相続手続き100チェックリスト No.65。消費者金融等の借入は、カード・通帳・郵便物とCIC・JICCの死亡開示を組み合わせて調べます。結果が空でも債務なしとは断定せず、正規の契約先を確認し、原則3か月の熟慮期間内に返済・限定承認・相続放棄を検討します。
No.65 消費者金融の借入調査
- 確認項目
- 確認する内容
- 手掛かり
- カード、明細、通帳、郵便物、メール、SMS
- 信用情報
- CICとJICCを必要に応じて別々に死亡開示
- 残高
- 元金、利息、遅延損害金、返済日、一括請求
- 請求者
- 登録業者、債権譲渡、回収委託の根拠を照合
- 責任
- 借主・保証人・相続人の立場を区別
- 期限
- 返済期日と原則3か月の熟慮期間を管理
支払う前に、請求者・契約・相続責任を確認する
消費者金融の借入を確認する10STEP
- 1
カード、明細、通帳、郵便物、メール、SMSを保全する
- 2
相続放棄の可能性を確認し、返済・和解・署名を急がない
- 3
会社名、登録番号、契約番号、債権譲渡通知を整理する
- 4
金融庁検索と公式サイトで正規の窓口を照合する
- 5
必要に応じてCICとJICCへ別々に死亡開示を請求する
- 6
判明した契約先へ死亡日現在の元金・利息・遅延損害金を照会する
- 7
借主・保証人・相続人の責任と他の資産・債務を整理する
- 8
3か月で調査できなければ熟慮期間伸長を期限内に検討する
- 9
単純承認・限定承認・相続放棄の方針を決める
- 10
承継する場合は合意書・残高証明・完済証明を保存する
誰が必要か
亡くなった方に消費者金融、信販会社、クレジットカードのキャッシング、貸金業者のカードローン等の契約がある、または可能性がある場合、相続人が調査します。督促状が届いた場合も、家族だから直ちに支払うのではなく、借主・保証人・相続人のどの立場で請求されているのかを確認します。
期限
死亡連絡や信用情報開示に全国一律の期限はありませんが、返済期日は契約どおり到来します。裁判所は、相続人が単純承認・限定承認・相続放棄を選ぶ熟慮期間を、自己のために相続開始があったことを知った時から原則3か月と案内しています。
調査が3か月で終わらない場合は、期間内に家庭裁判所へ熟慮期間伸長を申し立てる方法があります。貸金業者への連絡や信用情報の到着待ちだけでは期間は自動延長されません。
最初に確認する資料
- ローンカード、クレジットカード、契約書、利用明細
- 通帳の引落し・振込・ATM返済履歴
- 郵便物、督促状、残高案内、債権譲渡通知
- メール、SMS、スマートフォンの通知、家計簿
- 借換え・おまとめローン、保証契約、裁判所からの書類
故人の本人用アプリへなりすまして操作したり、電話に表示された番号だけを信用して送金したりせず、会社の公式サイトと登録情報から正規窓口を確認します。
CICとJICCへ死亡開示を申し込む
契約先が分からない場合は、手元資料と信用情報開示を組み合わせます。両機関の対象と申込資格は同一ではありません。
- CIC:死亡開示を申し込めるのは法定相続人です。本人確認書類、死亡を確認できる書類、法定相続人であることを確認できる書類等を郵送します。本人限定郵便の開示利用券は2026年9月4日時点で1,650円です。
- JICC:死亡開示は法定相続人または2親等以内の血族等が郵送で申し込めます。本人確認書類2点、相続関係と死亡を確認できる戸籍等が必要で、通常の郵送開示利用券は同日時点で2,177円です。
JICCの公式FAQは、JICCの開示結果に他の信用情報機関の情報は含まれないと明記しています。CICとJICCは必要に応じて別々に請求し、銀行借入の可能性がある場合はNo.64の全国銀行個人信用情報センターも検討します。
開示結果が空でも、借金がないとは断定できません。加盟していない事業者、登録対象外・登録期間経過後の債務、個人間借入、保証債務、異なる氏名・住所・電話番号での登録などは別途調査が必要です。
契約先へ確認する内容
判明した貸金業者へ死亡を連絡し、相続担当部署から次の情報を取得します。
- 契約番号、契約日、貸付極度額、死亡日現在の元金
- 未払利息、遅延損害金、次回返済日、一括請求の有無
- 保証人、担保、保険、債権譲渡・回収委託の有無
- 相続人の必要書類、残高証明書、取引履歴、完済証明書
- 協議中の返済・利息・取立ての扱い
電話しただけで請求額を認めず、会社名、登録番号、担当部署、回答日、書面の送付先を記録します。債権譲渡後なら、元の契約と譲渡通知も照合します。
正規の貸金業者か確認する
金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで、商号・登録番号・所在地・電話番号を照合します。検索情報はデータ更新時点のもので、照会日現在とは限らないため、表示された財務局・都道府県や公式サイトでも確認します。
検索にない業者は、更新後の新規登録か無登録業者の可能性があります。登録番号を別業者から流用する例もあるため、番号だけで判断しません。金融庁の無登録業者情報と日本貸金業協会の注意喚起も確認します。
家族・保証人・相続人の責任を区別する
故人の配偶者や子というだけで、その人自身が借主や保証人になるわけではありません。一方、民法896条により、相続人は原則として被相続人の財産に属した権利義務を承継します。共同相続人は同899条により相続分に応じて権利義務を承継します。
したがって、借主本人だったか、保証契約をしていたか、相続を承認した相続人かを分けて判断します。相続人同士で1人が全部返すと決めても、その内部合意だけで他の相続人が債権者との関係から当然に外れるわけではありません。
相続放棄を検討する場合
相続放棄は貸金業者へ「放棄する」と伝えるだけでは成立せず、家庭裁判所への申述が必要です。資産・全債務を調べる前に、故人の預金から返済する、分割返済を約束する、債務承認書へ署名するなどの行為は避け、法的影響を確認します。
自分の財産から一部を支払った場合の評価、督促後に債務が判明した場合の起算点、時効や過払金の有無は事案ごとに異なります。一律に自己判断せず、支払や合意の前に弁護士・司法書士へ相談してください。
取立てや不審な請求を受けたとき
貸金業法21条は、威迫や私生活・業務の平穏を害する取立て、債務者等以外の者が協力を拒否した後も取立てへの協力を要求する行為などを規制しています。請求者に会社名、担当者、契約、残高計算、債権譲渡の根拠を書面で求めます。
正規業者との契約・返済トラブルは日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター、多重債務やヤミ金融は金融庁の相談窓口一覧を利用できます。脅迫や犯罪被害の恐れがある場合は警察へ相談します。
必要書類
- 故人の死亡を確認できる戸籍・除籍等
- 請求者の相続関係を確認できる戸籍一式または法定相続情報一覧図
- 請求者の本人確認書類
- CIC・JICCの所定申込書と開示利用券
- 契約書、カード、明細、督促状、通帳
- 貸金業者所定の相続届、印鑑証明書等
- 相続放棄済みの場合は申述受理通知書・受理証明書
原本かコピーか、発行後3か月以内などの有効期間、送付先は機関ごとに異なります。必ず申込時の公式案内を確認してください。
費用
2026年9月4日時点で、CICの法定相続人による本人限定郵便の開示利用券は1,650円、JICCの通常郵送開示利用券は2,177円です。戸籍、住民票、郵送等の実費もかかります。手数料は改定されることがあるため、申込時に最新額を確認します。
専門家へ債務調査、相続放棄、限定承認、時効・過払金・債務整理の判断や交渉を依頼する場合は別途報酬が必要です。
相続税での扱い
国税庁は、被相続人の死亡時に現に存在し、確実と認められる借入金等を原則として遺産総額から控除できると案内しています。死亡日現在の残高証明書や利息計算書、返済記録を保存します。
相続税の債務控除と、民法上誰が返済義務を負うかは別の判断です。相続放棄した人、保証債務、確実でない請求等は取扱いが異なるため、申告時は税理士へ確認します。
野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先
消費者金融等の借入に市役所の地域管轄はありません。4市のどこに住んでいても、判明した契約は貸金業者の相続窓口、借入先調査はCIC・JICCが主な照会先です。市役所のおくやみ窓口では民間の借入残高や契約内容を開示できません。
被相続人の最後の住所が野田市・柏市・流山市・松戸市の場合、相続放棄・限定承認・熟慮期間伸長の申立先は千葉家庭裁判所松戸支部です。これから申立てをする方の受付係は047-313-9737。管轄・電話番号の確認日:2026-09-04。
自分でできるか
契約先が少なく、請求根拠と残高が明確で、資産が十分にあり、単純承認する方針が固まっていれば、信用情報開示と残高照会は自分で進められます。ただし、結果が空、債権譲渡、保証、時効、相続放棄が関係する場合は判断を急がないでください。
専門家に相談した方がよいケース
- 資産より借入が多い、債務全体が分からない
- 相続開始を知ってから3か月が迫っている
- 返済・和解・債務承認への署名を求められた
- 長期延滞、債権譲渡、裁判、差押えがある
- 時効、過払金、保証債務の判断が必要
- 無登録業者、架空請求、強引な取立ての疑いがある
注意点
- CICとJICCは別々:一方の開示結果に他機関の信用情報は含まれません。
- 空欄でも終了しない:信用情報だけで全債務を証明できません。
- 登録番号だけを信用しない:会社名・住所・電話番号を公式情報と照合します。
- 返済を急がない:相続放棄、時効、過払金等への影響を確認します。
- 3か月を管理する:信用情報の到着待ちでも熟慮期間は進みます。
- 市役所は借入先ではない:残高照会は貸金業者、相続放棄等は家庭裁判所です。
よくある質問
CICとJICCのどちらに請求すればよいですか
加盟会社・登録情報が異なるため、契約先を特定できない場合は両機関の対象を確認します。銀行借入の可能性があれば全国銀行個人信用情報センターも別に検討します。
信用情報に何もなければ借金はありませんか
断定できません。登録対象外、登録期間経過、加盟していない事業者、個人間借入、保証債務等があります。
家族宛ての督促は必ず払う必要がありますか
家族であることだけではなく、本人が借主・保証人か、相続を承認した相続人かを確認します。請求根拠を取り寄せ、支払前に判断してください。
少額だけ返済してもよいですか
相続放棄や時効等へ影響する可能性があります。故人の財産から支払う場合は特に、先に専門家へ相談してください。
調査が3か月に間に合いません
期間内に家庭裁判所へ熟慮期間伸長を申し立てる方法があります。4市で被相続人の最後の住所がある場合は千葉家庭裁判所松戸支部の管轄を確認します。
関連する相続手続き
- No.1 遺言書の有無を確認する
- No.2 相続人を確定する
- No.46 クレジットカードを解約する
- No.61 預貯金口座を解約する
- No.64 銀行等からの借入金を確認する
- No.91 相続税を申告する
- No.99 相続放棄を申し立てる
- No.100 限定承認を申し立てる
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「貸金業法」
- 裁判所「家事事件Q&A」
- 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- CIC「法定相続人による死亡開示」
- JICC「法定相続人等による死亡開示」
- JICC「他機関の信用情報は含まれるか」
- 金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」
- 金融庁「多重債務についての相談窓口」
- 金融庁「無登録で貸金業を行っている者等」
- 日本貸金業協会「貸金業相談・紛争解決センター」
- 日本貸金業協会「金融ADR」
- 日本貸金業協会「悪質な金融業者にご注意」
- 国税庁「相続財産から控除できる債務」
- 千葉家庭裁判所「相続放棄等の管轄」
- 千葉地方・家庭裁判所「窓口案内」
- 野田市「おくやみコーナー」
- 柏市「ご遺族支援コーナー」
- 流山市「おくやみ相談窓口」
- 松戸市「お悔やみ」
情報確認日:2026年9月4日
信用情報、残高、取立て、相続責任、時効・過払金は契約と事情により異なります。開示結果だけで判断せず、正規の契約先と専門家へ個別に確認してください。