は承継できません。通常口座とNISAでは売却時の取得費が異なるため、死亡日資料と故人の取引履歴を保存します。
No.67 証券資産の確認項目
- 確認項目
- 確認する内容
- 取引先
- 証券会社、銀行、信託銀行、持株会
- 商品
- 株式、ETF、REIT、債券、投資信託、外貨
- 口座区分
- 特定口座、一般口座、NISA、特別口座
- 残高
- 銘柄、数量、預り金、配当、利金、信用取引
- 移管
- 取得者、受入口座、移管可否、換金条件
- 税務資料
- 死亡日評価、故人の取得費、NISA取得価額
通常口座とNISAで、相続後の取得費が違う
通常の課税口座の株式等は原則として故人の取得費を引き継ぎますが、NISAから相続で払い出される商品は原則として死亡日の時価が取得価額です。
NISA口座と非課税枠は相続できず、商品は相続人の特定口座または一般口座で受け入れます。相続税評価額、遺産分割時の評価額、売却時の取得費を混同しないでください。
証券資産を相続する10STEP
- 1
郵便物、通帳、アプリ、税務資料から証券会社・銀行を探す
- 2
取引先が不明ならJASDEC開示の対象・費用・期間を確認する
- 3
各金融機関へ死亡を連絡し、取引を停止して残高証明を請求する
- 4
株式、債券、投資信託、預り金、信用取引等を口座別に一覧化する
- 5
NISA死亡届を遅滞なく提出し、死亡後配当の課税を確認する
- 6
遺言・遺産分割により銘柄ごとの取得者と評価基準を決める
- 7
移管条件を確認し、取得者名義の受入口座を準備する
- 8
戸籍、遺言・協議書、印鑑証明書、移管依頼書等を提出する
- 9
入庫・換金・未受領配当・償還・預り金の完了を確認する
- 10
死亡日評価、故人の取得費、移管通知、売却資料を保存する
誰が必要か
亡くなった方が証券会社・銀行等で、上場株式、ETF、REIT、債券、投資信託、NISA商品、外貨建て商品等を保有していた場合、相続人、受遺者、遺言執行者等が手続きします。代表相続人が先に死亡連絡と残高証明書の請求を行い、取得者が決まってから移管する流れが一般的です。
期限
通常の証券相続全体に「死亡後何日以内」という全国一律の移管期限は確認できません。一方、日本証券業協会のNISA FAQは、NISA商品を相続した人が、死亡を知った日以後遅滞なく「非課税口座開設者死亡届出書」を故人のNISA口座を開設している証券会社へ提出しなければならないと案内しています。
死亡日から届出までにNISA口座で支払われた配当金等は遡って課税されます。また、相続税の申告が必要な場合は国税庁の案内する死亡を知った日の翌日から10か月以内の期限も別に管理します。債券の償還、投資信託の信託終了、公開買付け、上場廃止等の個別日程も確認してください。
手続き先
第一の窓口は、故人の証券口座を管理する証券会社または銀行です。上場会社へ直接連絡するのではなく、口座内の株式等は原則として口座管理機関で処理します。証券会社の口座にない特別口座、単元未満株・端株、未受領配当等は株主名簿管理人が窓口になることがあり、No.68で扱います。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の公式案内では、死亡連絡後に各種契約口座の解約、死亡日基準の残高証明書、被相続人宛て交付物の送付先登録を行う流れが公開されています。必要書類や受入口座の条件は金融機関・商品ごとに異なるため、各社の相続担当部署へ確認します。
証券口座を探す方法
- 取引残高報告書、特定口座年間取引報告書、取引報告書
- 配当金計算書、株主総会招集通知、債券の利金・償還案内
- 通帳の入出金、証券カード、スマホアプリ、メール、SMS
- 確定申告書、財産目録、家計簿、パスワード管理帳
- 勤務先の持株会、金融機関の貸金庫、信託銀行の通知
取引先が分からない場合は、JASDECの登録済加入者情報の開示請求で、故人の株式等に係る口座開設先を調査できる場合があります。請求は郵送のみで、電話回答はありません。2026年9月4日時点では、書類受付から結果発送まで約2か月と案内されています。
JASDECの通知は残高証明書ではありません。開示結果を手掛かりに証券会社へ連絡し、銘柄・数量・預り金・信用取引等を改めて確認します。JASDEC制度の対象外の商品・口座や、異なる旧姓・旧住所の登録もあるため、開示結果だけで全財産を確定しません。
JASDEC開示の費用と注意点
2026年9月4日時点で、法定相続人による開示は1件6,050円です。法務局発行の法定相続情報一覧図のコピーを提出する場合は1件4,950円です。同一人物を旧姓・旧住所等でも調べる場合は、2件目以降1件につき1,100円が加算され、該当がなくても費用がかかります。
JASDECの改定通知によると、2026年10月1日以後の消印から、法定相続情報一覧図なしの法定相続人請求は7,700円、同一覧図ありは6,050円へ改定されます。申請時点の料金を公式ページで確認してください。
必要書類の案内に従い、開示請求書以外の確認書類は全ページのコピーを送り、原本は送らないでください。提出書類は返却されません。
株式・ETF・REITの相続
銘柄、数量、口座区分、貸株、信用取引、未受領配当、株主優待、公開買付け・上場廃止の有無を確認します。遺言または遺産分割で取得者を決め、金融機関が指定する受入口座へ移管します。故人口座の認証情報で売却注文を出しません。
市場価格は変動します。遺産分割で公平を考えるための評価日、相続税評価、実際の売却価格は別の数字です。国税庁は、上場株式の相続税評価について、死亡日の最終価格と、死亡月・前月・前々月の各月平均額を比較する方法を示しています。
債券の相続
国債、地方債、社債、外国債券、仕組債等について、額面、数量、時価、利率、利払日、償還日、経過利子、通貨、期限前償還、発行体の信用状況を確認します。商品や受入先によっては現物移管できず、償還・売却・換金を案内される場合があります。
相続税評価は額面だけではありません。国税庁の公社債評価に従い、上場の有無、売買参考統計値、利息、源泉所得税等を反映する区分があります。金融機関の死亡日残高・評価資料を取得します。
手元にある紙の国債が特別弔慰金国庫債券などの記名国債なら、弔慰金国債の相続・記名変更で券面の支払場所と必要書類を確認してください。
投資信託の相続
ファンド名、口数、基準価額、分配金、再投資、信託終了日、外貨建て、移管可否を確認します。同じ商品名でも販売会社が異なると移管できないことがあるため、相続人の受入口座を作る前に条件を確認します。
国税庁は、証券投資信託の相続税評価について、上場の有無や解約請求・買取請求によって評価方法を区分しています。画面上の現在評価額だけを相続税申告額として使用せず、死亡日基準の資料を保存してください。
NISAは口座・非課税枠を引き継げない
NISA口座そのものや故人の未使用非課税枠を相続人へ移すことはできません。日本証券業協会は、相続したNISA商品を相続人のNISA口座に受け入れられず、特定口座または一般口座へ受け入れると案内しています。
受け入れる商品の取得日は相続発生日、取得価額は相続発生日の時価です。特定口座へ受け入れる場合は、同一銘柄を全て移管すること、故人のNISAを開設している証券会社へ「相続上場株式等移管依頼書」を提出することなどの条件があります。受入先と必要書類を証券会社へ確認します。
通常の課税口座とNISAでは取得費が違う
国税庁によると、通常の課税口座にあった株式等を相続した場合、売却時の取得費は原則として故人の取得費を引き継ぎます。死亡日の相続税評価額へ自動的に置き換わるわけではありません。
一方、NISAから相続で払い出された上場株式等は、原則として相続発生日の最終売買価格等が取得価額になります。相続税評価と売却益計算上の取得費を混同せず、故人の取引報告書、取得価額、死亡日価格、移管通知を保存します。
相続後に売却するときの税務
移管後に売却して利益が出れば、相続人側で譲渡所得等の計算が必要です。取得費が不明な場合、国税庁は売却代金の5%相当額を取得費とする方法も案内していますが、実際の取得費が高い可能性があるため、先に証券会社の履歴、取引報告書、名義書換記録等を調査します。
相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例は、相続税が課税された人が一定期間内に株式等を売却するなど、要件を満たす場合に利用できます。適用には確定申告と計算明細書等が必要です。
必要書類
- 証券会社所定の死亡届・相続届・資産受取依頼書
- 故人の死亡を確認できる戸籍・除籍または法定相続情報一覧図
- 法定相続人を確認できる戸籍一式
- 遺言書、検認証明書、遺言執行者選任審判書等
- 遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書・本人確認書類
- 受け入れる相続人名義の証券口座情報
- NISAの非課税口座開設者死亡届出書・相続上場株式等移管依頼書
証券会社の公式帳票例には、相続に関する届出書・依頼書、相続上場株式等の移管依頼書等があります。ただし他社へそのまま提出できる共通様式ではありません。原本返却の可否、発行後の有効期間、共同相続人全員の署名・押印の要否を取引先へ確認します。
費用
証券会社の死亡連絡、残高証明、移管について共通の料金はありません。金融機関によって手数料無料の場合も、戸籍・印鑑証明書・郵送・受入口座開設等の実費がかかります。JASDEC開示の料金は上記のとおり改定予定を含むため、申請時の公式額を確認してください。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
株式・債券・投資信託・NISAの相続に住所地別の市役所管轄はありません。4市のどこに住んでいても、故人の口座を管理する証券会社・銀行が手続き先です。取引先が分からない場合は、対象を確認したうえでJASDECの登録済加入者情報開示を利用します。市役所では証券口座や残高を照会できません。
JASDEC開示請求事務センターは03-5665-3642、平日10時~16時です。電話で開示結果は回答されず、請求は郵送のみです。市役所窓口は市の死亡後手続き全般の案内先であり、証券相続の受付先ではありません。窓口・電話番号の確認日:2026-09-04。
自分でできるか
取引先と商品が特定でき、相続人・取得者について争いがなく、金融機関が示す受入口座と書類を準備できる場合は、自分で進められます。取引先、口座区分、銘柄、数量、預り金、評価資料、取得者、移管状況を一覧化してください。
専門家に相談した方がよいケース
- 取引先や証券資産の全体を特定できない
- 信用取引、先物・オプション、担保、貸株、外貨建て商品がある
- 非上場株式、特別口座、海外口座・外国税がある
- 相続人間で分割方法・評価日・売却時期に争いがある
- 通常口座とNISAで取得費が異なり、売却税務が複雑
- 相続税評価、取得費加算、準確定申告の判断が必要
注意点
- NISA枠は承継しない:相続人のNISAへ直接移せません。
- 届出を遅らせない:死亡後から届出までのNISA配当等は遡及課税に注意します。
- 取得費を混同しない:通常口座は故人の取得費を原則承継し、NISA払出しは死亡日時価が原則です。
- JASDECだけで終えない:開示は口座開設先の手掛かりで、残高は証券会社へ照会します。
- 故人名義で売買しない:相続手続き後に相続人名義の口座で判断します。
- 残高以外も確認:預り金、配当、利金、償還、信用取引、貸株等を調べます。
よくある質問
故人の証券口座をそのまま名義変更できますか
一般には故人口座を継続せず、相続手続き後に取得者名義の証券口座へ商品・金銭を移します。受入口座の条件は取引先へ確認してください。
NISA商品を自分のNISAへ移せますか
移せません。相続人の特定口座または一般口座で受け入れ、取得日・取得価額はNISA相続のルールに従います。
JASDECへ頼めば全銘柄と残高が分かりますか
分かりません。開示結果は口座開設先を探す手掛かりです。銘柄・数量・残高は判明した証券会社へ照会します。
相続税評価額がそのまま売却時の取得費ですか
通常の課税口座では原則として故人の取得費を引き継ぐため、同じとは限りません。NISAからの相続払出しは死亡日時価が取得価額となる点も区別します。
野田・柏・流山・松戸の市役所で手続きできますか
できません。証券会社・銀行が手続き先です。市役所のおくやみ窓口は、市の死亡後手続き全般の案内に利用できます。
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情報確認日:2026年9月4日
移管可否、受入口座、必要書類、評価・取得費、税務上の取扱いは、商品・金融機関・相続方法で異なります。処分や申告の前に取引先と税務署、必要に応じて税理士等へ確認してください。