不動産・相続登記

相続土地の分筆・地積更正登記|違い・費用・相続登記との順番

期限
原則一律なし/売却・遺産分割・建築前に
申請先
土地所在地を管轄する法務局

相続手続き100チェックリスト No.83。一筆を二筆以上へ分けるのが分筆登記、登記記録の誤った面積を正すのが地積更正登記です。分筆だけでは相続人ごとの単独所有にはなりません。境界・測量、相続登記との順番、担保権を確認してから進めます。

No.83 分筆登記・地積更正登記の違い

確認項目
要点
分筆登記
一筆を二筆以上へ分ける
地積更正登記
登記記録の誤った面積を正す
期限
原則一律なし/売却・分割・建築前に
重要点
分筆だけでは所有者・持分は分かれない
専門家
土地家屋調査士、権利登記は司法書士

分筆だけでは、相続人ごとの単独所有にならない

分筆は土地の物理的な単位を分ける表示登記であり、所有権を振り分ける登記ではありません。共有土地を分筆すると、原則として分筆後の各土地にも同じ共有持分が引き継がれます。

「兄は東側、弟は西側」のように分けるなら、分筆登記に加えて遺産分割に基づく所有権移転登記等が必要です。分筆線を決める前に土地家屋調査士と司法書士へ一連の順序を相談します。

相続土地の分筆・地積更正登記10STEP

1

登記事項証明書・公図・地積測量図を取得する

2

相続関係・登記名義・抵当権等を確認する

3

売却・遺産分割・建築等の目的を整理する

4

土地家屋調査士へ資料調査と現地測量を依頼する

5

隣接地・道路・水路との筆界を確認する

6

分筆線と分筆後の利用・評価・接道を確認する

7

登記地積との差と許容誤差を判定する

8

地積測量図・申請情報・相続資料を整える

9

管轄法務局へ分筆・必要時は地積更正を申請する

10

完了後に所有権移転・売却・税・建築を進める

誰が必要か

相続した一筆の土地を売却用・建築用・相続人ごとなどに分けたい方、登記簿の地積と境界確認後の実測面積が一致しない方が検討します。分筆線や境界が決まっていない場合、隣接地所有者が不明な場合、道路・水路との境界が未確定の場合は、早めに土地家屋調査士へ相談します。

分筆登記と地積更正登記の違い

分筆登記は、一筆の土地を二筆以上の土地へ分ける表示登記です。法務局は、土地を測量し、位置や区画を正確に示す地積測量図を登記申請書へ添付すると案内しています。

地積更正登記は、筆界に基づいて測量した正しい地積と登記記録の地積が異なる場合に、登記記録の誤りを正す表示登記です。土地を広げたり所有権の範囲を変えたりする手続きではありません。

分筆しただけでは相続人ごとの所有地にならない

土地を二筆に分けても、所有者や共有持分は自動では振り分けられません。共有名義の土地を分筆すれば、原則として分筆後の各土地にも同じ共有関係が引き継がれます。兄がA土地、弟がB土地を単独取得するには、遺産分割の内容と登記名義の状態に応じ、分筆登記とは別に相続による所有権移転登記等を行います。

遺産分割案を作る段階で、分筆後の面積だけでなく、接道、形状、利用制限、評価、税負担、建築可否も確認します。分筆線を決める前に、土地家屋調査士と司法書士へ一連の登記順序を相談してください。

期限

不動産登記法39条の分筆登記には、通常の任意分筆について相続後何か月以内という一律の申請期限はありません。法務局も、分筆登記は申請義務が課されない表示登記の一つと案内しています。

地積更正登記も、以前から存在する登記地積の錯誤を正す場合には、相続後一律の期限は定められていません。ただし、河川の土砂堆積等の物理的変化により地積が変更した場合は、同法37条の変更登記として原則1か月以内の申請義務が問題になります。単なる「更正」と「変更」を混同せず、原因を土地家屋調査士・法務局へ確認します。

申請人と相続登記の順番

不動産登記法38条・39条により、地積更正・分筆を申請できるのは原則として表題部所有者または所有権登記名義人です。登記名義人が亡くなっている土地について相続人から申請する場合は、戸籍等の相続証明情報と、申請に必要な相続人・委任者の範囲を個別に確認します。

相続登記前に分筆等を行える場合がありますが、分筆線の決定や遺産分割との関係によって必要な合意・書類が変わります。売却や各相続人の単独名義化まで行うなら、土地家屋調査士と司法書士が連携できるよう、最終目的を最初に伝えます。

分筆時に地積更正も必要になる場合

分筆前の登記地積と、測量した分筆後各土地の地積合計が一致しないことがあります。不動産登記事務取扱手続準則72条では、その差が不動産登記規則77条5項の誤差の限度内なら、地積更正登記を要しないとしています。誤差の限度を超えるときは、地積更正登記と分筆登記を併せて申請することを検討します。

「少しの差なら必ず更正不要」「面積が違えば必ず更正」と一律には判断できません。土地の地目、地域区分、地積、精度区分、測量成果により許容誤差を計算します。

境界確認と測量

日本土地家屋調査士会連合会は、分筆登記では法務局の地図・地積測量図、現地状況、隣接所有者の立会い等から公法上の筆界を確認し、その成果に基づいて測量すると説明しています。分筆する内部線だけでなく、原則として元の一筆全体の筆界と面積を確認します。

隣接地所有者が不明・死亡・所在不明でも、直ちに手続不能とは限りません。法務省は、高精度の地図・地積測量図等による確認や、筆界特定制度を利用できる場合を案内しています。自己判断で立会いを省略せず、資料と探索経過を土地家屋調査士へ示します。

必要書類・資料

  • 土地の登記事項証明書
  • 地図・地図に準ずる図面(公図)
  • 地積測量図、土地所在図、旧公図等
  • 過去の境界確認書、確定図、測量成果、売買資料
  • 現地の境界標・塀・側溝・擁壁等の写真
  • 隣接土地・道路・水路の資料
  • 分筆後の利用目的、希望面積・形状が分かる資料
  • 地積測量図、代理権限証明情報、調査報告情報等
  • 故人名義なら戸籍・除籍等の相続証明情報
  • 抵当権・地役権等がある場合の権利関係資料

法務局では、登記事項証明書、地図証明書、地積測量図等をオンライン・窓口・郵送で請求できます。不動産登記令別表は、分筆登記の添付情報として分筆後の土地の地積測量図等を定めています。

公図も誤っている場合

地積更正登記は登記記録の面積を正す手続きです。公図等の形状・位置にも誤りがある場合は、地図訂正の申出が別に必要になることがあります。法務省は、土地の登記記録の地積にも錯誤がある地図訂正について、地積更正登記の申請と併せて行うオンライン申出を案内しています。

抵当権・地役権がある土地

分筆しても、元の土地に付いていた抵当権等が希望する一筆だけから自動で外れるわけではありません。不動産登記法40条は、権利者等の承諾情報が提供された場合に、分筆後の特定土地についてその権利が消滅した旨を登記する仕組みを定めています。

住宅ローン・事業融資の担保土地を売却または相続人ごとに分ける場合は、分筆線を確定する前に金融機関へ相談します。地役権の範囲が分筆後の一部に限られる場合は、地役権図面や権利者の証明情報が必要になることがあります。

手続き方法

最終目的と登記名義を確認し、法務局の登記記録・図面、自治体の道路境界資料、過去の測量成果を集めます。土地家屋調査士が現地測量と筆界調査を行い、必要な隣接地所有者・公共物管理者へ立会いを求めます。確定した筆界と希望条件を基に分筆線・地積を計算し、地積測量図と申請情報を作成して管轄法務局へ提出します。

登記官による実地調査や追加資料・補正を経て登記が完了したら、登記事項証明書と地積測量図を確認します。その後、遺産分割に基づく所有権移転、売却、抵当権関係、固定資産税、建築・開発手続き等を進めます。

費用

登録免許税法別表第一では、所有権の登記がある土地の分筆登記は、分筆後の土地1個につき1,000円です。1筆を2筆に分ける例なら2,000円です。地積更正登記は土地の表示に関する更正であり、通常は登録免許税の対象外です。

これとは別に、登記事項・図面の取得費、境界標、資料調査、現地測量、隣接地・道路管理者との立会い、相続人調査、土地家屋調査士報酬等がかかります。土地の広さ、隣接地数、境界資料、官民境界、地形、相続人・隣接所有者の状況で大きく変わるため、業務範囲を明記した見積りを確認します。

日調連の令和7年度報酬統計では、設定条件付きの全国値として、地積更正登記は中央値421,000円・平均441,391円、土地分筆登記は中央値461,415円・平均482,028円です。地積更正は宅地180平方メートル・隣接6筆、分筆は宅地264平方メートルを2筆へ等分・隣接5筆など、各設問・各設問の条件に対する回答であり、個別案件の定価ではありません。

期間

全国一律の標準処理期間は示せません。資料調査、測量、隣接所有者・道路管理者との日程調整、相続人調査、筆界不一致、法務局の補正等で変わります。売買契約や工事日程を先に固定せず、土地家屋調査士の現地確認後に工程表を作成します。

野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先

分筆登記・地積更正登記は土地所在地を管轄する法務局へ申請します。道路・水路との筆界確認が必要なときは、道路種別と管理者を確認した上で各市の担当課へ相談します。

野田市

分筆・地積更正の登記管轄:千葉地方法務局 柏支局

市道・市管理水路との境界:野田市 土木部管理課

柏市

分筆・地積更正の登記管轄:千葉地方法務局 柏支局

市道・市管理水路との境界:柏市 土木部道路総務課

流山市

分筆・地積更正の登記管轄:千葉地方法務局 松戸支局

市道・市管理水路との境界:流山市 土木部道路管理課

松戸市

分筆・地積更正の登記管轄:千葉地方法務局 松戸支局

市道・市管理水路との境界:松戸市 建設部建設総務課

野田市・柏市は柏支局、流山市・松戸市は松戸支局の管轄です。国道・県道、国有地・県有地等は窓口が異なります。管轄・電話番号の確認日:2026-09-10。

4市で道路・水路との境界確認が必要な場合

  • 野田市:民地と市道の境界は、関係者立会いの上で確定し、土木部管理課へ申請します。
  • 柏市:道路総務課へ道路境界確定申請を行い、関係土地所有者の承諾書等を提出します。
  • 流山市:道路管理課へ申請し、位置図、公図写、地積測量図、関係所有者一覧等を用意します。
  • 松戸市:未確定の市道・水路境界は建設総務課へ直接申請します。

自分でできるか

資料取得や目的整理は本人でもできますが、分筆・地積更正では筆界調査、測量、誤差判定、地積測量図作成、関係人との立会いが必要です。土地家屋調査士法3条は、表示登記に必要な土地の調査・測量と申請代理を土地家屋調査士の業務と定めています。法務省も、分筆・地積更正は土地家屋調査士へ委任することが一般的と案内しています。

専門家に相談した方がよいケース

  • 遺産分割のため相続人ごとに土地を分けたい
  • 登記名義人が死亡したまま、または相続人が多数いる
  • 登記地積と実測地積の差が大きい
  • 境界標がない、図面と現地が合わない
  • 隣接地所有者が死亡・所在不明・立会い拒否である
  • 市道・水路等との官民境界が未確定である
  • 抵当権・地役権・差押え等がある
  • 売却、建築、開発、相続土地国庫帰属の予定がある

注意点

  • 分筆と所有権移転は別:分筆だけでは相続人ごとの単独所有になりません。
  • 面積だけで分けない:接道・建築・評価・利用制限を確認します。
  • 分筆前の一筆全体を調査:内部の分筆線だけ測ればよいとは限りません。
  • 誤差を一律判断しない:許容誤差を超えると地積更正との同時申請を検討します。
  • 抵当権は自動で外れない:金融機関・司法書士へ事前相談します。
  • 公図の誤りは別問題:必要に応じ地図訂正の申出も検討します。
  • 境界紛争と登記を分ける:筆界特定、ADR、訴訟等が先に必要な場合があります。

よくある質問

兄弟で土地を半分ずつ分ければ、それぞれ単独所有になりますか

分筆だけではなりません。分筆後の各土地にも元の共有関係が引き継がれるため、遺産分割内容に沿った所有権移転登記等を別に行います。

登記面積と実測面積が違えば、必ず地積更正が必要ですか

分筆前後の地積差が法令上の誤差の限度内なら、分筆時に地積更正を要しない場合があります。土地ごとの精度区分等で判断するため、土地家屋調査士へ確認してください。

分筆すると地番はどうなりますか

通常は元地番を含む地番と新しい支号等に分かれますが、具体的な地番は登記所が定めます。希望だけで自由に決めるものではありません。

相続登記前でも分筆できますか

相続人から申請できる場合がありますが、相続証明情報と申請・委任に必要な相続人の範囲を確認する必要があります。遺産分割と所有権移転まで見据えて土地家屋調査士・司法書士へ相談します。

分筆登記の登録免許税はいくらですか

所有権の登記がある土地は、分筆後の土地1個につき1,000円です。測量・境界確認・専門家報酬等は別途かかります。

抵当権がある土地も分筆できますか

分筆自体は検討できますが、抵当権は希望する土地から自動で外れません。売却や担保解除を予定する場合は、分筆前に金融機関と司法書士へ相談してください。

関連する相続手続き

参考にした公式情報

情報確認日:2026年9月10日

申請人、必要な相続人の関与、筆界確認方法、許容誤差、地図訂正、担保権、必要書類は土地ごとに異なります。分筆線を決める前に土地家屋調査士、所有権・遺産分割・担保権は司法書士、紛争は弁護士、道路境界は管理者の最新案内を確認してください。