預貯金・証券・保険

死亡後の銀行借入金|債務調査・3か月期限と4市の窓口

期限
返済日は契約どおり/相続判断は原則3か月
手続き先
借入先・KSC・CIC・JICC

相続手続き100チェックリスト No.64。銀行等の借入金は、判明している金融機関への照会に加え、必要に応じて全国銀行個人信用情報センター・CIC・JICCを別々に確認します。記載がない債務もあり得るため、原則3か月の熟慮期間を管理しながら、返済・担保・保証・団信を調査します。

No.64 借入金調査の7項目

確認項目
確認する内容
借入先
銀行、信金、信組、農協、保証会社、債権回収会社
残高
死亡日現在の元金、利息、遅延損害金、次回返済日
信用情報
KSC・CIC・JICCを必要に応じて別々に開示
契約関係
主債務、連帯債務、連帯保証、物上保証
保障・保証
団信、保証会社、信用保証協会、代位弁済
担保
抵当権、根抵当権、共同担保、極度額
期限
返済期日と原則3か月の熟慮期間を別々に管理

返済より先に、借入先と債務全体を確認する

相続放棄を検討するなら、故人の預金から返済したり、債務承認書へ署名したりする前に全体を確認します。

全国銀行個人信用情報センター、CIC、JICCの情報は別々です。開示結果に記載がなくても、債務なしとは断定できません。

死亡後の銀行借入を確認する10STEP

1

契約書、通帳、郵便物、メール、事業帳簿を保全する

2

相続放棄を検討するか確認し、返済・処分・署名を急がない

3

通帳の引落し、登記、確定申告書から既知の借入先を特定する

4

借入先へ死亡を連絡し、死亡日現在の残高と返済方法を確認する

5

必要に応じてKSC・CIC・JICCへ別々に信用情報を開示請求する

6

主債務・連帯債務・保証債務と担保の範囲を契約別に整理する

7

団信と保証会社・信用保証協会の代位弁済を区別する

8

3か月で調査できなければ熟慮期間伸長を期限内に検討する

9

単純承認・限定承認・相続放棄の方針を決める

10

承継する場合は金融機関の承諾を得て返済・担保・税務資料を保存する

誰が必要か

亡くなった方に銀行、信用金庫、信用組合、農協等からの住宅ローン、事業資金、教育ローン、カードローン、当座貸越などがある場合、相続人は借入先・残高・担保・保証・保険を調査します。故人が他人や会社の債務の連帯保証人になっていた可能性がある場合も確認が必要です。

期限

借入金の死亡連絡に全国共通の一律期限はありませんが、返済期日は死亡後も契約に従って到来します。また、裁判所は、単純承認・限定承認・相続放棄の選択期間を、自己のために相続開始があったことを知った時から原則3か月と案内しています。

3か月で債務調査が終わらない場合は、期間内に家庭裁判所へ熟慮期間伸長を申し立てる方法があります。金融機関と相談中であるだけでは、3か月の期間が自動的に止まるわけではありません。

最初にすること

返済や遺産分割を先に進めず、故人の資産と債務を同時に調べます。契約書、返済予定表、通帳、郵便物、メール、確定申告書、法人帳簿、不動産登記事項証明書を保全し、判明した金融機関と契約番号を一覧にしてください。

  • 通帳の返済引落し、振込履歴、当座貸越
  • 金銭消費貸借契約書、返済予定表、残高証明書
  • 銀行アプリ、メール、カード、ローン専用口座
  • 不動産の抵当権・根抵当権と共同担保目録
  • 確定申告書の借入金利子、事業帳簿、保証料
  • 保証会社・信用保証協会・債権回収会社からの通知
  • 会社借入に対する個人保証、物上保証

借入先が分からないときは信用情報を照会する

法定相続人は、亡くなった方について次の信用情報機関へ開示を申し込めます。各機関で加盟会員と登録情報が異なるため、必要に応じて別々に手続きします。

JICCの公式FAQは、JICCの開示結果に他機関の信用情報は含まれないと明記しています。全国銀行個人信用情報センターも、CIC・JICCの情報は各機関へ申し込むよう案内しています。

開示結果に記載がないことは、債務がないことの証明にはなりません。全国銀行個人信用情報センターは、加盟金融機関の借入でも死亡を理由に情報が削除され、掲載されない場合があると注意喚起しています。事業借入、個人間借入、保証債務、登録期間を過ぎた情報等も別に調査してください。

金融機関へ確認する内容

借入先が判明したら、死亡日、契約者名、生年月日、住所、契約番号、連絡者の氏名・続柄を伝え、正式な相続担当窓口を確認します。少なくとも次の事項を書面で整理します。

  • 死亡日現在の元金、未払利息、遅延損害金
  • 次回返済日、返済口座、審査・協議中の支払方法
  • 債務者、連帯債務者、連帯保証人、物上保証人
  • 抵当権・根抵当権、担保物件、極度額
  • 団体信用生命保険、債務返済支援保険等の加入
  • 保証会社・信用保証協会の利用と代位弁済の有無
  • 期限の利益喪失、一括請求、条件変更の有無

三菱UFJ銀行の相続手続案内でも、被相続人名義の借入がある場合は通常の預金相続とは必要書類の有効期間等が異なると案内されています。必要書類は金融機関・契約ごとに確認してください。

借金は誰が相続するか

裁判所の家事事件Q&Aは、被相続人の借金等は法律上、相続開始によって法定相続分に応じて当然に分割され、原則として遺産分割の対象にならないと説明しています。相続人同士で「1人が全部払う」と決めても、その合意は内部関係を定めるもので、金融機関へ当然に主張できるわけではありません。

特定の相続人だけが債務を引き受け、他の相続人を金融機関との関係でも外すには、債務引受けや契約変更について金融機関の承諾・審査が必要です。普通の可分債務と、連帯債務・連帯保証・不可分な契約上の義務では扱いが異なるため、契約書を確認します。

団信・保証会社・信用保証協会を混同しない

  • 団体信用生命保険:死亡が支払事由に該当すれば、保障対象の住宅ローン等が保険金で弁済される可能性があります。まず取扱金融機関へ連絡します。
  • 保証会社・信用保証協会:借主に代わって金融機関へ支払っても、借主側の債務が無条件で消える制度ではありません。
  • 連帯保証人:故人自身が保証人だった場合、その保証債務が相続の検討対象になることがあります。

全国信用保証協会連合会は、信用保証協会が金融機関へ代位弁済すると、中小企業者・保証人に対する求償権を持つと説明しています。「保証付きだから相続人は返済不要」と判断しないでください。

相続の3つの選択肢

民法と裁判所の案内に基づく基本的な選択肢は次のとおりです。

  • 単純承認:被相続人の権利と義務を承継する
  • 限定承認:相続財産の限度で債務を負担する。共同相続人がいる場合は原則として全員で申述する
  • 相続放棄:家庭裁判所へ申述し、初めから相続人でなかったものと扱われる

限定承認・相続放棄は金融機関への届出だけでは成立しません。家庭裁判所の手続が必要です。財産がプラスかマイナスか不明なときは、調査と期限管理を並行してください。

相続放棄を検討する場合の注意

故人の預金から借入金を返す、担保不動産を売却する、債務承認書や分割返済の合意書へ署名するなどの行為は、後の相続放棄へ影響する可能性があります。金融機関から請求を受けても、支払原資・書面の内容・行為の法的評価を確認する前に処理しないでください。

相続人自身の財産からの支払が直ちに単純承認になるかは、具体的事情で評価が異なります。「一度払ったら必ず放棄できない」「自分のお金なら必ず問題ない」と一律に判断せず、支払前に専門家へ相談します。

返済口座の凍結・自動引落し

借入先へ死亡を伝えると、故人名義の預金口座が利用制限され、従来どおり引き落とせないことがあります。一方、返済義務や利息が当然に止まるわけではありません。相続放棄への影響も踏まえ、入金・振込・返済猶予・延滞扱いを借入先へ確認し、担当者名と回答日を記録してください。

事業借入・根抵当権・保証債務

個人事業の借入、会社債務の個人保証、根抵当権がある場合は、単一の残高証明だけでは全体を把握できないことがあります。主債務者、保証人、担保提供者、保証協会、金融機関の関係と、根抵当権の被担保債権・元本確定を専門家と確認します。

保証債務について、相続上の承継問題と相続税の債務控除は別です。国税庁は、保証債務は原則として相続税の債務控除の対象外とし、主債務者が弁済不能で求償しても回収見込みがない場合などに例外があると説明しています。

必要書類

  • 死亡が確認できる戸籍・除籍、住民票除票等
  • 法定相続人を確認できる戸籍一式または法定相続情報一覧図
  • 相続人代表者の本人確認書類、印鑑証明書
  • 借入契約書、返済予定表、残高証明書、通帳
  • 担保不動産の登記事項証明書、共同担保目録
  • 保証委託契約書、保証書、団信関係書類
  • 遺言書、遺産分割協議書、相続放棄申述受理通知書等

金融機関や信用情報機関によって、原本・コピー、発行後の有効期間、本人限定受取郵便の要否が異なります。送付前に公式案内を確認してください。

費用

信用情報の郵送開示には手数料と郵送費等がかかります。2026年9月3日時点の公式案内では、全国銀行個人信用情報センターの郵送利用券は2,403円、CICの本人限定郵便による法定相続人開示は1,650円、JICCの通常郵送開示利用券は2,177円です。改定されることがあるため申込時に最新額を確認してください。

このほか、戸籍、住民票、登記事項証明書、残高証明、郵送、契約変更・担保登記等の実費がかかります。専門家へ債務調査、相続放棄、限定承認、交渉、登記を依頼する場合は別途報酬が必要です。

相続税での扱い

国税庁は、被相続人の死亡時に現に存在し、確実と認められる借入金等は、原則として遺産総額から控除できると案内しています。死亡日現在の残高証明、利息計算書、返済・代位弁済・団信の結果を保存してください。

団信で返済されて相続人が負担しないローン、保証債務、非課税財産に関する債務等は別の検討が必要です。相続上の債務承継と、相続税申告上の債務控除を同じものとして処理しないでください。

野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先

銀行等の借入金に市役所の地域管轄はありません。4市のどこに住んでいても、判明している借入は契約金融機関、借入先が不明な場合は全国銀行個人信用情報センター・CIC・JICCが照会先です。市役所のおくやみ窓口では民間の借入残高や契約内容を開示できません。

野田市

借入先金融機関/千葉家庭裁判所松戸支部

民間借入の照会は借入先へ。市役所手続きの案内は野田市おくやみコーナーを利用できます。

柏市

借入先金融機関/千葉家庭裁判所松戸支部

民間借入の照会は借入先へ。市役所手続きの案内は柏市ご遺族支援コーナーを利用できます。

流山市

借入先金融機関/千葉家庭裁判所松戸支部

民間借入の照会は借入先へ。市役所手続きの案内は流山市おくやみ相談窓口を利用できます。

松戸市

借入先金融機関/千葉家庭裁判所松戸支部

民間借入の照会は借入先へ。市役所手続きの案内は松戸市おくやみ案内を利用できます。

被相続人の最後の住所が野田市・柏市・流山市・松戸市の場合、相続放棄・限定承認・熟慮期間伸長の申立先は千葉家庭裁判所松戸支部です。これから申立てをする方の受付係は047-313-9737。借入先への連絡や市役所への相談とは別に、原則3か月の期限を管理してください。管轄・電話番号の確認日:2026-09-03。

自分でできるか

借入先と残高が明確で、担保・保証・事業債務がなく、単純承認する方針が決まっている場合は、金融機関の案内に沿って書類を準備できます。ただし、信用情報の空白、複数債権者、相続放棄、債務引受けが関係する場合は判断を急がないでください。

専門家に相談した方がよいケース

  • 資産より債務が多い、または全債務を把握できない
  • 3か月の熟慮期間が迫っている
  • 故人の預金から返済するよう求められている
  • 事業借入、根抵当権、連帯債務、連帯保証がある
  • 一部の相続人だけが債務を引き継ぎたい
  • 期限の利益喪失、一括請求、代位弁済の通知を受けた
  • 相続人に未成年者がいる、相続人間で利害が対立している

注意点

  • 信用情報は3機関別々:1か所の開示だけで全債務を確認できるとは限りません。
  • 記載なしでも終了しない:死亡後に登録が削除された借入や、登録対象外の債務があります。
  • 3か月を止めない:金融機関との協議中でも熟慮期間を管理します。
  • 返済前に全体確認:相続放棄を検討する場合は財産処分・債務承認を避けます。
  • 相続人間の合意だけでは免責されない:債務者変更には金融機関の承諾が必要です。
  • 保証と保険を分ける:保証会社の代位弁済後には求償があり得ます。

よくある質問

信用情報を1機関だけ開示すれば十分ですか

十分とは限りません。各機関の登録情報は別で、JICCは他機関の情報を含まないと案内しています。既知の借入先への直接照会も必要です。

開示結果が空なら借金はありませんか

断定できません。全国銀行個人信用情報センターは、死亡を理由に情報が削除される場合があると案内しています。個人間借入、事業債務、保証債務等も別に調べます。

相続人の1人が全額返すと決めれば、他の相続人は免責されますか

相続人間の合意だけでは金融機関へ当然に主張できません。債務引受けや契約変更について金融機関の承諾を得ます。

保証会社が付いていれば相続人は返済不要ですか

保証会社等が金融機関へ代位弁済すると、相続人等へ求償される可能性があります。団信とは別の制度です。

3か月で借入調査が終わりません

期限内に家庭裁判所へ熟慮期間伸長を申し立てる方法があります。4市に被相続人の最後の住所がある場合は、千葉家庭裁判所松戸支部の管轄を確認してください。

関連する相続手続き

参考にした公式情報

情報確認日:2026年9月3日

借入残高、返済条件、保険、保証、担保、必要書類は契約ごとに異なります。信用情報の開示だけで判断せず、借入先と専門家へ個別に確認してください。