相続によるFIT・FIP認定事業者の変更は、2026年度の公式資料では「事後変更届出」です。変更後の事業者が届け出、売電契約と振込口座は実際の購入契約先へ別に申し込みます。遺産分割協議書等には、建物だけでなく太陽光パネル・発電設備が相続対象に含まれることを確認できる記載が必要です。
太陽光発電を相続したら|FIT名義変更・売電契約と必要書類
- 期限
- 固定日数なし。相続による事業者変更は遅滞なく事後変更届出
- 手続き先
- 国の電子申請・実際の売電契約先・物件所在地の法務局
No.38 太陽光発電で変更する名義
- 変更対象
- 窓口・確認事項
- FIT・FIP認定
- 相続は事後変更届出。変更後の事業者が電子申請
- 売電契約
- 売電明細に記載された実際の購入契約先へ申込み
- 振込口座
- 売電契約の名義変更とは別に受取口座を変更
- 設備の所有
- 遺産分割書類に太陽光パネル・発電設備を明示
- 土地・建物
- 物件所在地の法務局で相続登記。FIT届出とは別
- 保守・保険・税務
- 施工・保守・保険・ローン・売電収入を個別確認
家の相続だけでは太陽光パネルの承継を確認できないことがある
公式マニュアルは、太陽光パネルを建物附属設備として扱わないため、発電設備が相続対象に含まれることを確認できる記載を求めています。
遺産分割協議書等では、設備ID、設置場所、出力、太陽光発電設備一式などで対象を特定します。必要書類は2026年6月12日版の公式マニュアルで申請前に再確認してください。
太陽光発電の相続名義を変更する8STEP
- 1
売電明細、認定通知書、通帳から設備ID・認定事業者・売電先を確認する
- 2
設備、土地建物、ローン、保守・保険を含め相続財産と債務を確認する
- 3
発電設備を承継する相続人を決め、設備を明示した遺産分割書類を作る
- 4
戸除籍・相続人全員の戸籍と印鑑証明・土地取得書類等をそろえる
- 5
変更後の事業者が再生可能エネルギー電子申請で事後変更届出を行う
- 6
実際の購入契約先へ売電契約の名義変更を申し込む
- 7
売電代金の振込口座、保守・保険・ローン等を変更する
- 8
土地建物の相続登記と死亡日前後の売電収入・税務を整理する
太陽光発電を相続したら最初に確認すること
売電明細、電力会社からの通知、認定通知書、施工・保守資料、通帳の入金名義を集め、設備ID、認定事業者、発電設備の所在地、出力、売電契約先、振込口座を確認します。電気を買っている会社と、余剰電力を買い取っている会社が同じとは限りません。
太陽光発電の相続では、①FIT・FIPの認定事業者、②売電契約、③売電代金の振込口座、④設備と土地・建物の所有、⑤保守・保険等を別々に確認します。不動産の相続登記だけで売電名義が自動的に変わるわけではありません。
相続は「事後変更届出」
資源エネルギー庁の2026年度FIT・FIPガイドブックとFITポータルの事後変更届出操作マニュアル第53版(2026年6月12日)では、相続による認定事業者の変更を事後変更届出として整理しています。変更後の事業者、つまり設備を相続する人が届け出ます。
設備出力、設置場所、太陽電池、配線方法等も変更する場合は、別の変更認定・変更届出が必要になることがあります。相続だけの手続きと一括して決めつけず、最新の変更手続整理表で変更項目ごとに確認してください。
期限
相続について「死亡から○日以内」という固定日数は示されていません。ただし、再エネ特措法第10条第3項は、事後変更届出の対象事項を変更したときは遅滞なく届け出るよう定めています。承継者と必要書類が確定したら、売電契約の変更と合わせて放置せず進めます。
資源エネルギー庁は、必要な変更手続きをしない場合、法令違反として行政処分の対象になり得ると注意喚起しています。
事後変更届出の必要書類
2026年6月12日版の公式マニュアルが示す相続時の基本書類は次のとおりです。
- 被相続人の戸籍・除籍謄本(附票を含む。附票がない場合は住民票の除票でも可)
- 法定相続人全員の戸籍謄本
- 法定相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書または相続人全員の同意書
- 土地の取得を証する書類等
1と2は、法務局が発行した法定相続情報で代用できます。また、届出人が対象設備の所有権を取得したことが明らかで、審査に必要な内容を確認できる場合は、公正証書遺言で審査されることがあります。
遺産分割協議書には太陽光パネルを明示する
ここが最も間違いやすい点です。公式マニュアルは、太陽光パネルを建物附属設備として扱わないため、相続時には建物と別に明示するか、太陽光パネルを含む全財産を相続対象とするなど、発電設備が相続対象に含まれることを確認できる記載が必要としています。
「土地・建物を相続する」とだけ記載した遺産分割協議書で足りるとは限りません。設備ID、設置場所、出力、太陽光発電設備一式など、対象を特定できる書き方を検討してください。
FIT・FIP側の手続き先
- 電子申請:再生可能エネルギー電子申請
- 50kW未満太陽光の認定相談:JPEA代行申請センター(JP-AC)0570-03-8210、平日9:20~17:20
- FIT・FIP制度全般:資源エネルギー庁相談窓口 0570-057-333(IP電話等 03-4330-0219)、平日9:00~18:00
受付時間・窓口は変更されることがあります。申請前に資源エネルギー庁の最新案内とJP-AC公式サイトを確認してください。
売電契約と振込口座は別に変更する
国への事後変更届出だけでは、電力購入契約や振込口座は変わりません。売電明細や通帳の振込名義から実際の購入契約先を特定し、その事業者へ名義変更と口座変更を申し込みます。
東京電力エナジーパートナーの2026年2月24日更新案内では、同社との50kW未満の購入契約を変更する場合、書面の名義変更申込書に加え、国の「変更認定通知書」または事前・事後変更届出の受理日が分かる画面の写しを求めています。振込口座変更も別の書面手続きです。
一方、2017年4月1日以降の送配電買取等で東京電力パワーグリッドが購入契約先の場合や、他の小売電気事業者が購入契約先の場合は、それぞれの窓口・様式を使います。東京電力エナジーパートナーの様式を全員が使うわけではありません。
野田・柏・流山・松戸の管轄と問い合わせ先
4市とも、FIT・FIPの届出先は国の電子申請、売電契約の窓口は実際の購入契約先です。市役所は認定事業者・売電口座の変更受付窓口ではありません。物件所在地ではなく、設備IDと契約書・売電明細で窓口を特定してください。
制度・窓口の確認日:2026-08-28。受付時間、様式、必要書類は申請前に公式サイトで再確認してください。
土地・建物の相続登記
発電設備を設置した土地・建物を相続した場合は、不動産の相続登記も別に行います。法務省は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内、遺産分割が成立した場合はその日から3年以内の追加的な申請義務を案内しています。
これは土地・建物の登記期限であり、FIT・FIPの事後変更届出の「遅滞なく」とは別の基準です。発電設備と土地・建物を別の人が取得する場合は、屋根・土地の使用権、保守費用、売電収入の帰属も書面で整理します。
費用
国の電子届出、売電先の名義・口座変更、証明書取得、相続登記、専門家依頼の費用はそれぞれ確認が必要です。「すべて無料」とは断定できません。戸籍・印鑑証明・登記事項証明書、登録免許税、郵送、専門家報酬、設備点検等が発生する場合があります。
税務と入金記録
死亡日前後の売電収入、未収入金、設備の取得価額・減価償却、消費税等の扱いは、設備規模、事業実態、契約内容により異なります。通帳と売電明細を保存し、死亡日を境に入金と発電期間を整理して、税務署または税理士へ確認してください。
自分でできるか
設備ID、認定情報、承継者、必要書類がそろっていれば、相続人自身で電子届出と売電先への申込みを進められます。ただし、故人のログイン情報が分からない、設備が複数ある、50kW以上・FIP・法人事業である、土地の権利関係が複雑である場合は早めの相談が安全です。
専門家に相談した方がよいケース
- 遺産分割協議書に太陽光発電設備が記載されていない
- 発電設備と土地・建物を別の相続人が取得する
- 設備ID、認定事業者、売電契約先が分からない
- ローン、担保、リース、保守義務、未払金がある
- 複数設備、50kW以上、FIP、法人・事業用設備がある
- 死亡日前後の売電収入や消費税の処理が分からない
不動産登記は司法書士、税務は税理士、契約・相続争いは弁護士、制度届出の代理は対応資格・業務範囲を確認した専門家へ相談します。
注意点
- 相続は事後変更届出:変更認定として提出しないよう最新整理表を確認します。
- 設備を明示:太陽光パネルが相続対象だと確認できる遺産分割書類にします。
- 売電先を特定:TEPCO EP、TEPCO PG、他社で様式が異なります。
- 口座変更は別:国への届出だけでは売電代金の振込先は変わりません。
- 変更項目を分ける:出力・設置場所等の変更を伴うと別の手続きが必要です。
- 受理記録を保存:売電先から申請状況の写しを求められる場合があります。
よくある質問
相続登記をすれば売電名義も変わりますか
変わりません。FIT・FIPの認定事業者、売電契約、振込口座を別々に変更します。
相続は変更認定申請ですか
2026年度の公式資料では、相続による認定事業者変更は事後変更届出です。出力や設置場所等も変える場合は、変更項目ごとの手続きも確認します。
遺産分割協議書に「自宅」とだけ書けば足りますか
足りない可能性があります。公式マニュアルは太陽光パネルを建物附属設備として扱わず、発電設備が相続対象に含まれることを確認できる記載を求めています。
売電先が分かりません
購入電力量のお知らせ、売電明細、通帳の振込名義、契約書から確認します。電気の使用契約先と売電先が同じとは限りません。
4市の市役所へ届出しますか
認定事業者・売電口座の変更は市役所では受け付けません。国の電子申請と実際の売電契約先が窓口です。
関連する相続手続き
参考にした公式情報
- 資源エネルギー庁「変更認定申請・変更届出・廃止届」
- 資源エネルギー庁「2026年度FIT・FIPガイドブック」
- FITポータル「事後変更届出 操作マニュアル 第53版」
- 資源エネルギー庁「変更届出や変更認定申請を失念しないようご注意ください」
- JPEA代行申請センター
- 東京電力エナジーパートナー「購入契約の名義・振込口座変更」
- 東京電力パワーグリッド「発電者さまに関わるお申込み」
- e-Gov法令検索「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」
- 法務省「相続登記の申請義務化」
情報確認日:2026年9月12日
制度、様式、添付書類、購入契約先の取扱いは更新されます。実際の申請時には、設備IDと契約先を確認し、最新の公式案内を優先してください。