婚姻によって氏を改めた人は、配偶者の死亡後、復氏届を提出して婚姻前の氏へ戻ることができます。法律上の提出期限はありません。変わるのは生存配偶者本人の氏と戸籍で、子どもの氏・戸籍や亡くなった配偶者の血族との姻族関係は自動では変わりません。本籍地または所在地の市区町村へ届け出る前に、子どもの戸籍と各種名義変更への影響を確認します。
復氏届の対象・提出先・影響
- 項目
- 内容
- 届出できる人
- 婚姻によって氏を改め、その配偶者と死別した生存配偶者本人
- 期限
- 法律上の提出期限はありません。配偶者の死亡後、本人の意思で届け出ます
- 提出先
- 届出人の本籍地または所在地の市区町村。死亡した配偶者の住所地に限りません
- 基本書類
- 復氏届書。2024年3月1日以降、戸籍届出時の戸籍証明書添付は原則不要ですが、個別事情は提出先へ確認します
- 本人への影響
- 婚姻前の氏に戻り、婚姻前の戸籍へ戻るか、新しい戸籍を作ります
- 変わらないもの
- 子どもの氏・戸籍と姻族関係は自動では変わりません。必要ならそれぞれ別手続です
子どもの氏と姻族関係は別手続
復氏届だけで変わるのは、生存配偶者本人の氏と戸籍です。子どもを同じ氏・戸籍へ移すには、原則として子の住所地を管轄する家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を得た後、市区町村へ入籍届を提出します。申立人は子本人で、15歳未満の子は法定代理人が代理します。費用は子1人につき収入印紙800円と連絡用郵便切手です。また、復氏届では亡くなった配偶者の血族との姻族関係は終わりません。終了したい場合はNo.10の姻族関係終了届を別に検討します。
復氏届を提出する6つのSTEP
- 1
現在の戸籍と婚姻前の氏を確認し、婚姻前の戸籍へ戻るか新戸籍を作るかを整理する
- 2
子どもの氏・戸籍をそのままにするか、家庭裁判所の子の氏変更許可を申し立てるか検討する
- 3
姻族関係終了届も提出するか、両方を出す場合の順序と戸籍記載を市区町村へ相談する
- 4
本籍地または所在地の戸籍担当へ、届書の書き方・受付場所・必要な確認資料を問い合わせる
- 5
本人が署名した復氏届を提出し、受理後の戸籍ができる時期と証明書取得日を確認する
- 6
住民票、マイナンバーカード、免許、旅券、銀行、保険、勤務先、資格等の氏名変更を進める
復氏届とは
復氏届は、婚姻によって氏を改めた人が配偶者と死別した後、婚姻前の氏へ戻るための戸籍届です。民法751条は、生存配偶者が婚姻前の氏に復することができると定め、戸籍法95条がその届出を定めています。配偶者の死亡だけで自動的に氏が戻るわけではなく、現在の氏を使い続けることもできます。
誰が届け出るか
対象は、婚姻の際に氏を改め、その配偶者と死別した生存配偶者です。性別を問いません。届出意思を決めるのは本人で、亡くなった配偶者の親族や子どもが復氏を決めることはできません。本人が署名した届書を他の人が窓口へ持参できるか、補正時の取扱いを含め、提出先へ事前に確認してください。
提出期限
復氏届に法律上の提出期限はありません。配偶者の死亡直後に決める必要はなく、子どもの戸籍、仕事、資格、金融・保険契約などへの影響を整理してから届け出られます。ただし、氏が変わった後は多数の名義変更が必要になるため、相続登記、遺族年金・保険金請求、転居等との順序を一覧にしておきます。
提出先
戸籍法25条により、届出人の本籍地または所在地の市区町村へ提出します。所在地には住所地だけでなく一時的な滞在地が含まれる場合がありますが、確実な受理と補正のしやすさを考え、本籍地または住所地の戸籍担当へ事前相談するのが安全です。死亡した配偶者の住所地、死亡届を提出した市区町村、子どもの本籍地に限定される手続ではありません。
必要書類
- 復氏届書
- 届書に正確に記載するための現在の本籍・筆頭者・婚姻前の氏・父母の氏名等の情報
- 新戸籍を作る場合は、新しく定める本籍の正確な表示
- 窓口で案内された本人確認や同時手続に必要な書類
2024年3月1日から戸籍届出時の戸籍証明書添付は原則不要です。ただし、国外の婚姻・死亡、外国籍の配偶者、戸籍情報を確認できない事情などでは追加書類が必要になることがあります。届書への押印は任意ですが、署名は必要です。
復氏後の戸籍
本人は婚姻前の氏に戻り、原則として婚姻前の戸籍へ戻るか、新しい戸籍を作ります。婚姻前の戸籍が除籍になっている場合など、戻れないときは新戸籍を作ります。新本籍の表記に誤りがあると受理に影響するため、土地の表示を戸籍担当へ確認してください。
子どもの氏と戸籍
復氏届を出しても、子どもの氏と戸籍は自動では変わりません。親子で氏・戸籍をそろえる場合は、原則として家庭裁判所の子の氏の変更許可を受け、その後、市区町村へ入籍届を提出します。申立先は子の住所地の家庭裁判所、申立人は子本人で、子が15歳未満なら法定代理人が代理します。標準的な費用は子1人につき収入印紙800円と連絡用郵便切手です。子と父母の戸籍謄本等が必要になります。
野田市・柏市・流山市・松戸市に住所がある子の申立先は千葉家庭裁判所松戸支部です。子の氏の変更の受付係は047-313-9737です。許可だけでは戸籍は移らないため、審判書謄本等を用意して入籍届まで行います。
姻族関係終了届との違い
復氏届は本人の氏と戸籍を変える手続です。姻族関係終了届は、亡くなった配偶者の血族との姻族関係を終了する手続で、本人の氏は変えません。両方を出すことも、一方だけを出すこともできます。提出順序により戸籍の記載場所が変わる場合があるため、両方を予定するときは戸籍担当へ先に相談します。
旧氏併記との違い
住民票やマイナンバーカードへの「旧氏併記」は、現在の戸籍上の氏を変えずに過去の氏を併記する制度です。復氏届は戸籍上の氏そのものを婚姻前の氏へ戻す手続であり、別制度です。仕事上だけ旧姓を使用したい場合は、復氏による名義変更の負担と旧氏併記の利用可能性を比較します。
相続・遺族給付への影響
復氏は死亡後の氏・戸籍を変える届出であり、死亡時に開始した相続における配偶者としての地位を取り消す手続ではありません。遺族年金、生命保険、勤務先の遺族給付等は各制度の受給要件で判断されます。復氏後は氏名変更の届出や新旧氏名のつながりを示す戸籍等が必要になることがあるため、各窓口へ確認します。
費用
復氏届の提出手数料はかかりません。届出後の戸籍・住民票等の証明書、写真、各種名義変更には別途費用が生じる場合があります。子の氏の変更許可を申し立てる場合は、子1人につき収入印紙800円と家庭裁判所所定の郵便切手が必要です。
自分でできるか
本人が届書を作成して提出できる手続です。ただし、新戸籍、子どもの氏、姻族関係終了届、国外関係がある場合は戸籍の動きが複雑です。提出前に「届出後に誰がどの戸籍に入り、何の氏を称するか」を戸籍担当へ確認します。
窓口・専門家へ相談した方がよいケース
- 婚姻前の戸籍が除籍され、新本籍の決め方が分からない
- 子どもと同じ氏・戸籍にしたい
- 姻族関係終了届も提出したい
- 外国籍の配偶者や国外の婚姻・死亡が関係する
- 相続手続・不動産登記・遺族年金・保険金請求の途中である
- 復氏後に再び氏を変える可能性がある
戸籍の記載と届出は市区町村、子の氏変更は家庭裁判所へ相談します。不動産登記等は司法書士、紛争や法的判断は弁護士へ相談できます。
注意点
- 子どもは自動変更されない:家庭裁判所の許可と入籍届を別に検討します。
- 姻族関係も自動終了しない:終了には姻族関係終了届が必要です。
- 復氏後の変更は簡単な取消しではない:提出前に十分検討します。
- 新旧氏名の証明:金融・保険・登記等で戸籍や受理証明書が必要か確認します。
- 時間外受付:その場では内容審査をせず、翌開庁日に審査される場合があります。
- 国外関係:必要書類が大きく異なるため、必ず事前相談します。
よくある質問
配偶者が死亡すると自動的に旧姓へ戻りますか
戻りません。現在の氏を使い続けるか、復氏届で婚姻前の氏へ戻るかを本人が選びます。
復氏届に期限はありますか
法律上の提出期限はありません。子どもの戸籍や各種名義変更への影響を整理してから届け出られます。
子どもも同じ氏になりますか
自動では変わりません。原則として家庭裁判所の子の氏変更許可と市区町村への入籍届が必要です。
復氏届を出すと姻族関係も終わりますか
終わりません。姻族関係を終了するには別途、姻族関係終了届を提出します。
住所地でも提出できますか
提出できます。届出人の本籍地または所在地の市区町村が提出先です。事前に受付窓口と必要事項を確認してください。
関連する相続手続き
野田市・柏市・流山市・松戸市の復氏届相談窓口
復氏届は、届出人の本籍地または所在地の市区町村へ提出します。次の4市へ提出する場合は、おくやみ総合窓口ではなく戸籍届を担当する市民課へ、届書・新本籍・時間外受付を確認してください。
子どもの氏も変更する場合
4市に住所がある子の「子の氏の変更許可」は、千葉家庭裁判所松戸支部(受付係 047-313-9737)が管轄です。申立先は子の住所地で決まるため、転居している場合は管轄を再確認してください。
窓口・電話番号の確認日:2026-08-26。提出前に公式ページと窓口で最新案内をご確認ください。
参考にした公式情報
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「戸籍法」
- 秋田市「復氏届」
- 岩国市「姻族関係終了届」
- 裁判所「子の氏の変更許可」
- 千葉家庭裁判所「窓口案内」
- 裁判所「千葉県内の管轄区域表」
- 野田市「市民課」
- 柏市「戸籍の届出をする方へ」
- 流山市「市民課」
- 松戸市「市民課」
情報確認日:2026年9月12日
この記事は日本人の国内戸籍に関する一般的な説明です。現在の戸籍、国籍、国外関係、子どもの状況により必要書類と手続が異なります。提出前に市区町村と家庭裁判所へ確認してください。