不動産・相続登記

相続した建物の滅失登記|1か月の期限・相続人の申請・4市の管轄

期限
建物が滅失した日から1か月以内
手続き先
建物所在地を管轄する法務局

相続手続き100チェックリスト No.80。登記された建物の全部がなくなった場合は、滅失日から1か月以内に建物滅失登記を申請します。故人名義のままでも相続人の1人から申請でき、法務局の登記、市の固定資産税上の取壊し連絡、保険・融資の整理はそれぞれ別手続です。

No.80 建物滅失登記で確認すること

確認項目
要点
対象
登記された建物の全部がなくなった場合
期限
建物が滅失した日から1か月以内
申請者
故人名義なら相続人の1人から申請可能
主な書類
建物滅失証明書、戸籍・住所証明等
別手続
市の取壊し連絡、保険・融資も個別に確認

故人名義でも、相続人の1人から滅失登記を申請できる

滅失登記のためだけに、先に相続登記をする必要があるとは限りません。登記名義人の死亡と申請者が相続人であることを戸籍等で証明します。

不動産登記法57条の期限は建物の滅失日から1か月以内です。未登記建物や一部取壊しは手続きが異なるため、登記記録と現地を先に照合してください。

相続した建物の滅失登記10STEP

1

登記事項証明書と固定資産税資料を取得する

2

登記上の建物と取り壊した建物を照合する

3

全部滅失か、一部・附属建物の取壊しかを確認する

4

解体業者から建物滅失証明書等を受け取る

5

故人の死亡と申請者の相続資格を示す戸籍を集める

6

登記上の住所とのつながりを示す住所証明を集める

7

申請書へ建物の表示と滅失日を正確に記載する

8

滅失日から1か月以内に管轄法務局へ申請する

9

補正・現地確認に対応し、登記記録の閉鎖を確認する

10

市の固定資産税、保険、融資、土地利用を整理する

誰が必要か

法務局に登記されている建物が、取壊し、火災、倒壊などにより建物として存在しなくなった場合に必要です。登記名義人が亡くなった後に相続人が建物を取り壊したケースも対象になります。登記された建物の全部がなくなったのか、一部や附属建物だけがなくなったのかを最初に確認してください。

建物滅失登記とは

登記記録上存在する建物が全部なくなった事実を登記へ反映し、その建物の登記記録を閉鎖する手続きです。解体業者への工事代金の支払い、市役所への取壊し連絡、固定資産税の課税停止、火災保険の解約とはそれぞれ別の手続きです。

不動産登記法57条は、建物が滅失したとき、表題部所有者または所有権の登記名義人に滅失登記の申請を義務付けています。

期限は建物が滅失した日から1か月以内

申請期限は、相続開始日や遺産分割日ではなく、建物が滅失した日から1か月以内です。通常の取壊しでは、解体業者の建物滅失証明書に記載された取壊し日と、現地で建物がなくなった日を確認します。

正当な理由なく申請義務を怠った場合は、不動産登記法164条により10万円以下の過料の対象となり得ます。期限を過ぎていても申請できなくなるわけではないため、放置せず早急に管轄法務局または土地家屋調査士へ相談してください。

故人名義のままでも相続人の1人から申請できる

東京法務局の不動産登記Q&Aは、被相続人名義の建物を取り壊した場合、相続人の1人から、相続人であることが確認できる戸籍・除籍謄本を添えて建物滅失登記を申請できると案内しています。滅失登記だけのために先に相続による所有権移転登記をする必要があるとは限りません。

ただし、申請者が相続人であることに加え、登記名義人の死亡、登記上の住所と本籍・最終住所のつながりを示す必要があります。数次相続や代襲相続では、途中の相続関係を含む戸籍が必要になることがあります。

最初に登記上の建物と現地を照合する

登記事項証明書に記載された所在、家屋番号、種類、構造、床面積、主たる建物・附属建物と、解体した現地建物を照合します。住所表示と土地の地番は一致しないことがあり、同じ敷地に母屋、離れ、物置、車庫など複数の建物がある場合は、どの登記記録を閉鎖するのか特定が必要です。

法務局の記載例は、建物の表示を現在の登記記録どおり正確に記載し、登記原因と日付に取壊し日を記載する形式を示しています。

全部滅失・一部取壊し・附属建物の違い

  • 建物全部がなくなった:建物滅失登記を検討します。
  • 建物の一部だけ取り壊した:床面積や構造等の建物表題部変更登記を検討します。
  • 附属建物だけ取り壊した:主たる建物が残る場合は、附属建物の変更・抹消を内容とする表題部変更登記を検討します。
  • 同じ敷地の別棟を取り壊した:その別棟が独立した登記建物か、附属建物かを確認します。

現地に建物が残っているのに登記記録全体を閉鎖すると誤登記になります。判断が難しい場合は土地家屋調査士の現地調査を受けてください。

未登記建物には建物滅失登記を申請しない

法務局の提出前チェックリストは、登記されていない建物について滅失登記申請はできないと案内しています。固定資産税の課税明細に載っていても、法務局に登記記録があるとは限りません。

未登記家屋を取り壊した場合は、市の資産税担当課へ家屋滅失届・取壊し連絡の要否を確認します。すでに存在しない建物を形式的に新規表題登記してから滅失登記するという通常手順ではありません。

必要書類

  • 建物滅失登記申請書
  • 解体業者等が作成した建物滅失証明書
  • 解体業者が法人の場合の会社法人等番号、必要に応じて代表者資格証明書・印鑑証明書
  • 解体業者が個人の場合の印鑑証明書等
  • 登記名義人の死亡を確認できる戸籍
  • 申請者が相続人であることを確認できる戸籍・除籍・改製原戸籍、法定相続情報一覧図等
  • 登記上の住所と本籍・最終住所のつながりを示す戸籍附票・住民票除票等
  • 申請する相続人の住民票または戸籍附票等
  • 代理申請の場合の委任状

法務局のチェックリストでは、法人解体業者の会社法人等番号を申請書へ記載することで、代表者資格証明書や印鑑証明書を省略できる場合があると案内されています。戸籍や住所証明を含む具体的な添付資料は、登記記録と相続関係により変わります。

解体業者の証明書を受け取るときの確認点

建物滅失証明書の建物所在地、家屋番号、種類・構造、取壊し日、業者名、代表者名等を登記事項証明書と照合します。解体工事の契約書、請求書、領収書、工事前後の写真、マニフェスト等も保管してください。証明書だけで建物を特定できない場合の補助資料になります。

解体業者の証明書がない場合

解体業者が廃業・不明、相続人が自ら取り壊した、火災や災害で滅失したなど、通常の建物滅失証明書が取得できない場合があります。現地写真、罹災証明書、解体工事の契約・請求・領収資料、廃棄物関係資料、申立書など、滅失日と建物を確認できる資料を集めます。

代替資料の種類や登記官の実地調査の要否は一律ではありません。自己判断で書類を作り込む前に、管轄法務局または土地家屋調査士へ相談してください。

手続き方法

登記事項証明書と現地で対象建物を特定し、解体業者から建物滅失証明書等を受け取ります。故人名義なら戸籍・住所証明を集め、申請書へ建物の表示と滅失日を登記記録どおり記載し、建物所在地を管轄する法務局へ提出します。補正や現地確認の連絡があれば対応し、完了後に建物の登記記録が閉鎖されたことを確認します。

法務局は、個人所有者がマイナンバーカードとICカードリーダライタを使うオンライン申請手順も案内しています。オンライン申請でも、書面で作成された添付情報は受付後所定の期間内に登記所へ持参または書留郵便等で送付する場合があります。書面申請用の様式・記載例は法務局の申請書様式ページで確認できます。

費用

建物滅失登記の申請自体には通常、登録免許税はかかりません。戸籍、住民票、登記事項証明書、郵送等の実費と、土地家屋調査士へ現地調査・建物特定・申請代理を依頼する場合の報酬がかかります。

日本土地家屋調査士会連合会の令和4年度報酬調査では、調査で設定された建物滅失登記の事例について全国平均48,098円、中央値47,500円とされています。これは定額料金ではなく、複数棟、附属建物、業者証明なし、遠方、登記と現況の不一致などでは費用が変わります。

野田市・柏市・流山市・松戸市の管轄・問い合わせ先

建物滅失登記は建物所在地を管轄する法務局へ申請します。野田市・柏市は柏支局、流山市・松戸市は松戸支局です。相続人の住所ではなく、取り壊した建物の所在地で判断します。固定資産税上の取壊し連絡は各市の資産税担当課へ行います。

野田市

登記管轄:千葉地方法務局 柏支局

〒277-0005 柏市柏6丁目10番25号

固定資産税上の取壊し連絡:野田市役所 課税課家屋係

柏市

登記管轄:千葉地方法務局 柏支局

〒277-0005 柏市柏6丁目10番25号

固定資産税上の取壊し連絡:柏市役所 資産税課

流山市

登記管轄:千葉地方法務局 松戸支局

〒271-8518 松戸市岩瀬473番地18

固定資産税上の取壊し連絡:流山市役所 資産税課

松戸市

登記管轄:千葉地方法務局 松戸支局

〒271-8518 松戸市岩瀬473番地18

固定資産税上の取壊し連絡:松戸市役所 固定資産税課

登記申請の個別書類は法務局または土地家屋調査士へ、当年度・翌年度の固定資産税と住宅用地特例は市の担当課へ確認してください。管轄・電話番号の確認日:2026-09-09。

固定資産税の取壊し連絡も別途確認する

法務局の建物滅失登記と、市の固定資産税上の取壊し確認は別制度です。登記済み建物は法務局の滅失登記から市が把握できる場合がありますが、未登記家屋は市への連絡・家屋滅失届が特に重要です。処理時期を確実にするため、登記済みの場合も各市の資産税担当課へ確認してください。

野田市は、建物を一部または全部取り壊した場合は早めに課税課へ連絡し、登記建物は滅失登記が必要と案内しています。柏市は、登記建物の滅失登記は柏支局、未登記建物の家屋滅失届は資産税課へ問い合わせるよう案内しています。流山市は家屋滅失届の提出または資産税課への連絡を案内し、松戸市も取壊し等を固定資産税課へ連絡するよう案内しています。

取壊し後の固定資産税と土地の税額

固定資産税は毎年1月1日の所有状況を基準に課税されるため、年の途中で取り壊しても当年度の家屋分が月割りで減額されるとは限りません。野田市は、年途中に取り壊した場合も1月1日現在の所有者へ当年度分が全額課税され、翌年度からその建物に対する課税がなくなると案内しています。

住宅を取り壊して更地や駐車場にすると、土地に適用されていた住宅用地の特例が翌年度から外れ、土地の固定資産税・都市計画税が上がることがあります。建物の税額だけでなく、土地の翌年度税額も市へ確認してください。

抵当権が残っていても滅失登記を確認する

住宅ローンの抵当権などが建物に登記されたままでも、物理的に建物全部が滅失した事実を反映する必要があります。ただし、金融機関との契約、残債、担保差替え、保険金の扱いは登記とは別問題です。解体前の承諾が必要だった可能性もあるため、融資先へ連絡してください。

自分でできるか

登記された建物と解体した建物が明確に一致し、解体業者の証明書と相続関係書類がそろう単純なケースでは本人申請も可能です。一方、同一敷地に複数棟がある、附属建物がある、登記と現況が違う、証明書がない、数次相続である場合は土地家屋調査士への依頼が安全です。

法務局は、建物滅失登記を含む表示に関する登記の申請代理を行う専門家を土地家屋調査士と案内しています。法務局の手続案内は一般的な様式・添付書類の説明で、個別の法律判断や申請書類の事前審査ではありません。

専門家に相談した方がよいケース

  • 登記上の建物と解体した建物を特定できない
  • 母屋の一部、附属建物、複数棟の一部だけを取り壊した
  • 解体業者の建物滅失証明書を取得できない
  • 登記上の住所と故人の最終住所・本籍がつながらない
  • 数次相続、代襲相続、相続放棄などで相続関係が複雑
  • 抵当権、差押え、借地、共有などの事情がある
  • 売却、建替え、融資の予定があり、完了を急いでいる

注意点

  • 期限の起算点は滅失日:死亡日や遺産分割日ではありません。
  • 相続登記を先にしなければならないとは限らない:相続人の1人から申請できる取扱いがあります。
  • 登記のない建物には申請しない:未登記家屋は市の取壊し手続を確認します。
  • 全部滅失か確認する:一部や附属建物だけの取壊しは表題部変更登記の可能性があります。
  • 市役所への連絡も確認する:固定資産税の処理は法務局登記と別です。
  • 土地の翌年度税額も確認する:住宅用地特例が外れる場合があります。

よくある質問

相続登記をしてからでないと建物滅失登記できませんか

被相続人名義の建物でも、相続人の1人から申請できる取扱いがあります。登記名義人の死亡と申請者が相続人であることを戸籍等で証明します。

相続人全員の署名・実印が必要ですか

相続人の1人から申請できるため、常に相続人全員を申請人とする手続ではありません。ただし、申請者の相続資格を確認する戸籍等は必要です。

未登記家屋も滅失登記しますか

いいえ。法務局に登記記録がない建物には滅失登記を申請できません。市の資産税担当課へ家屋滅失届・取壊し連絡を確認してください。

解体業者の証明書がありません

写真、罹災証明、契約書・請求書・領収書、廃棄物関係資料等を集め、代替資料と現地調査の要否を管轄法務局・土地家屋調査士へ相談します。

固定資産税は解体月から安くなりますか

通常は月割りされません。1月1日現在の状況に基づく当年度分はそのまま課税され、翌年度から家屋分が課税されなくなる扱いを市へ確認します。

家を壊すと土地の固定資産税も下がりますか

反対に上がる場合があります。住宅用地の特例が外れる可能性があるため、解体前後に市の資産税担当課へ試算・適用時期を確認してください。

関連する相続手続き

参考にした公式情報

情報確認日:2026年9月9日

建物の滅失日、申請人、相続関係、建物の特定、必要書類、固定資産税の反映時期は個別事情で異なります。申請前に管轄法務局、土地家屋調査士、各市の資産税担当課の最新案内を確認してください。