暮らし・契約の整理

特許権の相続・移転登録|必要書類・費用・出願中との違い

期限
一律の期限なし/原簿更新と年金確認を速やかに
手続き先
特許庁登録室(書面・電子特殊申請)

相続手続き100チェックリスト No.53。故人名義の特許権・持分は相続対象です。登録済み特許は相続による移転登録、出願中の案件は一般承継による出願人名義変更届を使います。特許番号、存続状況、年金期限、相続関係を確認し、特許庁へ速やかに手続きします。

No.53 特許の状態別に選ぶ手続き

権利の状態
必要な確認・手続き
登録済み
相続による特許権移転登録申請
共有持分
相続による持分移転登録。他共有者の同意不要
出願中
一般承継による出願人名義変更届。手数料不要
年金未納
追納6か月・割増料金・回復制度を緊急確認
外国特許
各国代理人へ相続・名義変更・期限を確認

移転登録より先に存続と年金期限を確認

特許証があっても権利が存続しているとは限りません。J-PlatPatと特許原簿で存続・権利者・年金を確認します。納付期限後6か月の追納期間を過ぎると、原則として期限時にさかのぼって消滅します。

野田市・柏市・流山市・松戸市とも申請先は特許庁です。市役所・法務局では受け付けません。

特許権の相続を進める9STEP

1

特許証・契約書・納付書から特許番号と出願番号を集める

2

J-PlatPatと原簿で権利者・存続・共有持分を確認する

3

年金・出願中案件の期限を確認し、緊急手続を優先する

4

遺言と相続人を確認し、特許権の取得者を決める

5

法定相続情報一覧図・戸籍・住所証明を準備する

6

遺言・遺産分割・共有持分に応じた追加書類を揃える

7

登録済みと出願中で申請書・届出を分ける

8

登録免許税を納付し、書面または電子で特許庁へ出す

9

登録後の原簿・年金・契約・外国権利を引き継ぐ

誰が必要か

亡くなった方が特許原簿上の特許権者または共有者であり、その特許権・持分を相続した相続人や受遺者が手続きします。発明者であるだけで特許権者とは限りません。出願中の「特許を受ける権利」は登録済み特許権と別手続きです。

期限

相続による特許権移転登録について、死亡後何日以内という一律の申請期限は示されていません。ただし特許庁は、登録原簿を最新かつ正確な状態にするため速やかな手続きを案内しています。出願中の一般承継は、承継人が遅滞なく特許庁長官へ届け出ます。

特許料(年金)、出願中の応答期限、ライセンス契約の通知期限、権利行使、相続税申告等は別に進みます。移転登録の準備中も期限管理を止めません。

最初に権利の状態を分ける

  • 登録済み・存続中:相続による特許権移転登録申請
  • 登録済み・共有:故人持分について相続による持分移転登録申請
  • 出願中:一般承継による出願人名義変更届
  • 年金未納・消滅:追納期間や回復要件を緊急確認
  • 外国特許:各国の代理人・法令・期限に従う
  • 契約・担保付き:実施許諾、質権、共有契約等を別確認

相続と登録の効力

特許法と特許庁の案内では、譲渡等は原則として登録が効力発生要件ですが、相続その他の一般承継は例外です。相続による権利承継自体は登録前でも生じますが、第三者も閲覧する特許原簿を承継後の状態へ一致させるため移転登録を行います。

特許番号と存続を確認

J-PlatPatで特許番号、権利者、登録日、経過情報、存続状況を検索し、特許証、年金納付書、特許事務所の管理表、ライセンス契約と照合します。検索結果だけで判断できないときは特許原簿の閲覧・交付を利用します。

必要書類

特許庁の相続手続案内は、被相続人の死亡と相続人であることを証明する書面を必須としています。法務局が認証した法定相続情報一覧図、または被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍等と相続人の現在戸籍を用意します。

  • 相続による特許権移転登録申請書
  • 法定相続情報一覧図、または戸籍・除籍等
  • 原簿上の住所・戸籍・申請書の人物同一性を示す住民票除票等
  • 遺言書、遺産分割協議書、相続放棄受理証明書、特別受益証明書等
  • 代理人へ依頼する場合の委任状
  • 外国語書面を出す場合は日本語訳

法定相続情報一覧図だけで遺産分割の内容までは証明できません。誰が特許権を取得するかに応じて遺言書・遺産分割協議書等を追加します。

共有特許の持分を相続する場合

故人が特許権の共有者だった場合は、申請書の表題を「相続による持分移転登録申請書」とし、登録の目的に故人持分の移転であることを記載します。特許庁は、相続による故人持分の移転について他の共有者の同意書は不要と案内しています。相続後の持分と共有契約は別に確認します。

登録免許税

特許庁の登録免許税一覧では、相続による特許権移転登録は1件につき3,000円です。実用新案権・意匠権・商標権も相続による移転登録は1件3,000円です。

紙申請では収入印紙を使用し、特許印紙では納付しません。電子特殊申請では、ペイジー、ペイジーダイレクト(口座振替)、クレジットカードの電子納付に対応しています。国庫へ税金を払うだけでは申請完了にならず、移転登録申請書も提出します。

申請方法

郵送、特許庁窓口での書面申請、インターネット出願ソフトによる電子特殊申請を利用できます。電子特殊申請は対象書類を確認し、申請書と添付書面をPDFで送信します。押印が必要な書面をPDFで出す場合は所定の電子署名が必要で、PDF提出できない添付書面が1通でもあれば書面申請にします。

複数の特許権がある場合

一定の条件で複数権利を一申請にまとめる併合申請ができます。同じ戸籍等を複数申請へ使う場合は、先の申請書に添付した書面を援用して省略できることがあります。200件以上は大量申請の案内を確認します。登録免許税は対象権利の件数分を計算します。

出願中の案件は別手続き

特許庁は、出願後の「特許を受ける権利」を相続等で一般承継した場合、承継人が出願人名義変更届を提出するよう案内しています。一般承継による名義変更の手数料は不要です。登録済み権利の移転登録申請書を流用しません。

特許料(年金)を最優先で確認

権利維持には毎年の特許料が必要です。特許庁によると、納付期限後6か月は通常額と同額の割増特許料を加えて追納できます。追納期間内にも納付しなければ、原則として当初の納付期限にさかのぼって権利が消滅します。回復制度には期間と要件があるため、未納が疑われる場合は移転書類より先に特許庁・弁理士へ確認します。

登録後の確認

移転登録済通知書と特許原簿で、権利者、住所、共有持分を確認します。次回年金、期限通知サービス、自動納付、特許事務所、実施許諾、質権、共同研究契約、訴訟・警告案件、外国特許ファミリーも引き継ぎます。

野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先

4市とも登録済み特許権の移転登録申請先は特許庁です。市役所や法務局には申請しません。個別の移転手続は特許庁登録室・特実移転担当(03-3581-1101、内線2714・2715)、千葉県内の無料相談はINPIT千葉県知財総合支援窓口(043-255-7987、平日9時~12時・13時~17時)へ確認できます。

野田市

特許庁登録室/INPIT千葉県知財総合支援窓口

野田市役所や千葉地方法務局では受け付けません。登録済み特許は特許庁へ申請し、書類・電子申請の相談はINPIT千葉県窓口も利用できます。

柏市

特許庁登録室/INPIT千葉県知財総合支援窓口

柏市内に居住していても申請先は特許庁です。特許番号、原簿、年金期限を確認してから相談します。

流山市

特許庁登録室/INPIT千葉県知財総合支援窓口

流山市役所に特許権の相続届を出す制度はありません。出願中なら移転登録ではなく出願人名義変更届を確認します。

松戸市

特許庁登録室/INPIT千葉県知財総合支援窓口

松戸市役所・法務局ではなく特許庁が申請先です。相続関係や権利評価が複雑なら弁理士・税理士等へ相談します。

窓口確認日:2026-08-30。出願中案件、外国権利、相続税の評価は窓口が異なります。

相続税上の評価

国税庁の財産評価基本通達140~145は、原則として特許権に基づき将来受ける補償金を複利現価で評価します。課税時期後に見込まれる補償金合計が50万円未満と認められる特許権は評価せず、取得者が自ら発明を実施する場合は営業権の価額に含めます。特許権等の評価明細書を相続税申告書へ添付する案内もあります。事業・契約ごとの個別評価は税理士へ確認します。

費用

登録免許税は特許権1件につき3,000円です。戸籍・住民票等の取得費、郵送料、原簿閲覧・交付費、弁理士等へ依頼する場合の報酬が別にかかります。年金未納があれば、未納年分と同額の割増特許料等が必要になる場合があります。

自分でできるか

特許が少数で、権利が存続し、相続人・取得者・住所のつながりが明確なら本人申請も可能です。特許庁の最新記載例に従い、提出前に登録室へ添付書面を確認します。

専門家に相談した方がよいケース

  • 複数の国内外特許・出願中案件がある
  • 年金期限・審査応答期限が迫っている、または未納がある
  • 共有、専用実施権、質権、ライセンス契約がある
  • 原簿上の住所と戸籍・住民票がつながらない
  • 相続人間で権利評価や取得者に争いがある
  • 故人の事業と一体で特許を利用していた

注意点

  • 出願中と登録済みを分ける:届出名・費用・提出方法が異なります。
  • 特許証だけで判断しない:年金未納等で消滅していることがあります。
  • 紙は収入印紙:特許印紙ではありません。
  • 共有持分を正しく書く:故人持分の移転として申請します。
  • 住所のつながりを確認:原簿、戸籍、申請書の同一人物を証明します。
  • 外国権利を別管理:国ごとの代理人と期限を確認します。

よくある質問

移転登録前は特許権を相続していませんか

相続による一般承継は、登録を効力発生要件とする譲渡等とは異なります。ただし原簿を正しい状態にするため、移転登録は速やかに行います。

法定相続情報一覧図を使えますか

使えます。ただし取得者を決めた遺産分割の内容など、一覧図で証明できない事項には追加書類が必要です。

共有者の同意書は必要ですか

故人が持っていた共有持分の相続による移転について、特許庁は他の共有者の同意書を不要と案内しています。

登録免許税は特許印紙で払いますか

紙申請では収入印紙です。電子特殊申請では対応する電子納付方法を利用します。

野田・柏・流山・松戸のどこへ申請しますか

4市とも申請先は特許庁です。市役所や法務局では受け付けません。千葉県内の一般相談にはINPIT千葉県知財総合支援窓口も利用できます。

関連する相続手続き

参考にした公式情報

情報確認日:2026年8月30日

必要書類、納付方法、電子申請の対象、権利維持期限は変更されます。提出直前に特許庁の最新案内と個別原簿を確認してください。