公営住宅は、名義人が亡くなっても相続人へ当然には承継されません。死亡時に同居していた人が、住宅管理者へ承継入居を申請し、正式な承認を受ける必要があります。千葉県営住宅は承継事由発生後30日以内、4市の市営住宅は各市の最新案内に従い、書類がそろう前でも先に連絡してください。
No.36 公営住宅の承継で最初に確認すること
- 確認項目
- 対応
- 住宅種別
- 市営・県営・UR等を入居許可書や納付書で確認
- 承継の原則
- 相続による自動承継ではなく、住宅管理者の承認が必要
- 申請者
- 死亡時の同居者が前提。正式同居、続柄、収入等を審査
- 千葉県営
- 承継事由発生後30日以内。千葉県住宅供給公社へ申請
- 4市営
- 各市窓口へ直ちに連絡。具体的期限・書類は個別確認
- 承継不可
- 明渡期限、転居相談、福祉・居住支援を確認
別居相続人ではなく、死亡時の同居者が承継審査の対象
名義人の子や相続人というだけでは、公営住宅へ新たに入居できません。公営住宅法27条6項は、死亡時に同居していた人が事業主体の承認を受ける仕組みです。
同居者でも自動承認ではありません。正式な同居承認、対象者の範囲、収入、滞納等を住宅ごとの基準で審査します。
公営住宅の承継入居を確認する8STEP
- 1
入居許可書・家賃納付書から市営・県営等の住宅種別と管理窓口を確認する
- 2
管理窓口へ名義人の死亡と継続居住の希望を直ちに連絡する
- 3
死亡時の同居者と、住宅管理上の正式な同居承認記録を確認する
- 4
承継対象者、収入、滞納、同居期間、提出期限の審査基準を確認する
- 5
戸籍・除住民票・世帯住民票・所得証明等をそろえる
- 6
承継承認申請書と世帯員異動届等を期限内に提出する
- 7
審査中の家賃支払方法を確認し、領収書を保管する
- 8
承認後は請書・敷金・口座等を整え、不承認なら明渡しと転居支援を相談する
公営住宅の名義人が亡くなったとき最初にすること
市営・県営住宅の名義人が亡くなり、同居していた家族が住み続けたい場合は、住宅の管理窓口へすぐに連絡します。公営住宅法27条6項は、名義人の死亡時に同居していた人が、事業主体の承認を受けて引き続き居住できると定めています。
相続人だから契約を当然に相続できるわけではありません。別居していた子などが相続を理由に新たに入居する手続きでもありません。死亡時の同居状況、正式な同居承認、続柄、収入、滞納等について、住宅管理者の審査を受けます。
まず住宅の種類を確認する
- 市営住宅:野田市・柏市・流山市・松戸市など、各市の住宅担当課が窓口です。
- 千葉県営住宅:千葉県住宅供給公社が各種申請の窓口です。
- UR・公社一般賃貸等:公営住宅法上の公営住宅とは限らず、別の契約・承継ルールです。
団地名だけで判断せず、入居許可書、家賃納付書、入居のしおりに記載された事業主体と管理窓口を確認してください。
誰が申請できるか
公営住宅法上の出発点は、名義人が死亡した時点でその住宅に同居していた人です。ただし、同居していれば必ず承継できるわけではありません。国土交通省の運用指針は、同居期間、収入基準、家賃滞納、無断転貸等を審査する考え方を示しています。
実際の対象は事業主体の条例・規則・基準によって異なります。千葉県営住宅では、同居者である配偶者、県内市町村の制度に基づくパートナーシップにある人、または高齢者・生活保護受給者・ひとり親世帯・障害者等の特に居住の安定を図る必要がある人に申請者を限定しています。
期限
全国・4市共通の「死亡後14日以内」という期限ではありません。住宅ごとに条例・規則・案内が異なるため、書類がそろう前でも先に死亡と継続居住の希望を連絡します。
- 千葉県営住宅:千葉県の公式案内では、承継事由発生後30日以内に知事・公社理事長の承認を受ける必要があります。
- 野田市営住宅:野田市のおくやみハンドブックは「すみやかに」と案内しています。
- 柏市営住宅:承継要件を満たして住み続ける場合は承継入居承認手続が必要です。具体的な提出時期は住宅政策課へ確認します。
- 流山市営住宅:家族の死亡等は必ず届出が必要です。承継希望は建築住宅課へ直ちに確認します。
- 松戸市営住宅:松戸市のおくやみハンドブックは承継入居申請を「死亡後すみやかに」と案内しています。
手続き先
- 市営住宅は各市の住宅担当課・管理窓口
- 千葉県営住宅は千葉県住宅供給公社県営住宅管理部管理課
- 指定管理者や団地管理事務所がある場合は、その案内窓口
市役所のおくやみ窓口だけで承継審査が完了するとは限りません。必ず住宅管理を担当する部署へ直接確認してください。
必要書類
- 居住承継・入居承継の承認申請書
- 名義人の死亡を確認できる戸籍、除住民票等
- 申請者と名義人の続柄を確認できる戸籍等
- 現在居住する世帯全員の住民票
- 給与証明、所得証明、課税・非課税証明等
- 住宅管理者が求める請書、誓約書、緊急連絡先等
- 障害、生活保護、ひとり親等の事情を証明する書類(該当する場合)
必要書類は住宅ごとに違います。野田市の申請書は、続柄を証する書類、死亡による申請では名義人の除住民票、申請者の所得関係書類等を添付書類として示しています。千葉県営住宅は住民票・戸籍謄本等の原本提出を案内しているため、コピーでよいと自己判断しないでください。
審査で確認される主な事項
- 名義人の死亡時に実際に同居していたか
- 住宅管理者から正式な同居承認を受けていたか
- 配偶者等、承継申請の対象者に該当するか
- 必要な同居期間を満たすか
- 承継後の世帯収入が基準内か
- 家賃滞納、無断同居、無断転貸等がないか
- 住宅の規模と承継後の世帯構成が適切か
住民票が同じというだけで、住宅管理上の正式な同居承認があるとは限りません。入居時書類、世帯員異動届、同居承認書を確認します。
家賃・口座・敷金
承継審査中も家賃を放置しないでください。名義人の口座が凍結されると引落しが止まる可能性があるため、納付書その他の支払方法を管理窓口へ確認します。死亡前の滞納と死亡後の居住分を区分し、領収書を保管してください。
承継後に請書や新しい支払口座が必要になり、世帯収入に応じて家賃が再認定される場合があります。松戸市のおくやみハンドブックは、承継入居申請の持ち物として敷金(家賃3か月分)を案内しています。これは全国共通ではないため、他の住宅へそのまま当てはめないでください。
名義人以外の同居者が亡くなった場合
亡くなった人が名義人ではなく同居世帯員だった場合は、通常は名義承継ではなく世帯員異動の届出です。流山市は、出生・転出・死亡等による家族の異動がある場合に届出を求めています。家賃算定や住宅の適正規模に影響することがあるため、同居者の死亡も管理窓口へ届けます。
承継できない・承継を希望しない場合
承継が認められない場合や誰も住み続けない場合は、住宅の明渡し手続を行います。退去日、鍵返却、家財撤去、原状回復、未払家賃、敷金精算を管理者と確認します。
千葉県は、承継が認められない場合には期限を定めて明渡しを求めると案内しています。通知を無視せず、高齢・障害・病気・子育て等で転居が難しい場合は、住宅担当課、福祉窓口、居住支援法人へ早めに相談してください。
退去の準備とあわせて、電気・ガス・水道の停止日と最終請求の確認も進めます。この記事では、住み続ける場合の名義変更との違いも整理しています。
相続放棄を検討している場合
死亡連絡や漏水・火災を防ぐための緊急対応は必要ですが、故人の家財処分、敷金受領、滞納家賃の遺産からの支払いは、相続放棄との関係が問題になることがあります。住み続けるための承継申請と、故人の相続財産・債務の処理は分けて考え、財産を動かす前に弁護士等へ相談します。
費用
申請手数料の有無、敷金、請書、退去修繕等は管理者によって異なります。戸籍・住民票・所得証明の取得費、滞納家賃、原状回復費が生じることがあります。松戸市の敷金3か月分のように地域固有の取扱いもあるため、申請前に金額と支払期限を確認してください。
自分でできるか
承継申請自体は同居家族が管理窓口へ行えます。専用様式と必要書類一覧を先に受け取り、提出日・担当者・不足書類を記録します。承認の可否は行政書士等ではなく住宅の事業主体が決めます。
専門家・支援窓口へ相談した方がよいケース
- 正式同居の有無や同居期間について争いがある
- 家賃滞納、無断同居、無断転貸がある
- 承継不承認や明渡請求に納得できない
- 相続放棄と家財・敷金・滞納家賃の処理が重なる
- 高齢、障害、病気、ひとり親等で転居が困難
住宅管理者、各市の福祉窓口、居住支援法人、法テラス、弁護士へ、期限前に相談してください。
注意点
- 相続人=承継者ではない:死亡時の同居と管理者の承認が必要です。
- 住宅種別を確認:市営・県営・UR・公社一般賃貸では窓口と規則が違います。
- 14日と決めつけない:千葉県営は30日以内、4市営は各窓口の最新案内を確認します。
- 書類待ちで連絡を遅らせない:先に死亡と継続居住希望を伝えます。
- 家賃を止めない:審査中の納付方法を確認します。
- 住民票だけで判断しない:正式な同居承認記録を確認します。
よくある質問
名義人の子なら別居していても承継できますか
通常の承継は死亡時に同居していた人が対象です。別居していた相続人が相続を理由に新たに入居する制度ではありません。
住民票が同じなら必ず承継できますか
いいえ。正式な同居承認、対象者の範囲、収入、滞納等も審査されます。
千葉県営住宅も市役所へ申請しますか
県営住宅の各種申請は千葉県住宅供給公社へ事前に問い合わせます。市営住宅は各市の住宅担当課です。
30日を過ぎたら申請できませんか
千葉県営住宅の公式期限は承継事由発生後30日以内です。過ぎている場合も自己判断で諦めず、直ちに管理課へ事情を伝えてください。承認を保証するものではありません。
承継できない場合はすぐ追い出されますか
明渡しが必要でも、期限や転居相談は管理者が判断します。通知を放置せず、個別事情を伝えて支援窓口も利用します。
関連する相続手続き
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
市営住宅は各市の住宅担当課、千葉県営住宅は千葉県住宅供給公社が窓口です。所在地ではなく、入居許可書・納付書に記載された住宅の事業主体を確認してください。
4市内の千葉県営住宅:千葉県住宅供給公社 県営住宅管理部管理課 043-222-9182。承継事由発生後30日以内に承認が必要です。千葉県公式案内
窓口・電話番号・制度の確認日:2026-08-28。提出前に各住宅管理者の最新案内をご確認ください。
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「公営住宅法」
- 国土交通省「同居承認及び入居承継承認について」
- 千葉県「許可・承認を必要とする手続」
- 千葉県「県営住宅についての御案内」
- 野田市「おくやみハンドブック」
- 柏市「契約名義人が亡くなった場合」
- 流山市「市営住宅について」
- 松戸市「おくやみハンドブック」
情報確認日:2026年9月12日
承継の対象、期限、必要書類、敷金、退去時の扱いは住宅の事業主体と個別事情で異なります。この記事だけで可否を判断せず、必ず入居住宅の管理窓口へ確認してください。